若者たちに「住まい」を!―格差社会の住宅問題 (岩波ブックレット)

制作 : 日本住宅会議 
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  • Amazon.co.jp ・本 (79ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000094443

作品紹介・あらすじ

「ネットカフェ難民」が話題となったように、不況と貧困にあえぐ日本において若者たちの住環境が大きく変化している。どのような問題が生じているのか?「シェア居住」の紹介、国際比較、住宅政策など、若年層の住まいの全体像を分析し、解決策を提言する。

感想・レビュー・書評

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  •  タイトルから想像されるような内容であった。とくに新しい知見はない。

     【目次】
     はじめに 大本圭野
     第1章 若年層の住まいの全体像 平山洋介
     第2章 様々な人々が混ざり住む「シェアハ居住」 丁志映
     第3章 若者の家族形成と住まいの国際比較 川田菜穂子
     第4章 若者の住宅問題をどうかいけつするか 坂庭国晴

    「はじめに」によると、本書で対象とするのは《二五歳から三五歳までの若者たち》(p.3)とある。しかし、どうしてこの層を対象とするのかはよくわからなかった。

     本書で行った調査・分析でわかったことは、次の4点であるという。
     
    ①若者たちが新たに社会的に弱い立場に位置づけられたこと。
    ②その若者たちが生活を自立させていく上での不可欠の条件である労働・所得・住居への支援・保障がまったくといってよいほどされていない状況が明らかになったこと。
    ③超少子・高齢化の大きな原因が、若者への労働・所得・住居などへの生活保障がなされていないため結婚、子育てをする条件が充たされていないことが実証されたこと。
    ④先進的福祉国家と異なり住居の権利が人権として認められていない日本において、社会的に弱い立場にある人びとに対する住宅政策を明示したこと。

     ただ第2章以外は、誰もがだいたいは考えているような状況を数値データで実証したにすぎないし、具体的な提言は「政府の政策が現状に追いついていないからきめ細やかにすべきだ」というものだ。

     第1章の「住まいの梯子」の定義ははっきりと書いていないから、わかりにくい。きっと《標準パターンのライフコース》(p.5)でいいのだと思う。そして、そういった標準コースを歩む若者は少なくなっていると分析している。

     また若者の人口移動も少なくなっている。これには、動かないのと、動けないのとある。《地方から大都市に動くための最初の「足がかり」をつかむ若年層が増える可能性》(p.34)を高めるために、もっと家賃補助などの支給機会を増やすべきだと主張している。

     第2章はシェアハウスの具体例であり、この本で唯一明るい状況を紹介している。

     第3章は国際比較。イギリス・フランス・ドイツ・スウェーデン・フィンランド・イタリア・スペインと日本が比較されている。しかし、さすがに偏りすぎだろう。ヨーロッパと日本だけではなく、イスラームやアフリカ、東南アジア地域や南北アメリカ地域、ロシアなども気になるところである。

     第4章は具体的な、しかしざっくりとした政策提言である。使われていない公営住宅や公団などを広く若者に使わせてはどうかというもの、民間賃貸住宅によるセーフティーネットの拡充、そしてネットカフェ難民支援である。
     
     若者はかわいそうだ、といういつもの話だ。

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