「学び」から逃走する子どもたち (岩波ブックレット 524)

  • 岩波書店 (2000年12月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (64ページ) / ISBN・EAN: 9784000092241

みんなの感想まとめ

教育の現状と未来を考察する本書では、学びから逃走する子どもたちの背景に家庭環境の崩壊や教育制度の課題が浮き彫りにされている。2000年の出版から時間が経つ中で、教育を取り巻く状況は一層厳しくなっている...

感想・レビュー・書評

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  • 学びから逃走することに関する豊富なデータで、巷間取り沙汰される教育問題の中で、学習時間の減少や他国と比べた時の少なさなどを問題提起

    最初に、「いじめ」「不登校」「学級崩壊」「少年犯罪」などは大したインパクトがないという話しがされる。

    ついで、「学びからの逃走」が生じた要因を詳述。特に、東アジアも含む、教育の近代化が進んだことが背景となって勉強をしない子供が増えたというあたりの要因を分析。
    1「圧縮された近代化」:社会移動の流動性が最大の推進力=親の世代よりも高い教育経験の獲得
    2競争の教育:過激な受験競争の弊害。教育の自由は競争の自由、教育の権利は競争に参加する権利、教育の平等は競争の機会の平等
    3産業主義との親和性:ピラミッド型の労働市場とピラミッド型の学校の構造とのマッチ。産業化を基盤とした「圧縮された近代化」
    4中央集権的官僚主義的な統制:国家の強力な統制による教育の「圧縮された近代化」
    5強烈なナショナリズム:「近代化」=植民地化。「国家のアイデンティティ」解体の危機へ
    6教育の公共性が未成熟:国家の繁栄と競争による個人の社会移動が目的
    これらの特徴をもつ東アジア型の教育の「圧縮された近代化」が日本において終わったのは1980年前後。結果として、勉強の時代が終焉。親よりも高い教育歴を獲得することも親よりも高い社会的地位を獲得することもできず、学校は「勝ち組」と「負け組」を振り分ける装置に変貌。ポスト産業主義社会への移行も基盤(単純労働者への需要の激減、パートタイムのアルバイトへの依存、若年層の高い失業率)
    背景には、家庭の崩壊がある。離婚の増加率、親の態度の変化、そして、一連の教育改革の失敗が逃走に拍車をかけている。

    最後に、勉強から学びに移行するべきと主張
    違いは、出会いと対話の有無。世界づくり、仲間づくり、自分づくり

  • これからの学びを語る部分と基本となる学び(=勉強)から逃走している子どもたちの部分は、本が執筆されたときと時間が経った今でも当てはまる。学びを楽しいものに、意味と関係を編み直していけるものに。

  • イメージとは異なり、7-8割の子供を襲う深刻な危機は、学びからの逃走である。世界と比較すると、学習時間・読書数・学力低下、理系嫌いが多い。これから必要なのは、勉強の押しつけではなく、モノや人や事柄と出会い対話する「学び」である。

    教育は、稼ぐ力をつけるための個人的投資から、より良い市民を育てるための社会的投資になった、という意識改革が要りますね。

  • 引用文献に使われていて読んだことがあるのを思い出した
    自分は学びから逃げている張本人だったと思ってたけど、その気づきもいつの間にか薄れていっていた
    いままた学びから逃げている
    学びに出会うには、参加をし続ける忍耐や責任が必要だ

  • 15年前の本だが,現状はあまり変わっていないのかもしれない。最新の状況を把握した,上で著者の言説について意見を交流するとどうだろう。若い学生はどう考えるのか。楽しみだ。
    「学校は好き」が8割いる,その理由は。では「学習は好き」は何割いるのか,その理由は。

  • いい内容だとは思いますが、10年以上前の論なので、少しずれている感は否めませんでした

  • 学ぶことが多く考えさせられました。10年ほど前のものなので、今ではまた違った理由で学びから逃走している子どももいるとは思いましたが、それでも依然と学びから子どもたちが逃走しているのも事実。教室の変革はするべきだと考えました。

  • 日本の将来が心配になった

  • 出版社/著者からの内容紹介
    いわゆる「学力低下」問題の議論が沸騰している.「少子化による受験競争の緩和」「〈ゆとり〉重視の教育改革の結果」などの原因が挙げられているが,処方箋はあるのか.問われているのは子どもの学習意欲を支えていた社会そのものの変容ではないか.具体的なデータにもとづき,教育改革をめぐる錯綜した議論を解きほぐす。

  • データで実証する勉強しない日本の子ども

    子どもたちを見ていて、本当に実感する

    困ったなぁ・・・
    子どもたちに危機感は全くないし

    タイトルは「学びから逃走」ですが、
    その意味は「勉強から逃走」だと言う
    そして、勉強から学びにうつさないといけない、とも。

    子どもたちに本来あるとされる好奇心
    それはまだ健在だよね・・・

  • 最後の「勉強」と学びの違いは、何だろう?っていう問いかけに対する答えをちゃんと自分で考えたい。

  • フレイレやイリイチを学んでいた頃を思い出した。
    本文から
    ・大量の「フリーター」の出現は、若者の勤労意欲やモラルの衰退によるものではなく、急激な若年労働市場の崩壊が引き起こしたものです。
    ・新自由主義の教育改革は・・無責任な改革を推進しています。
    ・フレイレが主張しているように「伝達から対話へ」の転換が必要
    ・大量の子どもたちを捕捉している「学び」からの逃走は、私たち大人社会の中に浸透しているニヒリズムや未来に対するシニシズムが、子どもたちの世界に反映したものと言ってよいでしょう。

  • 面白いから最後まで読めたけど、内容には異義ありまくり。自分が学びから逃走してたので余計に腹たった。

  • 勉強になる。

  • 他の教育関連の新書にこの本の影響が見られることが多々あります。自分は「ゆとり」の弊害を受けて育っているので読んでいて耳が痛かったです…orz

  • 一部に論理破綻を感じた。疑わしい議論もあり。

  •  「学び」からの逃走が少なくとも7〜8割の子どもを襲っている危機である。と論ずる佐藤学。学力低下論に独自視点からアプローチしている。
     社会の変貌と教育改革の失敗、習熟度別学習の問題などにも触れている。最後に、学びからの逃走を防ぐ手立てとして、「勉強」から「学び」へという提言をまとめているのもおもしろい

  • 佐藤さんの語り口はわかりやすいですね。

  • 現代の教育現場の実態。事件は現場で起きてるらしい。

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著者プロフィール

東京大学名誉教授,北京師範大学客員教授

「2024年 『新しい時代の教職入門〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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