「英語が使える日本人」は育つのか? 小学校英語から大学英語までを検証する (岩波ブックレット 748)
- 岩波書店 (2009年2月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (72ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000094481
感想・レビュー・書評
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英語教育の問題点、懸念点を主に鼎談の形でまとめた本。
これは2009年の本であるが、当時から考えられていた懸念点が2018年の今、現在進行していると考えられる。
本書で取り上げられていた課題は以下の通り
言葉への気づきが大切
(音節、音の違い)
語学学習は時間がかかる
全員が英語で議論したり日常的な会話ができたりすることを目標にすることがそもそも違うのでは?
英語以外の言語も学んでは?
高校から第3言語を学んだり…
母語を学ぶのも大切
教員も教材や言語法を学んだ方がよい
コミュニケーションの能力は英語の力とは直結しない
(英語でGood morningと言えたら、それでよいのか?
日本語では言わないのに…)
(また英語ではGood morningの後は名前をつける。)
韓国などでも初等教育段階で英語を学んでいるが、
その後の成果をあまり耳にしない。
各家庭が熱心にやるという印象。
アフリカでは、母語ではなく英語で教育をすすめたら、
貧富の差が拡大した。
(英語が理解できずに、他の方面でも知識が身につかない)
言葉の見方を分析的に、子どもの思考を広げたい。
派生語の学習など、推進したい。
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英語が伸び悩んでいる中学生に”英語はどうやって勉強したらいいですか?”と問われて、図書室の用務員さんは軽い気持ちでこの本を手に取った。予想外に「当たり」の本。“母語と外国語には共通の基盤があり、まず、それを確固たるものにしないと母語も外国語もあやしくなる”という主張はあまりにも当たり前だが忘れがち。子供をバイリンガルにするためにいろんな仮説・メソッドが提唱されているが成功例を聞かない、〝結局のところ、より努力した人間、より根性のある学習者がより高度な英語力を身につけるという「根性仮説」に辿り着”くに爆笑。
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あまり記憶にない。。。そんなに感激するポイントがなかったかも。。。
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総理大臣、閣僚、政府職員にTOEIC900点を義務付ければよい。
アフリカではブロークンな英語のままどんどん先に進むから大学性になっても、まともな英語が書けないという事態が生じている。
現在の日本の英語行政には哲学がない。
もはや英語になんか期待しない方がよい。 -
英語が分かると楽しいし何かと便利なことも多いけど。
こういう議論は、議論ができる人はいいとして、ただ英語が苦手な人たちのいい訳に回収されてしまわないかが心配です。
英語学とかの学問とソシュールとかの言語学って全然文脈がちがうのかしら?言語の哲学っていったら、ソシュールとかバルトとか構造主義とかそういう感じがするけど、そういうのはちがうの?新たな疑問が湧きました。
あと本文中にあった英語絵辞書は微妙。。。あれじゃよっぽど真面目な子どもしか面白くないよ。 -
日本の英語教育の問題点、、あり方について深く言及されていた。
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3人の意見はどれも一理あると賛同できた。
・深刻に文科省の方針に対して危機感
・このまま語学哲学のない英語教育政策が続けば、日本の言語運用能力もめちゃくちゃになってしまう
・そもそも他の言語を覚えるのは簡単なことではなく、長期的に根気よく取り組まなければいけない
・現在は、早くて簡単にすぐできる、というのが好まれるが、語学習得においては当てはまらない -
(2009/2/14読了)ケニアの実例として、中等教育でブロークンな英語のまま理科や社会の授業をしていった結果、「母語の発達が日常会話レベルで止まってしまう一方で、英語もまた不完全な状態で育ち、結局母語も英語も中途半端という悲劇的な状態が生まれ」とあります。母語で中等〜高等教育を受けられない環境は、英語は日本人よりは上手くなるけれど、その代わり母語の思考の精度(抽象的な思考力)も落ちてしまう、それでいいのか、と問いかける書。