- Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000108515
作品紹介・あらすじ
日常あたりまえのように使っている言語。しかしその本質をつかむのは簡単ではない。これまで人間は言語をどのようにとらえようとしてきたのか。あらゆる言語に共通する性質は存在するのか。本講座全体の基礎として、言語についてのさまざまな考え方と最新の情報科学的見方を紹介し、言語を科学的にとらえるアプローチを提唱する。
感想・レビュー・書評
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■細目次
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仏教では不立文字といって、言葉では伝わらないものがあると考えます。例えば、禅宗の拈華微笑とかが有名です。龍樹の中観(空性)なども同じです。
西洋哲学でも、言語については、難しい議論があるようです。
そこで、言語について現代科学が、どのように解明したのか知りたくて購入しましたが、積んだままになっていますorz -
科学としての言語という立場を前面に出して書かれた、易しくてわかりやすい本。
言語は記号である
言語は超越性を持つ(過去、未来、架空への言及)
言語は創造性を持つ(ぬえ、竜、インターネット、無限種類の文の可能性)
言語は構造体系である
といった言語の定義とは何か、言語の特徴とは何かということから始まって、音声器官や脳の構造との関係の考察、幼児の獲得の方法、文脈、コンピュータ言語、手話…といった話題の1章。
2章は近代言語学の流れ。比較言語学→構造言語学→生成文法という流れも紹介。
3章は工学的な情報科学的アプローチに関して。人口知能、ニューラルネット、自然言語処理など。
4章は近代科学と言語科学に関して。
易しいがチャラくない。例えば比較言語学では首里方言と東京方言の音韻対応やインド・ヨーロッパ祖語とサンスクリットの活用を例に出し、構造言語学では韓国語や英語における音素の例を出して説明がしてある。しかしやはりおもしろかったのは生成文法における例示。
複合名詞句からの取り出し禁止( Who did you buy the book that interested ? が間違っているという規則)
や、等位構造制約(Who did you see Mary and ? が間違っているという規則)
は、なるほど、確かになぜこういう間違いを自分がしないのか、不思議な感覚がする。
科学という立場なのでそうなるのか、生成文法をかなり推している感じがします。「規範文法や比較言語学は『科学』ではない。」「構造言語学は行動主義心理学に毒されて人間の頭の外に対照を求めたので失敗した」という感じです。
でもまぁ、多分そんなにバイアスのかかった本ではないと思われる…さらに勉強して考察します。