クマムシ?!―小さな怪物 (岩波 科学ライブラリー)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 261
レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000074629

作品紹介・あらすじ

乾燥すると樽型に変身!真空、高温、高圧、放射線にも耐え、レンジでチンしても平気。120年間水なしでも生き続ける生物がいる-?それは体長1mm以下の微小な生物・クマムシ。不死身伝説の真偽、18世紀からの研究の歴史、試行錯誤で飼育する笑いと苦労の物語など、生物研究のオモシロさ満載。身近なクマムシの観察方法や、ファン必見の図版も多数掲載。

感想・レビュー・書評

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  • ぼぉくぅはぁ くぅまぁむぅしぃ だぁよぉ。みぃんなぁ よぉろぉしぃくぅねぇぇぇ(*45回転のレコードを33回転で再生するイメージでどうぞ)

    ↑レコードのたとえが若い人に通じるのかどうかさっぱりわからないのですが(^^;)。

    生きものシリーズです。
    例によってちょっと変わった生きものです。
    といっても、実は身近にたくさんいるそうなのですが。

    その名はクマムシ。緩歩動物(かんぽどうぶつ)門に属します。
    足は8本。体長1mm未満。名は体を表すの言葉通り、ゆっくりゆっくり動きます。熊を思わせる、愛嬌のある形態です。
    この生きものが注目されたのは、乾燥条件下で「樽」型となり、この樽が真空・高温・高圧・放射線・電子レンジ処理の後でも、「蘇生」することからです。
    ちょっとした変わり者で、緩歩動物門にはこのクマムシの仲間しかいません。ちなみにヒトは脊索動物門、この中には、無脊椎動物のホヤ等も、そして魚類・鳥類・爬虫類・哺乳類などすべて引っくるめた脊椎動物も入ってきます。比較してみると、クマムシが大変「変わっている」ことがイメージできるかと思います。

    本書では、樽型(クリプトビオシス)に関することを含めて、あまり世間に知られていないクマムシの生態を紹介しています。
    寿命は平均して数十日程度。一部で取り沙汰されたほど、樽型でも「不死身」というほどではないようです。
    脱皮動物で、産卵時は脱皮と産卵が一緒になる点が興味深い。脱皮しながら卵を産みますので、一時期、殻の中に母と卵が同居する形になります。
    もう1つ興味深かったのは、クマムシの「移動」。屋上など、地上から離れたところにコケが生えていることがありますが、こんなところにもクマムシがいるのだとか。コケは胞子で飛んでくるのでしょうが、クマムシは「樽」で飛んでくるのか!? 空を行き交うクマムシの「樽」。なかなか楽しい光景です。

    全遺伝子を解明するクマムシ・ゲノム・プロジェクトが始動する動きもあるそうです。主に樽型(クリプトビオシス)の機構を探ることが目的とされているようですが、脱皮生物に共通している部分はどこかの解明につながる可能性もあるそうで、個人的には後者の方がおもしろそうだなと思います。

    興味深いながらもまだまだわからないことが多いクマムシ。
    これは私見ですが、1つにはその存在が微妙に小さいこと、1つには人にとって「毒にも薬にもならない」ことが原因なのではないかと思います。昆虫のように見つけやすく観察しやすければ子ども達も飛びつくでしょうが、体長1mm未満では、さほど高い倍率は必要としないとはいえ、やはり顕微鏡サイズ。
    コケの中に多種のクマムシが潜んでいるらしいですが、普段、まったく気付きません。
    そしてこれが有益物質なんかを分泌して人類の役に立つかといえば、そんなことはない。かといって病原性があって駆除が必要かといえばそんなこともない。
    何となくそこにいて、のんびりゆったりと生きてきた、それがクマムシなのでしょう。

    著者は元々、昆虫の精子形成の研究者だった人ですが、クマムシの魅力に取り憑かれてしまったそうです。
    クマムシは何を食べるのか、なんてところから始まる、手作り感溢れる研究記録も楽しい本です。
    古今の研究者によるクマムシの挿絵も併せ、クマムシ研究者の「愛」がふんだんに感じられ、微笑ましく楽しい1冊です。



    *参考URL
    ・NHK 爆問学問・クマムシの回のまとめ
    http://www.nhk.or.jp/bakumon/previous/20100803.html

    ・クマムシさん
    http://www.kumamushisan.net/about.html
     本書の著者とは違う人ですが、クマムシ研究者が作ったゆるキャラ(!)です。グッズの販売もされていて、収益は研究費に充てられている、のかな・・・?

    • usalexさん
      やっぱりきましたね〜、ぽんきちさん!
      やっぱりきましたね〜、ぽんきちさん!
      2013/02/21
    • ぽんきちさん
      あ、お見通しでしたか(^^;)。

      世の中、いろんな生きものがいるものです。
      あ、お見通しでしたか(^^;)。

      世の中、いろんな生きものがいるものです。
      2013/02/21
  • クマムシって聞いたことがありますか?私は子供の学校で科学部の生徒が発表しているので知りました。乾燥した環境にも耐え、真空中、放射線、電子レンジでチンしても生き延びるという伝説(?)の怪物です。

    実際は大きさ0.2mm程度のシャープペンの芯の先よりも小さな生き物。雨どいや、建物に付着した苔、淡水ばかりではなく、海にも生息している小さな生き物です。乾燥した状態では「乾眠」という体の水分を極力落とし、体内に特殊な糖質を蓄積して、生命としての代謝をおとして活動休止状態(クリプトピオシス)に入ります。

    極め詰めは水をかけると元の状態に戻り活動を開始します。小学校のころ、子供たちの間で人気のあった、シーモンキーも同じ乾眠の状態であったとは。

    本書はクマムシについて解説した初めての一般書でしょうか。周辺の身近なところに、いつもは人の目に触れないが、こんな不思議な生き物たちが生活しているのを知るとわくわくします。望遠鏡を覗いて初めて土星の輪を見たり、顕微鏡で透明な体に緑を蓄えた微生物に驚きながら科学する気持ちが育っていくのだと思います。

    さて、不死身のクマムシ都市伝説は本当か?条件によっては強いようですが、やはり生物であり限界はあるようです。

  • 虫全般苦手な私は、今までだったら絶対買わない本であるが、尊敬する成毛氏の運営するHONZサイトでもおススめだったので、えいやっと購入(薄いので割と楽に読めるかも…と期待しつつ)。著者によると「クマムシ」はかわいいらしい。 う~ん。確かにアップの顔はマンガのような顔。
    ただ、モゾモゾ動くと想像するだけでゾクゾクしてしまう。写真でよかった。 内容は、あっという間に読めるほど、おもしろかった。

  • スーパー生物として名高いクマムシだが、ネットで尾ひれがついてエスカレートした評判とはうらはらに、本人はわりと実直に、一生懸命生きているらしい。たぶん何の役にも立たない生物であり、研究だけれど、役に立つものだけでできている世界はさぞかし住みにくいだろう。ぼくも顕微鏡でクマムシを探してみようかな。

  • 2012 2/5読了。つくば市立図書館で借りた。
    ネットでもかなりの極限環境に耐える生き物として名高いクマムシについての一般向けの本、ということで以前から読みたかったもの。
    2年ぶりくらいに市の図書館に行ったらあったので借りてきた。

    クマムシといえば高温/低温に耐える、感想に強い、放射線にも耐える・・・と強い方面の話題に興味がいきそうなもので、実際本書の後半はそのあたりの「伝説」の検証が描かれている。かなりの部分は事実だけど一部は本当に「伝説」であることも明かされる。
    しかしそれ以上に多くを割いているのは、筆者がクマムシに興味を持って、大学近所のコケの中にいるのを発見して、観察し飼育に至る前半の方。
    なにを食べるのかもよくわからない生き物を飼育しながら観察・実験する生物学者の苦労と情熱が描かれつつ、可愛いクマムシの姿にほのぼのもする。最初の口絵とか超可愛い。
    岩波科学ライブラリーはこういういい本があるから好きだ。

  • ある本によると、絶対0度でも、摂氏80度でも死なず、湿度0%でも平気。宇宙空間に裸で放り出されても地球に帰還できれば、復活するなどと、ほぼ信じられないくらい、クマムシは不死身らしい。信じられないのでこの本を読んでみたが、これらの逸話はどうやら都市伝説のようなもので、この様な現象をおこすためには、かなり強い条件が必要であるらしい。強い条件とは、「ゆっくり乾燥させること」。この条件を潜り抜けたクマムシは、生きたままミイラとなり、かなりの環境負荷でものりこえ、水をかければ復活できる。ただし、この機能はある特定の種類のみ。全種類のクマムシのフィーチャーではありません。ちなみにクマムシは、クマムシのみで”門”を構成している。すごい。ちなみに、人は脊索門に入っているが、この分け方には、ホヤや、ナメクジウオなども入っている。

  • 地球上最強生物(?)の呼び声高いクマムシの本です。
    何たって、絶対零度近くになっても、人の致死量の 1000 倍ほどのX線を浴びても、ほぼ真空状態で電子線照射を浴びても、6000気圧(!)の超高圧下に置かれても、電子レンジでチンされても平気という、オソロシイ生物です。笑
    この本ではクマムシの生態や、本当に不死身なのか?と言うところが語られます。
    また、クマムシ研究者もいろいろ出てきて、みんなのクマムシに対する愛が感じられます。(^_^;)

  • (CELL)地階 一般図書
    483.993||スス

  • 「岩波科学シリーズ」このシリーズ面白いです。といっても2冊しか読んでいませんが…
    クマのような動物が歩いて見える1ミリにも足らない小さな生物です。この生物の飼育と観察の面白さを伝えてくれる本です。

  • 興味深かった点。
    「クマムシの性」基本的に両性生殖でありながら、単為生殖も可能。オスはなんの為に存在するのか?
    「分子vs形態」これまでは生き物の形態で系樹形が考えられてきたが、近年ではDNAの塩基配列に基づく系統推定が進んでいる。例えば「脱皮動物」という分類もある。意外なところに意外な近親者がいることが今後わかるのだろう。

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著者プロフィール

鈴木 忠
鈴木 忠:白百合女子大学文学部教授

「2014年 『生涯発達とライフサイクル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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