「個性」を煽られる子どもたち―親密圏の変容を考える (岩波ブックレット)

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  • Amazon.co.jp ・本 (71ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000093330

感想・レビュー・書評

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  • 2000年代前半の出版なので、私の時代を反映している内容であるが、早期に自己承認欲求の問題とキャラ化する若者たちを記述している。

  • 個性も可能性も内在するのでなく、外部から、他者との関係性から出てくるもの。判断されるもの?

  • 中学生向きの小説なんか読むと、本書で語られていることがなんとなく理解できる。分析は鮮やかだし、論理は明快。
    でも思うのが、もうちょっとちゃんとデータを提示してほしいな、ということ。昔と比べて今がそうなのであれば、昔のデータが必要なのだけど、そのあたりの提示が少ないのが気になった。もちろん、こんな薄い本だから仕方ないのかもしれないけど。

    あと、ではどうするか、というつっこんだ処方箋も読みたかったなあ。僕にはとても解決策が想像できない。

  • 親密圏で素の自分を表出することは、他者との対立の危険をはらむようになったため、装った自分を表現せざるを得ない。ストレートに自分を表出しないことは自己欺瞞であると感じ、親密圏における人間関係が加速度的に重く感じられるようになってきている。

    オンリーワンへの強迫も、はじまりは一律詰め込みに対するアンチテーゼだったのでは?人間は難しい。

  • 自分らしさとは何か。現代の子どもたちは、友人との関係に潜在的な駆け引きをし、キャラを装い、個性的でありたいと願う。個性を実感するためには、他人の肯定的な評価が必要であり、その安心を得るために薄い人間関係で他者と繋がっていたい。本来の自分らしさとは、他人の目を気にして成立するものではない。個性的であることが何なのか。人はそれぞれ個性があるのだから、その自分を認めていけばいいと思う。

  • 学校の課題で読みました。
    子供たちの友達関係のこと、個性に対しての考え方などいろいろ書いてあってなるほど、と思うことが多かったです。

  • 薄い本ながら、若者が直面する困難が浮き彫りになっていて、首を縦に振りながらゆっくり読めた。

  •  キャラ論を調べると学校教室の例がよく出てくるので気になり、60ページ程度のブックレットなら軽く読めるだろうと、本当に気楽に手にとって読んでしまった。後戻りなどできなかった。
     本書は2004年刊行で佐世保の女児同級生殺傷事件を取り上げている。そして彼女たちが事件に関わったのは僕と同じ年齢の時だ。だからこそ慎重に読まなければならなかった。当時の僕達の関係を支配する構造がここまで見破られるとは思ってもいなかった。クラスメイトとの「優しい関係」、触れてはいけない「ダイヤモンドの原石のように秘められた個性」、教室空間の外部社会における「他者の不在」。ほぼ全てが当時の感触と一致していたと言っていい。とても貴重な論考だと思う(とてもレビューになってない言葉の切り出し方だと思う)。
     ただ、僕は今とてつもなく虚しい。殺人現場で探偵の推理に立ち会い犯人と犯行手段、動機など全てが明らかにされた。しかし、その状況を前に立ちすくむしかないような思いだ。なぜなら、これは「事後」「経過中」の事件だからだ。あれから7年も経っても僕が学校に関心を寄せる事といえば、僕が去った教室空間は当時と同じように在り続けるのだろうかということだ。事後分析は事が宿命的に起こり続けるのとは無関係にいくらでもできるということだ。一体誰がこのシステムを外部からくい止められるというのだろう。
     
     これではレビューにならないのでまとめに入ると、最近の子どもの友達関係が昔と比較してどのように変化しているのか。子どもの自己は「個性」とどのように関係しながら成立しているのか。近頃の子どもが何を考えているのか分からない!そういう人にはおすすめだと思います。もちろん、7年前と今では携帯通信端末の所持率や家庭へのPC普及率が段違いなので、何も変化が無いとは言い切れませんが… 少なくとも、7年前の僕が感じていた「空気」がよく分析されているなと関心したので、星5つ。

    (蛇足)本書の締括で筆者はこう述べる。「この小冊子が、その論争の大海へと船を漕ぎだすための、ほんのささやかな津の一つにでもなることができれば、著者としてこれに優る喜びはありません。」 津どころか大波ですが!?

  • 教育再生実行会議のニュースを見て、ふとこの本を思い出して、読み直してみようかと思いましたが、本棚から探しだせませんでした……。すごい好きな本なんですけどねぇ。

  • 子ども達が、一方で友達関係に代表される親密な関係において過剰な配慮を見せ、他方で公共圏においては無関心を装う、という現象を分析した本です。つながりや優しさ、また自分らしさを大切にすることの裏には何があるのか、またそのことによって生じている息苦しさを作り出す一因に、教育の世界も関与していることを明らかにしていきます。見た目は薄い本ですが、実はとても重たい本です。

    教育学部 A.T


    越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000483411

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著者プロフィール

筑波大学人文社会系教授/社会学

「2018年 『談 no.112 感情強要社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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