1998年刊。ネット論やコンピュータの問題は少し古いか。もっとも、著作権、猥褻情報の流通と、表現や経済活動の自由との相克は、コピー技術のさらなる発展から、現在も、本書と同様の問題意識はある。また、オタク論・オウム真理教論(大沢真幸京都大学助教授)は?。彼は①オタクの集積する大量情報を(社会的に?)無意義とみるが、文芸評論家の叙述・文学研究や法制史学・法哲学の研究も社会的意義は見えにくい(なお、社会的意義なくともこれらの研究は重要)。②コスプレも古来からの化粧の延長線で捉えられ、現代的特殊変容とは思えない。
コンピュータ理論に基づく認知心理学論の構築、学習心理学に即した教材開発の論考も、他書の方がよさそう。