あしたはドロミテを歩こう―イタリア・アルプス・トレッキング

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 66
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000220248

感想・レビュー・書評

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  • 八日目の蝉を読んで、角田光代さんに興味を持ったので読んでみました。
    小学校からキリスト教の私立に通っていたそうなので
    きっと純粋培養されたかたなんだろうなーと思っていました。
    不倫相手の本妻の子を、実母のように育てるなんて発想は
    ヨセフがイエスを養父として育てたみたいな。

    でもこの本を読んでみたら、すっごく親近感がわきました。
    お酒好きだし(←これが大きい!)小学校時代の同級生の男の子に再会して、「おさない時分にしでかした、己の悪行、醜態を苦々しく思い出し…」(彼は全く覚えていないよう)とか。

    内容も、親しみやすくて、面白い物でした。
    ドロミテに行ってみたくなりました。

    登場する人物の説明もおもしろい。
    イタリア人として生まれながら仏教徒になってしまった
    マリオさんは、とても興味深い。
    彼の気持ち、なんとなく共感します。

    サッソディストリアは、第一次世界大戦でのオーストリア軍の砦というところで、なにかが胸を突き刺しました失恋

    このトレッキング模様がNHKBSで放映されたそうで、
    再放送してほしい、要チェックですね。

  • 角田さんによる旅行記。
    TV企画でもあり、登山⁈記という所が普段の旅行記(エッセイ)とはかなり違う。
    角田さんは普段、一人旅が多いのだけど、登山なので専門家(師匠)と撮影のチームでの旅だ。

  • 壮大な自然、美しさに魅了される。また、何故山に登るのか、この大命題がトレッキングの過程の中で明らかにされる。はっとするメッセージに興奮。角田さんが初めて体験したトレッキングの紀行文。山には興味のない自分も最後まで楽しめた。

  • 角田光代さんの旅エッセイは、とても臨場感あって好き。
    トレッキングというには過酷過ぎる行程が、
    ありありと想像できて、まるで一緒に登山をしたかのよう。
    旅のエッセイを書く時は匂いが伝わるように。。。という彼女の思惑どおり、
    本当に匂いが伝わるような内容でした♪

  • この本は角田光代さんの「いつも旅のなか」のイタリア北部トレッキングの章を詳しく綴った内容になっています。
    惹き付けられ、一気に読み終わりました。
    NHKBSで「トレッキング紀行」という番組が放送されていたそうです。
    2004年1月に放送されています。
    角田光代さんは番組の取材で歩いています。

    歩くのは好きですが、山は素人という角田さんが岩山や氷河を歩きながら感じたことや同行者との交流を綴っています。

    洒落たピクニック気分で出かけますが、歩き始めるとそれは裏切られます。
    ザイルやワイヤー、アイゼンを使う登山です。
    クライミングのようなこともします。
    ひょっとすると帰れないかも知れないという恐怖を味わいます。
    端から見ればテレビの取材ですから危険はないはずですが、角田さんは本気で危険を感じていたようです。

    「こわい」と「危ない」は違うとガイドさんが言い、本質をつくセリフに角田さんは唸ります。
    こわくてもザイルで確保されていれば危なくはないわけです。

    角田さんはドロミテで生活する人たちの自然体な生き方に共感を寄せます。

    角田さんは「私は山頂から見た素晴らしい景色を表す言葉を知らない」とか「自分の言葉以上のものに出会っている」と正直に語っています。

    「みんなで山を登って降りて食事をすると親近感が生まれる、楽しさもおいしさも全然違う、これは人と関わることのシンプルな根本なのではないか」と角田さんは言います。

    山を歩くことと書くことは似ている、山と禅は似ている、と言います。
    私が山を歩き、ミクシイを通じて文章を書き、最近はサボっていますが座禅に通うことにも共通点がありそうです。

    角田さんの「いつも旅のなか」とこの本をあわせて読むことが出来て良かったです。
    このテレビ番組「トレッキング紀行」を見ることは出来ないのでしょうか。

    この本は山に憧れつつもまだ歩いていない初心者の方にお勧めです。
    ウォーキングをなさっている方にもお勧めです。

  • 角田さんの紀行ものといえばアジア一人旅、だが、これはTVの旅企画のイタリアの登山もの、しかもグループの旅。そして版元は岩波。全てが角田さんっぽくないのでどうよ…とずっと思ってたのだが、今回ようやく図書館で借りられた。
    や〜予想以上に面白かった!案の定初めてのトレッキングに苦労する角田さん。私も山は苦手なので、しんどさがいつまでも続く感じがじわじわと伝わってきてこっちまで息苦しくなる。大丈夫かなと心配になるものの、慣れていくうちに彼女の言葉で語られる自然の雄大さ素晴らしさ、一体どれほどのものなんだろうと読む側も引き込まれていく。合い間合い間の仲間たちとの食事、これもまたおいしそう!そりゃイタリアだものと思うなかれ。登山後の山小屋で皆と囲む食事は山で採れた自然の恵み。雪山で飲む本格的エスプレッソ。そんな環境だからこそ、おいしさがびしびし伝わってくるようだ。
    共に登山する仲間達も皆魅力的なキャラ。何といっても、ガイド役のマリオさん。日本で仏教を学んだという彼、山を登りながらの角田さんとの会話から、「山」と「仏教」の共通点がだんだんわかってくる。本当に「深い」人だ。そして、角田さんの物書きとしての魅力に、改めて気付かされた。
    「この目で見なければその世界は存在しないのと同じことだし、その世界を自分の言葉にできなければ獲得したことにならない。登山者がその気持ちを説明できないまま頂上を目指すように、書き続けることで私も言葉を捜していくのだと思う。」
    自然と向き合うことで、確実に彼女は一皮むけたんだなと感じた。TVの放送、見たかったな〜。

  • ちょうど自分の富士登頂前後に読んだので、分かる部分が大いにあっておもしろかった。そうそう!とか思いながら。

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著者プロフィール

角田光代(かくた みつよ)
1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
1990年、「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。受賞歴として、1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞を皮切りに、2005年『対岸の彼女』で第132回直木三十五賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で第22回伊藤整文学賞、2012年『紙の月』で第25回柴田錬三郎賞、同年『かなたの子』で第40回泉鏡花文学賞、2014年『私のなかの彼女』で第2回河合隼雄物語賞をそれぞれ受賞している。
現在、小説現代長編新人賞、すばる文学賞、山本周五郎賞、川端康成文学賞、松本清張賞の選考委員を務める。
代表作に『キッドナップ・ツアー』、『対岸の彼女』、『八日目の蝉』、『紙の月』がある。メディア化作も数多い。西原理恵子の自宅で生まれた猫、「トト」との日記ブログ、「トトほほ日記」が人気。

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