モンゴル帝国と海域世界 12~14世紀 (岩波講座 世界歴史 第10巻)

制作 : 荒川 正晴  大黒 俊二  小川 幸司  木畑 洋一  冨谷 至 
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000114202

作品紹介・あらすじ

「初期グローバル化」としてのモンゴル帝国の成立・展開と海域世界を扱う。帝国の拡大に伴い、陸上と海上の複数のルートを通じて西アジアと東アジアの人的・物的・文化的交流が急速に進んだ。多民族・多言語・多宗教が共存する大帝国の構造と周辺地域へのインパクトを探る。ジェンダー史、環境史の可能性にも言及。

感想・レビュー・書評

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  • モンゴル軍が東南アジアに侵攻した際に現地の風土病も持ち帰り、それが西への侵攻に伴い黒死病として伝播していくというマクニールの説は、古い説・眉唾物と言われていたが、最新研究により満更でもない、と。ただ、発祥は中国北西部で、征服戦争による陸路(こちらだと短期のインパクト)だけでなく、貿易による海路(長期のインパクト)でも伝播した可能性も示唆されている。
    モンゴル帝国の中には多種多様な民族が含まれていて、彼らの人生に光を当てた章も多く、興味深かった。ある者は鎧職人として、ある者は官僚として、ある者は宗教家として。

  • テーマ:モンゴル

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/568704

  • 巻頭の宇野伸浩「初期グローバル化としてのモンゴル帝国の成立・展開」が個人的には特に教えられること多く。チンギス・カンがケレイト王国の宮廷に出入りしていたころにすでにムスリムの臣下を得て、イスラーム教の文化や文物を知った可能性があること。1206年に成立したモンゴル帝国は、ケレイト王国を土台として成立した可能性が強いこと。チンギス・カンの建国に始まったモンゴル帝国は、13世紀後半に四つの国家に分裂したとされるが、ただし、大元ウルスのカアンが帝国のリーダーとしての権威を維持していたこと。モンゴルの抗争にカラ・キタイ国が介入し、金朝に対してモンゴル諸部族を敵対させようとした証拠はないこと。モンゴル帝国が多民族、多宗教の国家として成立した要因を解明するために、モンゴル帝国のプロトタイプをカラ・キタイ国に求められないこと、など。その他、松田論文での帝国の中央区分のこと。個人的に追っているアニゴについて中村論文で追えたこと。川口論文で、名実ともにチャガタイ・ウルスからティムール朝へと変わったのは、ハンを置かなくなったティムール晩年以降のことと考えるべきであること、など。参考文献にもさまざまあたってみたい。

  • 登録番号:1027200、請求記号:208/I95/10

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