教育改革のゆくえ: 格差社会か共生社会か (岩波ブックレット NO. 688)
- 岩波書店 (2006年11月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (71ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000093880
作品紹介・あらすじ
本書は、比較的最近の講演のレジュメと記録をベースにして再構成したものです。内容的には、『義務教育を問いなおす』と重複する部分もありますが、原理論的な部分を削除し、構成と議論を再編・簡略化し、安倍政権の「教育再生」構想を含めて、ごく最近の展開・問題を付け加え、例示やエピソードなども多くし、問題の性質や争点を明らかにするように努めました。
感想・レビュー・書評
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504円購入2011-01-25
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(「BOOK」データベースより)
本書は、比較的最近の講演のレジュメと記録をベースにして再構成したものです。内容的には、『義務教育を問いなおす』と重複する部分もありますが、原理論的な部分を削除し、構成と議論を再編・簡略化し、安倍政権の「教育再生」構想を含めて、ごく最近の展開・問題を付け加え、例示やエピソードなども多くし、問題の性質や争点を明らかにするように努めました。 -
かなり自分が知りたい内容に合致していた。(自分的に)良書。やはり学校でも格差は広がっておりまさかのまさかで社会階層が固定されてしまうのではという内容。教育は現在と未来への投資!!!大事!!
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藤田英典「教育改革のゆくえ−格差社会か共生社会か−」岩波ブックレットを読みました。藤田氏は、東京大学を退官されたんですね。現在は、国際基督教大学の教授です。この本は、臨時教育審議会以降の教育改革が簡潔にまとめてあり、改革がもたらしたものを検証しています。
藤田氏は、’90年以降の改革を「二周遅れの歪んだ改革」と言います。一周目の遅れは、欧米諸国が基礎学力・卓越性重視の改革を進めたのに対して、日本は「ゆとり教育」「学校スリム化」改革を進めたこと。二周目の遅れは、フィンランドなどで市場的競争原理主義・査察主義の見直し・修正が行われているのに対し、日本ではそれらを強化する方向へ動いていることです。本当ですね。打つ手打つ手が、教育現場の思いとは異なる方向へ動いていると思います。
一周目で言えば、「ゆとり教育」政策と「学力重視」政策の矛盾です。ゆとりと言いながら、土曜日に生徒を学校へ集めて通常の授業に近い形で授業を行う。それならば、何も学校五日制にしなければよかったのに思いますが。
二周目でいえば、「勝ち組」「負け組」をつくり出す「強者の論理」による教育システムの再編、教育における成果主義・統制主義・査察主義の拡大です。藤田氏は、前者では、中高一貫、教育特区、学校選択制、教育バウチャー制をあげています。後者では、教員評価・処遇・教員免許更新制度、学校評価をあげています。
最近、東京、足立区で、主に学力テストの結果によって特色ある学校づくり予算の配分をA〜Dにランク分けすることが報道されました。義務教育の公立学校ならば、成績の向上が図れないところに予算を重点配分するのが公教育の在り方だと思いますが。これも二周目の歪みでしょうか。
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反対のための反対より「改革のための改革」のほうが危険と言うけれど、教育が「子ども自身の経験として積み重ねていくこと」を大切にするように、教育のさまざまな制度は改革してみなきゃわからない(経験してみないと納得できない)、今のままでいるよりは改革という新しい風を感じたいというのが保護者としての感想。