11の国のアメリカ史 上 分断と相克の400年(全2冊)

  • 岩波書店 (2017年10月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784000220972

みんなの感想まとめ

アメリカ合衆国の形成過程を、11の異なる文化圏として捉える視点が新鮮で、歴史の理解を深める手助けとなります。植民地時代から建国に至るまでの経緯や、各民族集団が母国から移民した背景を詳細に描写しており、...

感想・レビュー・書評

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  • ヨーロッパ各国の植民地から独立してアメリカ合衆国になったわけだが、その経緯についてはほとんど知らなかった。それを理解するために、11のネイションという見方が都合がいいらしい。
    地理が不案内なのでなかなか理解が難しいが、雰囲気はわかってきた。

  • 納得した文章
    「ヒトラーと裕仁天皇は、歴史上他のどの行為者よりも極西部とエル・ノルテの地域の発展に多大な貢献をなした。国内植民地として長らく搾取された後、両ネイションは、連合軍が戦争に勝利するのを手助けする産業基盤を突如として与えられたのであった。この二つのネイションは造船所と海軍基地(サンディエゴとロングビーチ)、飛行機製造工場(ロサンゼルス、サンペドロ、ウィチタ)、総合的な製鋼所(ユタ州とカリフォルニア内陸部)を得た。ニューメキシコ州には核兵器実験室(ロシアラモス)と実験場所(ホワイトサンズ)があった。滑走路や近代的な空港がこの地域一帯に建設された。こうした施設は地域の孤立状況を改善し、住民は極西部を奴隷状態に置いてきた輸送機関の独占に対して初めて抗議の声をあげた。これら二つのネイションにある軍事施設と軍需工場の数は、冷戦期には住民人口をはるかに凌ぐ割合で増え続けた。今日これらのネイションの人びとは軍産複合体に依存しており、そのことが両ネイションの政治的優先順位に影を落としているのである。
    こうした影響に加えて、エル・ノルテは、農場と鉄道の労働者が新しい軍事工場での賃金のより良い仕事へと移動するのに伴い、戦時中に深刻な農業人口不足を経験した。その解決策は、戦時の外国人労働者計画であった。それにより二五万人のメキシコ系移民がエル・ノルテに流入することが許可された。それは、はるかに大きな規模ではあるがあまり組織化されていない戦後の外国人労働者計画の基盤を築いたが、数十年後に権力バランスをノルテーニョへと戻すことになるのだった。」

    「二〇〇〇年の大統領選挙の後、ディキシー・ブロックは四六年ぶりにホワイトハウスと上下両院とを同時に掌握することを成し遂げた。ホワイトハウスは深南部の大統領(ヒューストン育ちでブラゾス渓谷に拠点をおくジョージ・W・ブッシュ)によって率いられ(中略)た。
    アメリカ合衆国の外交政策は、伝統的な原則から即座に根本的な転換をした。それは二〇〇一年九月にテロリストによってニューヨークとワシントンDCが襲撃された後に加速されることになる転換であった。新しい計画は、軍事力を通して世界の唯一の超大国としてアメリカ合衆国の地位を高めることであった。すなわち、潜在的な敵に対し一連の先制攻撃戦争をすること、不都合な条約や国際機関、あるいは外交義務は何であれ二次的なものとすること、またイスラエルとの関係を除いて、伝統的な同盟者との重荷になりうる関係なら断ち切ることである。」

    内戦を避けるために対外戦争を繰り返すうちに、アメリカはイスラエルに乗っ取られてしまったということか。

    「支配的な集団である深南部と大アパラチアは、歴史のほぼすべてを通して宿敵であり、アメリカ独立革命と南北戦争の両方では互いに武器を取って一戦を交えたのであった。格下のパートナーであるタイドウォーターは、南部の隣接ネイションに比べてアパルトヘイトや権威主義にあまり関与しなかったし、今日では次第にミッドランドの影響に入りつつある。
    また深南部の指導者は、タイドウォーターのエリート紳士的穏健さの傾向や多くのボーダーランド人のポピュリスト的感情にも対処しなければならなかった」
    この文章は納得できない。
    紳士的穏健なタイドウォーターはワシントンDCを囲むメリーランド州とバージニア州という連邦政府だ。連邦政府はアメリカ国内で1000回もの核実験を行い、46州に被爆者を出し、モルモン教徒や退役軍人をモルモットにした。人種問題以上に核実験は闇が深く触れられないタブーなのだとわかった。

    本書は人種や宗派に焦点をあてたリベラル・ブルー州のために言い訳だと思う。

  • 翻訳文が読みにくいが故に半年ツンドクだったが、着手後は興味深い内容のために一気読み。「Nations」を「国々」としているのだが、これは原題が示す「11の相互に競い合う北米内の地域的な文化圏」のこと。植民地時代から建国に至る歴史を、それぞれの民族集団が母国から移民するに至った背景や、各地における社会形成の経緯を詳述。異なる11の「国/Nation」を利害や政治志向が異なる集団として捉えている。現代アメリカでは、政治的な二分化や貧富の差の拡大ばかりが注目されるが、根底にあるのはこういったネイションの差異なのだということを改めて実感。

  • カナダ、メキシコも含めた北米大陸における入植から21世紀迄の発展の歴史。
    州や民族とは異なるネイションというまとまりで動いてきたとするもの。独特な彼らの行動傾向や相剋の由来を追うことができる。
    地名人名に馴染みがなく、文章がやや読みにくい。
    北米植民地史という面だけでなく、現代社会の動きまでの理解に繋がる良作。
    もう少しアメリカの知識が増えたら読み直したい。

  • アメリカの地理が頭に入ってないので、本の内容が頭にスッと入ってこない。こらから読む方には、本の中にある地図で、11のネイションの位置関係を確認しながら読むことをオススメする。それをするとしないとでは、本の理解度が全然違う。あとヤンキー(チンピラという意味ではない)とかニューイングランドとか、多くの人にとっては耳慣れない言葉がよく出てくるので、頻出する分からない言葉はネットで調べたほうが良い。
    余談だかワシントンDCはワシントン州にあると思ってたが違うのね…。不勉強を思い知らされた。

  • 上巻を読了。いやー、興味深い。アメリカ人の書いたもので(つまりアメリカ史やアメリカ社会の基本的な知識があることが前提で書かれていて)、かつその翻訳なのでやや読みづらいが、内容は非常に面白い。
    なるほどですねぇ…アメリカの建国史。
    端的な例として、独立戦争にしても、アメリカが一丸となってイギリスに対した訳では全くないという(アメリカ史に詳しい人には既知のことかもしれませんが、おそらく多くの日本人にとってはそこまで詳しい経緯を知らない)事実を改めてトレースすることにより、各地域の特色が21世紀の今にまで大いに繋がっているのだなぁ…と再認識します。

  • 視点は面白く、なんとなく感じているアメリカの文化の多様性を整理して考えるきっかけになった。ただ、こうした議論ではある程度避けられないのだろうが、何を根拠にそう言っているのだろう、と感じさせるところも多く、雑な議論と言う印象は免れない。アレキサンダー・ハミルトンについての評価も史実に沿っているのか疑問。

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