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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784000220941
感想・レビュー・書評
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俵万智さんの著作『生きる言葉』の「7 恋する心の言語化、読者への意識」の「コラム 河野裕子の恋の歌」に、俵さんはこう書かれています。
「歌を作りはじめた頃の自分が、抱きしめるように読んだのが河野裕子の第一歌集『森のやうに獣のやうに』だ。
そして、その中の歌「たとへば君 ガサっと落ち葉をすくふやうに私をさらって行ってはくれぬか」を取り上げていました。
さらに、俵さんの第二歌集にある「チューリップの花咲くような明るさであなた私を拉致せよ二月」という歌を取り上げて、「たとへば君」の変奏曲ではないか、と書いておられます。
また、訃報に接した時、「すべてにおいて先輩として追いかけてきたことを、あらためて感じた。」と書いておられていて、わたし(みのり)も河野裕子さんの歌集を読みたくなりました。
この歌集『あなた』は、裕子さん亡きあと、夫の永田和宏さん、長男の永田淳さん、長女の永田紅さんの三歌人が、裕子さんが生涯につくった歌の中から1500首あまりを選んでまとめた歌集で、第一歌集『森のやうに獣のやうに』も載っていました。
裕子さんは、17歳から25歳までの作品三百余首がおさめられたこの歌集について、あとがきで、「これは私の青春の証である。」と書いておられます。
「他にも生き方があったのではなく、このようにしか私には生きられなかったのである。」とも。
青春の瑞々しさがストレートにわたし(みのり)の(たぶん心に)響いて、胸のあたりがぞわぞわとくすぐったくなりました。
韻文は直接に胸に(心に?)刺さってくるので、良いですねともコワいですねとも感じます。本人が意識する前に涙が出ていたりしました。
ここには引用することなく、しずかにたいせつに読ませていただくことをもってレビューといたしますね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
永田和宏さんの「はじめに」によると、河野さんは6585首を15の歌集に残したそうだ。本書はこのなかから1567首をご遺族が選んだもの。各歌集に河野さんの「あとがき」とご遺族の回想も収録されている。感受性豊かな女性の青春から亡くなるまでが、濃密につづられた一冊。
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河野裕子は子、夫、家族をうたい、妻や母という立場を高らかに歌う。また死の原因になった乳癌に対しても隠さず、進行する病とともに歌はすこやかとも言える深化を見せている。家族や身体への目線が母性や女系に直結しすぎるという批判もあるが、対象とわれ、歌とわれとが同化するような柔軟でとけやすい主体が印象的だ。(野口あや子)
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著者:河野裕子、編者:永田和宏、永田淳、永田紅(物質-細胞統合システム拠点)
「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が」──
2010年8月12日、この歌を遺して、現代短歌を代表する女性歌人・河野裕子は世を去った。いまだ愛されつづける約6400首の作品から、夫・永田和宏、長男・永田淳、長女・永田紅の三歌人が、約1500首を選ぶ。はじめて読む人にも、長年の愛読者にも、必ずや心に響く、決定版・河野裕子短歌セレクション。(解説=三枝昻之) (amazon.co.jpより)
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