エピジェネティクス入門―三毛猫の模様はどう決まるのか (岩波科学ライブラリー)

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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (92ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000074414

作品紹介・あらすじ

三毛猫の三毛模様、アサガオの絞り模様…。遺伝子は同じでも、生物にはさまざまな外見や個性がある。これは遺伝子の働きを調整するエピジェネティクスによって、偶然をも取り込みつつ決められている。遺伝子を陰でダイナミックに操るしくみと、それによって生まれるさまざまな現象を解説し、病気との関係や新しい治療法開発の可能性を紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • ◆同じ両親なのに、三毛猫の縞模様や金魚の模様に違いが生じるのは何故か?。そう、生物個体間の情報の継受はDNAだけが担うわけではない。これに関わる「エピジェネティクス」という生態機構を一気呵成に解説◆

    2005年刊行。
    著者は国立遺伝学研究所教授。

     ラマルクが提唱した「獲得形質の遺伝」という概念が否定されて久しい。
     しかしながら、植物における品種改良は獲得形質が遺伝されたものなのではないか?。あるいは、例えば、遺伝的に同様である兄弟姉妹で、ある者は母親似、ある者は父親似という差が生じるのは何故か?。
     交配されたDNAの世代間継受では説明の付かないこれらの現象を説明する概念として生まれ、今まさにその機構・メカニズムが研究されつつあるのがエピジェネティクスと呼ばれるものであり、本書はその概略を90頁余りという短さで解説する。

     DNAという明快な継受機構を持ちながら、それ故に生まれるもやもやとは、同種ながら各々の個体にある個性の異同であり、就中、兄弟姉妹間の個性の差だ。
     その差が生じる要因として、ある細胞における、とある遺伝子が転写可能か不可能かを決定する仕組みは、ある種ランダムに発生し、例えば三毛猫や金魚の模様等に結実する。本書はそのシステムの一端を垣間見せながら、人間を含む生物の個性の不可思議さを感得できる。
     それゆえ、簡明さとも相俟って一読の価値は高そうだ。

     また、例えばチンパンジーとヒトとの分子レベルの差は1~2%であるとは、割に著名であろう。
     これは、とある類似の鳥間の分子レベルでの差よりも往々にして小さい。それゆえに、チンパンジーとヒトとの近縁性を強調することにも利用され、また遺伝子が発現形態に及ぼす影響の小ささを強調する上でも用いられるところである。

     なるほどこれは、本来のエピジェネティクスとは異質である。しかし、形態に影響を及ぼす生物学的要素を考える上でも、このエピジェネティクスのメカニズムが参考になる可能性も存在していよう。進化を考えるためにも、また細胞の進化=その異常形態である癌とそれへの対抗策を考えるためにも、本書の知見は意味あるものと考えられそうだ。

  • 前々から気になっていたエピジェネティクス。遺伝子では無いが、とても重要な役割を担っているのだと耳にした時から気になっていた。DNAが設計図ならばエピジェネティクスは何とかかんとか。兎に角、もう少し実態を知りたいと思って買った本。その分量、僅か100頁足らず、もちろん「入門」のタイトルに惹かれて手が伸びたのだが、実態は別次元の入口だった。平易な言葉でスタートするのだが、句読点を境に突如として頭の中に何も浮かばない言葉が並んでくるのである。なんとか最後までたどり着いたけれど、当初の目的であるエピジェネティクスは●●●などと受け売り出来るほど知識は入ってこなかった。カラダのどの細胞からも同じDNAが採取出来るという、とても当たり前の話なのに全くイメージが出来なかった事が多少分かるようになった点が、唯一の収穫? また日を改めてエピジェネには挑戦したいなぁ〜

  • エピジェネティクスというのは、ジェネティクスつまり遺伝子が
    決まった後に、どう発生が決定されていくかというメカニズムを
    解明することである。

    遺伝子(ゲノム)はあらゆる細胞で全ての部分が読めるわけじゃなくて細胞の種類によってon,offが決まる。

    むしろ、on,offによって細胞の種類が決まるといってもいいんだけど。

    本を読んでみておもったのは「エピジェネティクス」と呼ばれるものでも,分子生物学の視点からみると,僕が勝手に思っていた「生後獲得的」のイメージとは随分ちがうな,ということだ.

    生命のプロセスをゲノム、つまり分子ベースで見つめている。
    そのon,offをつかさどる部分をやはり、分子レベルでみようとしている。そういう狭い領域のダイナミクスで捉えようとしている.
    つまりスタンス的にはゲノムをど真ん中にすえる、分子生物学のスタンス。

    分子生物学の視点から,もう少し,後天的なプロセスを捉えようとしている,,そんなかんじだった.

  • 勉強になりました。

  • 遺伝子が働くかどうかを調整する機能としてのエピジェネティクス。機能がおかしくなると病気にもなるし逆に治療にも使える。
    遺伝子の世界はまだまだ奥が深い。

  • 新しい進化の考え方でもあるエピジェネティクスについて、実例を挙げながら解説した入門書。
    研究者らしい淡々とした、文章に好感が持てる。

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