奈良原一高 (日本の写真家 31)

  • 岩波書店 (1997年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (72ページ) / ISBN・EAN: 9784000083713

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  • 奈良原一高。1931年生まれ、1997年に没した写真家である。
    溶岩に埋もれた桜島・黒神村と、長崎沖合の人工鉱島・軍艦島を撮影した連作「人間の大地」展で鮮烈なデビュー。
    以後40年に渡り、多くの作品を発表し、昭和を代表する写真家の1人と言われる。

    地方紙の文化面に東京での展覧会の記事があった。奈良原一高 王国(東京国立近代美術館)。ちょっと行けないなぁとは思ったが、男子修道院と女子刑務所を撮ったという異例の組み合わせと写真の鮮烈さが非常に印象的だった。

    本書は、日本の主要写真家40名(+その周辺の写真家たち)を取り上げた全集本の1冊であるので、代表作のみをまとめたダイジェスト版である。

    写真自体と合わせ、その舞台とさらにはタイトルが生み出す、奥行きのある「多次元」空間。例えば噴火により不毛の地となった村と石炭を採掘する島が創り出す「人間の大地」。例えば男子修道院と婦人刑務所の連作に冠された「王国」。写真の向こう側に広がる世界と見るものの内側に呼び起こされるもの。
    リアリティだけではない、けれど幻想だけでもない。
    どこかにある、けれどどこにもない。
    一瞬だけれど永遠でもあるような、不思議に静謐な世界。

    「王国」は可能であれば、全貌が見たいと思わせる作品群である。
    その他、「ジャパネスク」の五百羅漢や「消滅した時間」のニューヨークの空き部屋、「スター・レクイエム」の作品群などが印象的である。

    この人の名は記憶にとどめておきたいと思う。

  • 宇と宙

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著者プロフィール

(いいざわこうたろう)
1954年生まれ。写真評論家、きのこ文学研究家。日本大学芸術学部写真学科卒業、筑波大学大学院芸術学研究科学術博士課程修了。1990年、季刊写真誌『déjà-vu(デジャ=ヴュ)』を創刊。1996年、『写真美術館へようこそ』(講談社現代新書)でサントリー学芸賞受賞。写真関連の著書に『写真的思考』(河出書房新社)、『現代日本写真アーカイブ』(青弓社)、『写真の国のアリス』(福音館書店)などが、きのこ関連の著書に『きのこ文学大全』(平凡社新書)、『マジカル・ミステリアス・マッシュルーム・ツアー』(東京キララ社)、『フングス・マギクス 精選きのこ文学渉猟』(東洋書林)などが、編書に『きのこ文学名作選』(港の人)、『泉鏡花きのこ文学集成』『宮沢賢治きのこ文学集成』(ともに作品社)などがある。

「2025年 『隣接の遁走曲(フーガ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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