岩波講座 世界歴史 太平洋海域世界 ~二〇世紀 (19)

  • 岩波書店 (2023年6月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (306ページ) / ISBN・EAN: 9784000114295

作品紹介・あらすじ

今からおよそ三〇〇〇年前、人類が地球上で最後に足を踏み入れ、適応と改変を重ねてかたち作ってきた太平洋とその島々。考古学、移民/植民、ジェンダー、そして日本とのかかわりといった多彩な切り口でこの太平洋海域世界に迫り、「歴史・歴史学のいとなみとは何か」という大きな問いを再考する。

感想・レビュー・書評

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  • 209||Iw||19

  • オーストラリア、ハワイ、ニュージーランド、フィジー、パプア・ニューギニア、日本の南洋群島統治、小笠原諸島の項のみ読了。◆オーストラリアに送られた流刑囚の犯罪歴の四割が初犯の窃盗犯と知り、量刑の重さに驚く。流刑囚は一般市民の補助移民に置き換えられていくが、クィーンズランド植民地補助移民リストを始め、移民制限法成立時の連邦会議議事録、第一次世界大戦従軍兵士記録、あるいは20世紀の移民の厖大な記録など、デジタル化された史料が豊富なのが目を引く。◆ハワイ史ではそれまで等閑視されていたハワイ語の史料がようやく21世紀に入り日の目を見て、外からではなく、ハワイ人から見た歴史が書かれ始めているとか。カメハメハはハワイで知られてなかった銃や大砲を積極的に導入し、ライバルを倒しハワイ諸島で覇権を握った、と。ハワイの歴史が従来、欧米から押し寄せる波にのまれ、弱体化、衰退、ハワイの人々は無力で受け身の被害者と描き、ハワイの植民地化に正当性、必然性を与えてきたが、ハワイ語の史料を駆使した研究がそれをゆさぶる。ハワイ王国崩壊は、スティーブンズ大使の越権行為のみならず、アメリカ政府全体の責任と指摘するハワイの人々の声、ハワイが州になることは、アメリカに組み込まれ、ハワイ王国の回復が遠のくという反対の声、など。またマウナ・ケアへの望遠鏡施設建設への反対運動も、科学対伝統、科学者対先住民という二項対立ではなく、TMTやハワイ州政府の「科学」「真実」が極めて「非科学的」であることをハワイアンの視点から暴く研究も。◆ニュージーランドでは、一見、イギリスがマオリの権利、資源を尊重するワイタンギ条約が締結されたが、実質的にほとんど機能しなかった。1975年のワイタンギ条約法以降、状況はすこしずつ改善◆パプア・ニューギニアでは、それまでの女性も経済や儀礼を担い、社会生活を支える主体だったところに植民地主義的権力が、公的領域は男性、私的領域は女性という配置を行い、社会に緊張と葛藤をもたらした。そこから女性の政治参加がどう進展していくかを描く◆フィジーの歴史、というとき、このフィジーが人(先住民)を指すのか、場所(国)を指すのか区別する必要。両者の歴史には重なり合いとずれ。独立後は安定した統治をみせていたが、軍のクーデターで不安定化。現在は各人種の既得権益をそれぞれ削る形で統合をはかるが、2022年選挙の結果どうなるかは未知数。植民地時代オセアニアの「カーゴカルト」という民衆暴動が各地で起こるが、フィジーのアポロシのヴィディ・カンバニ(フィジーの会社)運動もその一端。◆日本の南洋群島統治では公式には「福祉及発達」をこころがけたとされるが、一方「一等国民:内地人、二等国民:沖縄人/朝鮮人、三等国民:島民」という暗黙の序列が存在したとのことで実態としてはうたがわしく感じた。◆小笠原諸島は、19世紀初頭まで定住社会がなく、新たな移住者がしたがくべき伝統的秩序が存在せず、どの国の主権下にも組み込まれていなかった、一種の「アジール」であった、もちろんそれは階級秩序、ジェンダー支配、収奪関係がなかったことを意味しなかったが。日本の幕府は、19世紀半ばに、領有権主張目的で、かつて幕府自身が否定した小笠原貞頼発見伝説や「小笠原」「父島」「母島」という名称をあえて持ち出した。そのために派遣された官吏団のなかには通訳としてジョン万次郎が参加していた、と。

  • 登録番号:1027281、請求記号:209/I95/19

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著者プロフィール

大阪大学文学研究科教授 担当:第1~3 章

「2014年 『市民のための世界史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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