11の国のアメリカ史 分断と相克の400年 (下)

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000220989

感想・レビュー・書評

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  • 北米の発展を11のネイションそれぞれの歴史により解説する本の下巻。下巻は1815年から開始。ヤンキー、ミッドランド、アパラチア、ディープサウスがそれぞれ西に拡張し、エルノルテの征服(メキシコの一部だったテキサス併合)を経て極西部およびレフトコースの成立へと。

    極西部エリアが入植には全く適さない土地なのに広告に騙されて押し寄せた人々が困窮した話や、これら州では土地の大半が依然として連邦政府の所有下にある話、日本との戦争が西部沿岸の産業勃興の礎となった話(サンディエゴの海軍基地やLAの港湾設備など)は初見だった。

    翻訳の文体には最後まで慣れなかった。

  • いや、とても勉強になりました。私たち日本人のようにネイションとステイト…噛み砕いて言えば、歴史的民族と政治機構としての国家がほぼ一致している国に生まれ育った身には肌感覚的に瞬時に分からないところがある訳ですが、アメリカは作られた国であり、かつ、そこに移り住んできた人たちの出自と年代により、性格の違う11のネイション(アラスカとハワイを加えれば13)が連合した国家である…ということの、歴史を遡って辿った本。
    建国時の各ネイションのDNAが、現在の、例えば大統領選挙や支持政党にも色濃く残っているのは興味深い。
    アメリカ史とアメリカ文化、知れば知るほど面白いですね… 正直、「歴史の浅い人工国家」と舐めて(?)いたところが私自身なきにしもあらずですが、いやいやどうして。奥が深い。

  • 11のネイションで見ると、アメリカの文化・政治の流れが理解できるとする。
    スイング・ステイトがなぜ揺れ動くのか、レッド・ブルーステイトについてもその理由が見えてくる。
    ただ、それだけでは今のトランプによる米国分断の現状と、次の大統領選挙の結果は見通せない。
    でも、鍵はこの中にあるのかもしれない。

  • アメリカ合衆国について、新たな視点を得ることができた。

    グローバル企業が立地し、国際政治や世界経済を動かす機関や人物が集中している場所もアメリカ合衆国だが、地域コミュニティや宗教的価値観を重視し、ローカルな文化が深く根付いている場所もアメリカ合衆国である。

    単純に北部と南部、西海岸と東海岸といった区分ではなく、また産業立地だけでもない形で複雑でそれらが入り混じっており、一言でアメリカ合衆国といっても、それの姿を捉えるのは非常に難しい。

    歴史的な経緯として、イギリス系、フランス系、北欧系、ドイツ・東欧系といったそれぞれ異なった時期にアメリカに到達した移民が入植した土地の違い、ピューリタン、クェーカー、福音派、モルモン教といった宗教的背景等がそれらの要因になっているということがよく分かった。

    また、カナダやメキシコも視野に入れ、アメリカ合衆国という現在の国境の枠組みに囚われずに考えてみるという視点も、非常に示唆に富んでいた。

    特にメキシコとの国境を含む地域では、もともとメキシコ北部の人的な蓄積の方が大きく、歴史的には人口や産業基盤の弱いアメリカ南部諸州からメキシコ北部への人の流入もあったということである。現在も、メキシコの中では南北問題があり、メキシコ北部はアメリカ南部との連携を強め、この二者で連携して独立(アメリカ南部にとってはニューイングランドからの、メキシコ北部にとってはメキシコ中南部からの)した方が、経済的な一体性と競争力が高まる可能性もあるということは、これまでに考えたことのない視点であった。

    アメリカの現在を考えるうえでも、これからのアメリカ情勢を予想していくうえでも、非常に興味深い本だった。

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