平和を創る発想術: 紛争から和解へ (岩波ブックレット NO. 603)

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  • Amazon.co.jp ・本 (55ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000093033

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  •  人間は、それまでこだわってきたことを「そんなにたいしたことではない」と見ること、また、お互いが違う価値観を出した時にお互いが自由に行動できるようにすることが大事です。別の価値を受け入れるということは、違う目標を持つことができたということであり、そうなると、根本的に、両者の元々の目標はたいしたことがなかったと理解しあえます。そこで、紛争転換(Transcend)が必要となってくる(紛争が起きた時に、両者の目標を達成するとともに、それ以上に何かを作り上げること)のです。(p.6)

     「正当性」を問うために「法律で裁く」ことがしばしば行われますが、そのことについて考えてみましょう。実は、法制度というものは紛争の克服(解決)に不向きなのです。法律は、①二つの当事者しか考えない②善悪しか考えず、どちらが正当な権利を持ち、どちらが非正当なのかしか見ない―という二点です。(p.9)

     日本の深層文化の中で、紛争解決にあたって良い要素と考えられるのは、日本の自然観、陰陽道的な考え方をし、その一方で「悪魔」という概念を持っていないことです。これらは、対立状態を流動的にとらえることができる重要な要素です。
    次に悪い面について見てみると、「根回し」の分化、上の命令に従順なことなどが挙げられます。「根回し」は、一見良い性質に見えますが、他との調和を重んじるあまりに、問題の真髄を見失う可能性があります。また、自分より上位にいるものに従うということの中には、垂直的な構造が見られます。これだと、自分が上位に立ったときは、相手の意見を無視し、自己を押し通す傾向があり、紛争解決に対する大きな支障になります。
    肝心なことは、日本の深層文化の長所に日本人は気づいていないことです。深層文化を見ていくときには、なにも短所ばかり見ないで、長所を見ていくことが大切です。(p.30)

    ピースビジネスのポイント
    ①公正な貿易関係を作る
    ②「競争」ではなく「協力」関係を作る
    ③ベーシックニーズを考えた上での取引
    ④平和のためのモノとサービスの売買
    ⑤平和経済を進めるための市民による世界的な秩序作り

    「9.11事件」について最後にひとこと。ベトナム戦争や湾岸戦争が終わった理由は何でしょうか。まず、狙いが不成功に終わったこと、次に大きな平和運動が起きたこと、そして同盟国すら抵抗したことです。

  •  平和学の実践者が語る対話術。

     薄い本で現実的でない記述も多いが、作者の提唱する対話の方法論は分かりやすく興味深い。対話を考えるヒントがあるように思えた。

  • 目から鱗の平和論。ガルトゥングさんが提唱する、和解への12の手法を中心に、異文化理解の話や平和報道にまで話が及びます。この手法は、自分たちの身近に起こる紛争(たとえば夫婦喧嘩など)にも応用できるところがおみそです。12番目のホーポノポノ(ho'o ponopono:ポリネシアの人々にとっての癒しの概念)の考えは特に面白く、新鮮です。

    マータイさんの「モッタイナイ」に並び、ガルトゥングさんの「ホーポノポノ」が、何やらひとつのキーワードになりそうですね。

  • 7点

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著者プロフィール

ヨハン・ガルトゥング

「2019年 『ガルトゥング平和学の基礎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ヨハン・ガルトゥングの作品

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