世界金融危機 (岩波ブックレット NO. 740)

  • 岩波書店
3.34
  • (5)
  • (8)
  • (33)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 119
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (71ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000094405

作品紹介・あらすじ

サブプライムローンの破綻から、原油高や食料難が拍車をかけて進む世界的規模の金融危機-。いま、何が起きているのか。そして、どうすれば食い止められるのか。深刻な世界同時不況と言われる現在の状況を、詳細に解説する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 詳しいことこちらの記事をご覧いただくとして、今個人的に思っているのは、人類は「リーマン・ショック」の苦い教訓から、何も学んでいないのだということ。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のことわざ通り、あの時の各国政府がとった対応・政策は、あくまでも一時しのぎに過ぎなかったのですね。もうこれ以上贅沢はできないのだ、これからは「持続可能な経済を目指す」という姿勢を打ち出す政治家や経済人が大勢いたら、国際経済はもっと違った道を辿っていたはずなのにと思うと、残念でならない。経済も金融も、元を正せば「効率的な富の分配」を目指していたのに、いつからおかしな方向に向かうようになったのか?

  • [ 内容 ]
    サブプライムローンの破綻から、原油高や食料難が拍車をかけて進む世界的規模の金融危機―。
    いま、何が起きているのか。
    そして、どうすれば食い止められるのか。
    深刻な世界同時不況と言われる現在の状況を、詳細に解説する。

    [ 目次 ]
    はじめに グローバル同時不況の危うさ
    第1章 「影の銀行システム」の崩壊
    第2章 つぎの津波がやってくる
    第3章 ガス欠とオーバーヒート
    第4章 世界は壊れそうだ
    おわりに 脱出口を見失った日本

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 金融危機のメカニズムを具体的な数字を交えて解説。「反グローバリズム。反新自由主義、反ブッシュ、反小泉竹中」。

  • 本は薄いですが、内容は濃いです。

  •  この金融危機はどう止めればいいのか。もう止めることはできないのか。止まらなければどうなってしまうのか。様々な不安がかさなる金融危機だが、この本ではさらに不況は続くのではと言っている。さらに続くだけではなくこれよりひどくなったしまうかもしれない。日本は食料自給率が低い。なので、これよりひどくなったら食べるものが減り、限られてきてしまう。また、もし景気が良くなっても過去にバブル崩壊があるので、また同じことを繰り返す心配がある。どちらにせよ、対策や覚悟を決めておく必要がある。この不景気で自分がどれだけ楽しくするか、大事に生きるかが大切だと思う。

  • 2008年10月発行。リーマン・ブラザーズが破綻したのが2008年9月のことなので、この本は基本的にそれまでの、ということは、投資銀行やノンバンクを含めた金融関連機関の経営破綻や、公的資本投入・公的機関介入がまさに始まろうとしていた時期に発行された本である。筆者は、この金融危機が世界的な大不況につながっていくであろうことを指摘していたが、まさに、世界は筆者の指摘通りに不況の真っ只中にある。一方で、筆者は世界不況に陥る理由として、発行当時そうであった原油や食料価格の高騰が続き、それがインフレを招くであろうことをあげている。原油や食料価格は、おそらく中長期的には上昇トレンドを描くのだと思うが、少なくとも、現時点では昨年の秋の価格から大幅にダウンしており、この点での筆者の指摘は正しくなかったということになる。が、ここで言いたいのは、「だからこの本は駄目」ということではなく(この本はよく出来ている)、経済現象の先を見通すことの難しさだ。アメリカの住宅価格が下がり始め、サブプライムローンの不良債権化が心配され始めた頃も、意外と楽観的な論調が多く、それは(正確な数字は忘れてしまったけれども)アメリカの住宅ローン残高に占めるサブプライムローンの比率がさほどには大きくないから、という理由づけがされていた。それはその通りなのだけれども、それらのハイリスクのローンを担保にした証券が数多く出回っていて、さらには他の担保保証証券との組み合わせによる複合的な証券が出回り、さらにはそれら証券を担保に資金調達がなされる、という、金が金を呼ぶというか、非常にレバレッジを効かせたリスクの高い証券が投資銀行やノンバンクの収益源となっていたことために、それら証券の信用が落ちるとそういった機関の経営はとたんに苦しくなり破綻に追い込まれるという構造になっていたということであるようだ。それら金融商品はアメリカでは(というかどこの国でも)公的機関の規制の対象外であったこと、もっと悪いことに、そういった複雑な証券は、どこにどんなリスクがあるのか誰も、売買している当人たちですら、よく分からなくなっていたということのようである。要するに不良債権化したそれら証券の時価はよく分からず、従って、損失額が確定できないため、金融危機の影響の度合いが定量的には誰も把握出来ないという状態になっていたということである。そんなシステムの中では、先を見通すことはかなり難しいのは確かである。これら金融デリバティブ商品というのは、結局のところバクチと同じなのかな、と。金融バブルというのは日本でパチンコ産業が栄えているのと同じで、誰もがリスクの高いギャンブルに夢中になっていたのかな、と。昨日・今日と金融危機に関する本を読んでいて、そんなことを考えた。

  • 【目的】市況を把握する。
    【感想】今自分を取り巻く大きな渦を出来る範囲で良いから把握。一面的だけど。
        その中で私が出来ることを考える。

  •  70ページの小冊子ですが、中味は濃い。読書会や勉強会に最適ですが、ひとりは経済学の専門家がいた方がいいんでしょうね。出版されたのは今年の10月で、その後の原油価格の急速な下落は予測できなかったみたいですが、何が起こっているのか、どうしてそれが起きたのか、これからどんなことが起きるのかについて、きっちりまとめてくれています。

  • 終始クエスチョンマークが付きまとったものの、サブプライムローンの何たるか、米金融市場の基本的な仕組みがどうあるかをどうにか理解。

    こんな虚像が世界を回してたのか。

  • 具体的な数値をあげて議論を展開しているので非常に米国の状況の理解が進んだ。
    ひとつよく分らなかったことは石油価格の今後の動きである。
    投機筋がいなくなったあとも新興国の需要から石油価格の上昇が続くという論調には素直に賛同出来なかった。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

金子 勝(かねこ・まさる):1952年、東京都生まれ。経済学者。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。東京大学社会科学研究所助手、法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現在、立教大学経済学研究科特任教授、慶應義塾大学名誉教授。財政学、地方財政論、制度経済学を専攻。著書に『市場と制度の政治経済学』(東京大学出版会)、『新・反グローバリズム』(岩波現代文庫)、『「脱原発」成長論: 新しい産業革命へ』(筑摩書房)、『平成経済 衰退の本質』(岩波新書)、『資本主義の克服』(集英社新書)ほか多数。

「2023年 『イギリス近代と自由主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

金子勝の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×