「アンネ・フランク」を超えて――かくまわれたユダヤの子供達の証言

制作 : 小岸 昭  梅津 真 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 15
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000220644

作品紹介・あらすじ

ナチス占領下のオランダで非ユダヤの家庭にかくまわれ、生き延びた子供達を待っていたのは、壮絶な戦後だった。七〇名に及ぶ克明なインタビュー記録をもとに、アンネ・フランク崇拝神話の陰に隠されてきた個々人の経験と、戦後史の暗部に光をあてる。家族社会学による新たなアプローチ。

感想・レビュー・書評

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  • アンネフランクは最も多くの人から承認されたホロコーストのイコンであると言っても差し支えがないが、戦時中の彼

    女の状況がどれほど異例なものだったということは、それほど知られていない。家族が一緒に潜伏することは物凄く危

    険だった。ユダヤ人の家族全員に部屋を貸すことを同意するオランダ人はほとんどいなかった。なぜなら大人を匿うこ

    とは子供の場合に比べて、より困難で危険だと思われていたからだ

  • 若干フェミニズム的な面に重心が置かれている。社会学・心理学系のアプローチのため、単なる戦時の虐殺や被害者に対する感傷や同情ではなく、「かくまわれた子供達」の様々な事例やその後の人生にまで踏み込んで書かれている。問題を解決するために始めた戦争は、別の問題を発生させ、それは戦争が終わっても終わらず、長く人を不幸にし続ける。

  • ディアスポラ…

    後で書きます

  • 原題は"Beyond Anne Frank"。
    オランダとホロコーストといえばアンネ・フランクを連想するのが一般的だが、その陰に、親元を離れてかくまわれて過ごしたために収容所行きを免れはしたが、精神的に苛酷な体験をした子ども達がいた。本書はそうした「かくまわれた子ども(hidden children)」の証言をまとめ、家族社会学的な見地から論じたものである。

    冒頭は著者による、第二次大戦前後を中心としたオランダのユダヤ人史。
    オランダのユダヤ人は70%以上がホロコーストで命を落としており、この割合はポーランドに次ぐものなのだそうだ。また、アンネのように一家で隠れて暮らした例は非常に稀で、子どもだけを非ユダヤ人家庭に預けた事例が多かったのだそうだ。
    戦後、両親とも生き延びて戻り、里親宅から引き取られた子、片親だけが戻った子、両親ともに命を落とし、孤児院に行った子など、子ども達は様々な運命を辿った。
    著者は多くの「かくまわれた子ども」にインタビューをし、非常に丁寧にまとめている。

    解釈や論評は避けたいが、1つ言えるのは、収容所に行かずに済んだからといって、子ども達の人生が楽なものだったとは限らない、ということだ。証言者たちが語る「私の戦争は戦後始まった」という言葉が象徴的である。
    それぞれが語る具体的な事例には静かに耳を傾けさせる重みがある。

    *「超えて」といわれると、何だか凌駕する意味があるように感じてしまうが、"beyond"って、ただ時間的にそこを通り過ぎた後、というようなニュアンスなのかな? それともあまりにも大きいアンネのイメージを乗り越えて、というような感じなんだろうか?

    *二段組、400ページ弱は、素人には少々ハードだった・・・。

  •  ナチス占領下のオランダでかくまわれていた「アンネ・フランク」は有名ですが、彼女以外にも同じような境遇に逢っていた人はたくさんいました。
     人として知っておかなければならない歴史の一つだと思います。
    (教育学部・学校心理/匿名希望)

     ナチスによる戦争のやり方はとてつもなくひどいものだった。
     しかし、生き延びたユダヤの子どもたちにとっては、戦後が本当の戦争だった。
     内容が充実しているので全部を読み切るのが大変ですが、1フレーズ読むだけでも心に何かズッシリと重く考えさせられるものがあります。
     戦争を知らない世代だからこそ目を背けてはならない真実です。
    (教育学部・音楽専修/匿名希望)

  • ナチのユダヤ迫害のあいだ、一般の家庭にかくまわれていた当時子供だったオランダユダヤ人へのインタヴューの記録。こういった本にしては読みやすかったと思う。ひとりひとり順番に書いてあるのではなくて状況ごとに書いてあるので同一人物のことが数か所に分けて書かれていることがあって、これは少しややこしかったけれど飽きないという点ではよかったと思う。かくまわれたあいだ、そして戦後の暮らしは程度の差こそあれどほとんどの子供たちにとってひどく苦しいものだった。ナチスの迫害により多くの身内を亡くした彼らの傷に加え、間違った判断や心ない人びとの行動がさらに追い打ちをかけていった。わたしが興味を持ったのは適応力というものだった。幼いうちに、こういったいろんなショックや変化にどれだけ適応できたのか、というかそうせざるを得なかったのだろうけど、それによってどんな影響が生じたかとか。わたしは今になっては適応力というものをほとんど持ち合わせていないけれど、小さい頃はもう少しあったような気がするし、それは必要なものだと思う。でもじぶんのためにいろんな部分を制約していくと、次第にそうでなければ我慢できない状態になっていってしまう。もちろん選びようのない境遇になったら諦めるのだろうけど、そこまでには苦しいものをくぐり抜けなければいけないわけだからね。

  • 日経新聞2011年3月6日、岩波広告
    申し訳ないことに、序章を読んだだけで読み進めることができなかった。

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