- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000220859
作品紹介・あらすじ
『長くつ下のピッピ』を生んだ児童文学作家リンドグレーンが、たったひとり文通を続けた相手は、問題を抱えた思春期の少女サラでした。心の内面を打ち明ける少女に、作家は愛情と信頼を寄せ、共感やユーモアに満ちた言葉で、はげまし続けたのです。いま、時を経て、ふたりの八〇通以上の手紙が、一冊の本になりました。子どもから大人まで、すべてのひとに贈る、ある友情の記録。
感想・レビュー・書評
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梨木香歩さんのコラムで本書に触れた箇所があり、興味を覚えて読んでみた。
『長くつ下のピッピ』、『名探偵カッレくん』シリーズは、私も子どもの頃に愛読した(これが同じ作者によるものだと知ったのは大人になってからだったが)。その生みの親リンドグレーンのもとには世界中からファンレターが押し寄せたという。当然ながら、彼女がいかにその全てに返事を書きたいと思っても無理な相談だった。
しかし、ある日、リンドグレーンは12歳の少女から手紙を受け取る。とても個性的で、生きづらさを感じさせる多感な少女の手紙に、どこか引かれるものがあったのだろう。リンドグレーンは懇切丁寧に返事を書くのである。そしてそこから歳の差50歳の相手との10年以上にわたる文通が始まるのだ。
まるで物語のような話だが実話である。物語の作者との文通なんて、本好きなら一度ならず空想するものだ。
2人の関係はとても不思議である。実際に会ったことはないという。リンドグレーンは生前この文通の話を誰にもせず、文通相手の少女サラも積極的に公表したりはしなかった。突拍子もないサラの手紙を目を細めながら読むリンドグレーンの姿が浮かんでくる。彼女の手紙から感じられるのは愛情、そして歳の離れた友人への敬意である。
しかし、サラの成長とともに2人の秘密の文通は徐々に間隔が開き、微妙なすれ違いも生じていく。自分の知るサラが少しずつ変わっていくことをリンドグレーンは敏感に感じとっていたはずだ。これはハッピーエンドで終わる話ではない。ただリンドグレーンの優しさや深慮、思いやりがとても強く感じられるアーカイブである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2人の文通が始まったのは、アストリッド・リンドグレーン63歳、サラ11歳の時。
思春期の不安定なサラに、きちんと向き合っているリンドグレーンの真摯さに打たれた。
51歳もの年齢差を超えて、意見を押し付けることなく対等に、友達として。と同時に、おばあちゃんが孫を心配するように慈愛に満ちている。
こんな対応ができるリンドグレーンはどんな人だったのだろう。どのように生きてきたのだろう。
今ちょうど、彼女の人生を描いた映画「リングレーン」が放映されている。観に行かなくちゃ。
子どもの頃夢中になって読んだリンドグレーンの本、全部読み直したくなった。-
各位
昨年ブクロクに登録した本の中からベスト7を選びました。
なお、平成31(2019)年3月27日に読み終わった本からブクロクで管...各位
昨年ブクロクに登録した本の中からベスト7を選びました。
なお、平成31(2019)年3月27日に読み終わった本からブクロクで管理するようにしています。
① なんとなく・青空 / 工藤直子 / 詩 / 本 /読了日: 2019-12-11
② 螢草 / 葉室麟 / 本 / 読了日: 2019-12-16
③ あなたのためなら 藍千堂菓子噺 / 田牧大和 / 本 /読了日: 2019-04-10
④ 甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺 / 田牧大和 / 本 / 読了日: 2019-05-04
⑤ あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇 / 田郁 / 本 /読了日: 2019-09-14
⑥ てらこや青義堂 師匠、走る / 今村翔吾 / 本 / 読了日: 2019-08-27
⑦ ひかる風: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(四) / 中島久枝 / 本 / 読了日: 2019-07-23
※もしよろしければ、皆様の昨年感想を書かれたものの中からベストの順位を教えて頂けたら嬉しいです。
やま
2020/02/07 -
やまさんへ
昨年ベスト7のご紹介ありがとうございます。やまさんのレビューから手に取った『甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺』とても良か...やまさんへ
昨年ベスト7のご紹介ありがとうございます。やまさんのレビューから手に取った『甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺』とても良かったです。
さて、私のベスト7は…迷って決められませんが、う~ん、一冊『鳥と花の贈りもの』串田孫一/作 は選びたいと思います。
Koringo
2020/02/08
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『長くつ下のピッピ』や『やかまし村の子どもたち』などの作品でスウェーデンの豊かな自然に囲まれて伸びやかに育つ子どもたちを描き、世界中の子どもたちを魅了したアストリッド・リンドグレーンと、一読者だった当時12歳の女の子との、20年以上に及ぶ往復書簡集です。感受性豊かで傷つきやすい10代の少女サラからの手紙に、世界的に有名なリンドグレーンが誠実に手紙を返しています。それは父親から虐待を受け、孤独と不安の中にあるサラの苛立ちや迷いが、自分自身の若い頃と重なって放っておけなかったからでしょうか。手紙の中で、サラの人生の可能性が花開くのと見届けたいと綴られ、無謀なサラの思いに寄り添い、励まし、共感を与えています。今は50代後半になっているサラが、この往復書簡を公開するに至る思いも「本当に最後の手紙」と題して書かれています。私たちはこの本を読むことで、リンドグレーンの作品の根底に流れている生きとし生けるものへ向けられる暖かい眼差し、子どもの本を書く作家として子どもたちの幸せを願う気持ちを、確信を持って受け取ることが出来ます。リンドグレーンがこの世を去って10年後の2012年に出版された本が、石井登志子さんの訳によって日本の私たちの元に届けられたことを喜びたいと思います。
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スウェーデンベストセラー作家
アストリッド・リンドグレーン作品
リンドグレーンが一人の10代の少女と取り交わしていた手紙についての
資料的な本
少女 サラの環境を心配しつつ
的確なアドバイスをしている
今でいう、SNSな関係を築いていて興味深い
着かず離れずな微妙な距離感は参考になる -
不安定な少女をよくサポートしたわねー
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長くつ下のピッピのリンドグレーンが、色々と問題を抱えた10代の少女サラと何年にも渡り文通を続けていたことがわかり、その全往復書簡をそのまま公刊したもの。リンドグレーンの死後にサラから送られた短い最後の手紙、そして、公刊にあたり、サラが綴った手紙が深い感動をもたらします。
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12歳の少女サラがシンドグレーン(52歳)に手紙を書く。リンドグレーンが原作の映画に出演したかった。40歳も年の違う二人は、ここからリンドグレーンが亡くなるまで80通以上の手紙を交わします。
女優になりたかったサラ(確かにカワイイ)。ティーンエイジャーらしい希望と悩み、両親との葛藤、先生への恋心。刹那に綴るサラと、真摯に向き合うリンドグレーン。
サラの喫煙を気遣うリンドグレーンの親心(?)。
単なる作家とファンの文通を超えたやりとりに、羨ましさを感じます。 -
どうしてこの少女だったのか? 多くの手紙の中からリンドグレーンが返事を書き、気にかけ、長年の文通にまで至ったのがなぜ彼女だったのか?
時々わかるような気がし、でも時々わからない。