ハダカデバネズミ: 〈生きもの〉女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 151 生きもの)

  • 岩波書店
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感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (118ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000074919

感想・レビュー・書評

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  • そもそもなぜ、「ハダカデバネズミ」に関する本を読んだかというと、僕の記憶違いでなければ、『新世界より』(貴志祐介著)という小説の中に「バケネズミ」というキャラクターが登場するのですが、それの祖先だったかモデルだったか(ここらへんがあいまいで...)が「ハダカデバネズミ」ということで、まあ頭の片隅に残っていたんでしょうね、読んでみたということです。

    『ハキリアリ』という本を読んだときも感じたことなんですが、いやー彼らはすごいですね。もう人間と一緒ですよ。非常にシステマティックな世界です。本書から得たことをちょこっとメモ風に書いていきますね。

    ・個体識別するときは背中に小さな入れ墨をする。
     ※『新世界より』のバケネズミは額に入れ墨をしていたなあ。

    ・一つの群れには80~300匹ほどおり、女王、繁殖オスが1~3匹、兵隊デバ、働きデバの階級制である。兵隊デバは普段は巣でゴロゴロしているんだけど、他のコロニーから襲撃があった場合に出撃する。働きデバは主にエサ探し、巣の清掃と子育ての手伝い。働きデバの一部は、仔の養育期間のみ「肉ぶとん」係になって、子どもたちのふとん係に徹する。

    ・デバの役割分担は体の大きさや、群れの仲間との関係に応じて変化してゆく。※シロアリの役割は生まれつき決まっている。

    どうですか?ちょっと興味湧いてきませんでしょうか?本書にはカラーの図も収録されてるので、視覚的にも理解しやすいですし、薄いので(でも内容は濃い)すぐに読めちゃいます。ネズミの本とかってよほど好きな人じゃないと手に取ろうと思いませんよね。でも、人間以外の動物の世界って思ってるよりもすごいです。ぜひご一読を。

  • 裸で出っ歯のネズミ、名が体を表しすぎているハダカデバネズミ。その生態や研究生活を記したこの本、中高生向けか?挿絵も写真も豊富でとてもわかりやすく、楽しく読むことができました。女王は実はストレスフルとか、肉ぶとん階級など興味深いデバの暮らしが丸わかり!デバかわいい。

  • アリやハチの社会は階級社会というのは有名な話だけど、珍獣ハダカデバネズミも階級社会ということに興味津々。その強烈な姿。ひどい名前。でも読み終えるととってもかわいい動物なんだと思い、機会があれば是非動物園に行ってみたいと思わされる一冊。

  • 日本で最初にハダカデバネズミの飼育と研究に携わった岡ノ谷教授による、デバ(研究者は愛情を込めてこう呼ぶ)の飼育と研究、生態についての入門書。
    とはいえ、生態についてはまだ知られていないことが多いようで、未知の生物に悪戦苦闘する学生さんたちの青春群像も垣間見えてなかなか楽しい。
    デバはアリやハチのような真社会性を持つ希少なほ乳類である。
    彼らは乾燥した砂漠の地下に延々とトンネルを掘り、一匹の女王デバと生殖担当の数匹の王デバ、時に蛇に自ら食べられることで群れを守る兵隊デバ(兵隊ではなく生け贄デバといったほうが近いかも知れない)、働きデバで群れを構成し、各構成員は均質な遺伝子をもつ。
     何より驚くのは女王デバが37歳(当時)という齧歯類では特異な長寿を保っていることである。先日、NHKの番組でこの女王デバがまだ健在だといっていた。
     デバの研究はまだ始まったばかりで、分からないことだらけである。読んでいてもなんだか歯がゆい思いをすることもあるのだが、それはすなわち研究の進行をリアルタイムで見守っていけるということでもある。
     今も研究を続けている若手研究員さんたちの活躍を期待したい。
    そして、今関東に偏っている飼育施設が全国に広がってくれたらなぁと、いちデバファンは思うのである。

  • こいつはやばい

  • 東アフリカの一部に生息するハダカデバネズミは、蜂や蟻などに似て、たった1匹の女王とたくさんの兵隊やワーカーからなる群れで生活する珍しい哺乳類。
    そして哺乳類のくせに変温動物で、女王の産んだ赤ちゃんが冷えないように床に寝そべり自らの身体をもってひたすら赤ちゃんたちの布団に徹する「ふとん係」という役割があるらしい。

    これぞ珍獣。
    平易な文章、たまに入るジョーク、写真とゆるいイラストでサラサラと読める本でした。

  • 成毛眞さんが、『儲けたいなら科学なんじゃないの』で薦めていた本。
    役割分担をしてコロニーで暮らすハダカデバネズミには、ただひたすらに子ネズミを暖める「肉ぶとん」階級なるものがあるという。
    そのユニークさに興味を持ち、購入した。

    王座を巡る熾烈な闘い。ストレスを受けたり、コロニー内の個体数が増えると子ネズミを食べてしまう。階級差による鳴き声のルール。
    ぷっと笑ってしまったり、信じられずえ~と唸ったり。
    超ユニークな生き物の生態を楽しんで読める。カラー写真も満載。

  • 以前mixiレビューに書いたものをここにもUPしておきます。
    岩波科学ライブラリー151です。
    岩波科学ライブラリーといえば、鈴木忠先生の「クマムシ?!」がそうでした。この本は、「クマムシ?!」を編集した岩波の塩田さんが手がけて本にしたものだそうです。塩田さんの「次はデバネズミやります」で生まれた本は、クマムシに劣らず楽しい本です。

    表紙から転載。
    ひどい名前、キョーレツな姿、女王が君臨、哺乳類なのに変温動物?
    愛すべき珍獣、その名は『裸・出歯・鼠』
    動物園で人気急上昇の珍獣・ハダカデバネズミと、その動物で一旗上げようともくろんだ研究者たちの、「こんなくらしもあったのか」的ミラクルワールド。
    なぜ裸なの?女王は幸せ?ふとん係って何ですか?人気イラストレーター・べつやくれい氏のキュートなイラストも必見!

    キュートなイラストというか、最初はあのイラストなので見れるともいえます。はっきり言って写真は見慣れないと気持ち悪い。大人のハダカデバネズミ(以後デバと表記)でも、生まれたてのカンガルーの赤ちゃんやパンダの赤ちゃんに似てます。似てるけどしわしわなので、ぱっと見可愛くない。連想してはいけないと思いつつ、いもむしを連想したりして・・・・。
    それがなぜかあの愛情こもったイラストに親しんでから写真を見ると、あら不思議。可愛いじゃないのこのデバたち!

    私はこういう研究をしている人は理系の研究者だと思ってました。それが岡ノ谷先生は今では理化学研究所にいらっしゃいますが、最初にデバ研究を始めたときは千葉大文学部の助教授だったのです。言語と情動の研究から、生物言語研究へ、そのひとつとしてデバ研究があったのです。デバの前にはジュウシマツの歌の文法の本も出されてます。へえ~っです。
    デバは飼育がなかなか難しい動物ですが、生物言語学から言うと興味深いことが多いとのこと。
    多くのネズミが鳴き声でコミュニケーションをとることは知られていますが、人間に聞こえない音も使っていることが多いのです。しかしデバはネズミの中では耳が悪い。悪いという表現はちょっと違うかもしれませんが、ほとんどは人間に聞こえる鳴き声を使うのです。しかも鳴き声の種類がとても多い。
    すごく面白くて、まだまだ続いている先生たちの研究は『言語の起源を解明』しようというもの。
    いろんな研究をしている人がいるんだなあと思うと、楽しくなりました。

    • asikaさん
      確か、貴志さんの「新世界」に、ハダカデバネズミが出てきた気がしました。生態も似てる気がする・・・。読まれてましたっけ?
      確か、貴志さんの「新世界」に、ハダカデバネズミが出てきた気がしました。生態も似てる気がする・・・。読まれてましたっけ?
      2010/11/21
  • 冗談のような名前、この動物の正式名です。かわいいとはとても思えないけど、なぜか人気があるそうです。同じタグの英語の絵本もあります。生物学者にはとても興味ある研究対象だそうで、著者の先生方の研究成果も分かりやすく書かれています。生物学の入門としてもいいと思います。

  •  グロカワイイ?

     毛がほとんど生えていないしわくちゃの皮膚、
     目が退化してあるのかないのかわからない、
     デカイ鼻の下には突き出したげっ歯類の歯、
     脚が短く胴長。
     
     その名は、ハダカデバネズミ。
     哺乳類なのに変温動物、昆虫に特有の女王を頂点とする真社会性を有する。
     しかも寿命は破格の三十年以上。

     なんなんだ、こいつら。
     そんなハダカデバネズミたちの生態について。

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