歴史教育と歴史研究をつなぐ (岩波ブックレット)

制作 : 山田 朗 
  • 岩波書店 (2007年11月6日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (63ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000094122

歴史教育と歴史研究をつなぐ (岩波ブックレット)の感想・レビュー・書評

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  • 歴史教育者は,歴史的事象について,なぜそれが大事なのかということを常に自分自身で位置づけて生徒に伝えていかなければならない。授業時間との関係で,あるいはテストに出るからといって,安易に暗記偏重に走ってはならないことを本書を読み強く感じた。

    また,座談会の中で指摘されているように,戦争に対する意識が変化しつつある今こそ,歴史教育者の果たす役割は重い。
    教師として《研究者マインド》を持って,事実に基づいた歴史教育を行っていきたい。

  • 歴史教育というのは教科書問題などにおいでも大きな論点になってきた部分ですが、この本を読んで単に教科書にあるがままの真実や南京大虐殺などについて載ればそれで解決、というわけではないということを改めて感じました。

    今は戦争は学校教育よりもゲームや漫画、歴史小説などサブカルの方が若者に影響を与えているため、リアルな戦争への想像力が失われてきている。
    教育する側の人間自身が既に戦争体験世代ではなくいわば人から聞いた実感なき戦争を、ただ伝えているという状況も原因の一つだし、また昨今では教師一人当たりが抱える仕事量が多すぎて単に余裕がなかったり思想教育と勘違いされることへの恐怖から戦争をさらっとしか扱わなかったりすることもそうだろう。
    後は社会全体を覆う閉塞的な空気が学生たちに無気力を生み、深く考える力を奪ってしまった。(たとえば戦争だったんだから色々あったのは仕方ない、など)

    様々な要因があるが、とにかく戦争体験者が社会からいなくなっていくこれから、歴史教育は難しくなっていくのであり、その中で教師はメディアが及ぼす影響を踏まえつつ、歴史教育を歴史研究と歴史叙述と三位一体化させ、生徒に過去の延長線上に自分があるということを認識させることが重要である、とまとめられて本書は終わっている。

    戦争から得た平和を求める価値観や文化を失わないために、またアジア諸国の人々と手をつなぐために、歴史教育はかなり重要な役割を担うだろう。
    そして歴史教育を効果的に行うためにはもちろん生徒を引かせないような様々な工夫を盛り込んだ教育をしなければならないが、メディアのあり方や子どもたちの学習欲・知的好奇心が育つような健全な社会作りをしていかなければならないと思う。

  • 実践家の発言には耳を傾けよう

  • なにかの座談会の記録・・・だと思うんだけど、いつどこで開かれた座談会なのか、書いていない気がするんですけど。

    それはともかく。歴史研究と歴史教育のあいだに「歴史叙述」という項目を設定し、ここにも教育者・研究者は意を払わねばならない、という提案がもっとも印象的だった。「歴史叙述」というと小説家の独壇場のようなイメージがあるけれど、そうじゃない、と本書では語られる。授業などで「個別の問題を大きな文脈の中に意味づけていくという、そういう関連づけの作業」(成田龍一の発言、p44)もまた、「歴史叙述」に含まれるそうだ。

    これは小田中直樹が『世界史の教室から』で述べていた、「つなぐこと」にも似た発想だと感じる。けれど、本書では前述の意味での「叙述」はまだまだ教育の現場で実践されていない、という文脈で語られている印象で、一方小田中書では「現場の先生もけっこうがんばっている」という印象だった。

    果してどちらが教育の現場の状況をリアルに示しているのか、僕にはよくわからない。しかしどちらにせよ、クイズに答えるような暗記科目としてのイメージが強い歴史教育に問題があることは、間違いないだろう。

    ところで、戦争などに対する「リアル」な歴史認識をある一定の世代がもてなくなった理由に「ゲーム世代が出てきたことが、八〇年代後半からのもう一つの大きな変化」(p11〜12、渡辺賢二の発言)を挙げているけど、それはちょっと予断に過ぎるんじゃないかなあ・・・とゲーム世代の僕なんかは思ってしまうのだけど。そもそも、みんながみんな『信長の野望』をプレイしてたとは思えないし、それをもってある歴史認識を持った世代を代表させてしまうのはちょっとなあ・・・と、細かいところが気にはなるのである。

  • 分類=歴史研究・歴史教育。07年11月。本来は相互補完関係にあるべき、教育と研究の間の断層が大きすぎる(これはどの分野でも同様だが)。研究・教育各々で見れば、分野の横断、学際的・ホーリスティック(全体的)な研究・教育が進みつつあると思うのだが、この傾向のさらなる促進を強く願う。

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