アメリカ 暴力の世紀――第二次大戦以降の戦争とテロ

制作 : 田中 利幸 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 76
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000220996

作品紹介・あらすじ

第二次大戦および冷戦の覇者、アメリカ。そのアメリカは、どのような経緯で現在の世界の、そして自国の混沌を生み出してしまったのか。大ベストセラー『敗北を抱きしめて』の著者があらたに取り組む、アメリカの暴力の歴史。軍事をめぐる歴史と、テロなどの不安定の連鎖拡大の現状について、簡潔に、かつ深く洞察した。特別の書下ろしとして、トランプ時代を危惧する日本語版オリジナルの序文を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 現在のアメリカの「テロとの戦争」に至るまでの歴史とイデオロギーを豊富な資料を駆使しつつ振り返る。わかりやすく簡潔に書かれている。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file7/naiyou26001.html

  • 戦争のためにどの主要国家も、物的ならびに人的資源を組織的に活用した。しかし、アメリカ合衆国ほどそれを効率的に行った国はなかった。しかも、アメリカだけが、戦場での死傷者は別として、その軍事力の故だけでなく地理的安全性にも恵まれて、世界的規模で行われた武力紛争から国内が無傷でいられた国であった。この点がいくら強調しても強調しすぎることのない特別に重要な遺産であった。(p.26)

    集団思考というものがどういう形をとるのかということを見事に露呈しているだけでなく、自分達が仲間同士だけの思考範囲にとどまり、世界を、あるいは自分自身を他者の目で見てみる、とりわけ敵対者ないしは潜在的な敵対者の目で見てみることを回避するという、狭隘性を意図的に維持し続けたことを意味していた。アメリカ合衆国は、確固たる意思がなかったためにベトナム戦争では敗北したという「ベトナム症候群」の説明は、真の問題から目を逸らしてしまう。(p.119)

    「アメリカの例外的な美徳」という神秘的観念には、無責任、長髪、残酷な軍事力への陶酔、偏執狂、傲慢、容赦のない犯罪行為に、そして犯罪的怠慢にさえ、真剣に考慮を払うという機能が欠落しているのである。(p.144)

  • 近現代史の巨匠であるジョン・ダワーによる本作は、トランプ就任前の2016年9月の刊行でありながら、トランプが明確に志向するアメリカの暴力を伴う拡張主義を、第二次大戦以降のアメリカ史を丹念に追うことで、それがアメリカという国に強く紐づいている(リベラルとされるオバマ政権時代であってもそれは全く変わることがない)ことを示す論考である。

    これを読むと、改めてアメリカという国が、「本当に存在するかも疑わしい脅威にパラノイアックに固執し、自らの暴力をエスカレートさせていく」異常心理を根底に持つことが、やはりアメリカをアメリカたらしめているのかもしれない、という仄暗さを感じざるを得ない。一方で、脅威をパラノイアックにエスカレートさせていくのは最早アメリカだけの伝統芸ではなく、日本も含めた多くの国がそうなのかもしれない、とも思う。

  • 東2法経図・開架 319.5A/D89a//K

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