生き延びるための思想 ジェンダー平等の罠

  • 岩波書店 (2006年2月7日発売)
3.65
  • (11)
  • (12)
  • (23)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 147
感想 : 14
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784000221511

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

言葉を奪われた人々に寄り添う姿勢が全編を通じて感じられるこの作品は、フェミニズムの核心を探求し、日常生活に根ざした思想を提唱しています。著者は、現代社会におけるジェンダーの問題を深く掘り下げ、女性だけ...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ほんとうに、ほんとうにことばをもたぬ人に、徹底して真摯に寄り添う姿勢を、全編からひしひしと感じる。
    こちらは緊張していた心身がほぐれていくような。あー。

    上野千鶴子という人は、圧倒的な知力を、こんなふうに使う人だったのか。
    すっげえ。

    *****

    最後の対談「補論 生き延びるための思想」がすごくわかりやすい。
    (上野さんもあとがきに書いておられるが、このインタビュアーの方、ほんっとうにすごい…)

    我も難民であったのか、とハタと膝を打つ。

    この国のくれるコトやモノがことごとく、遠いかんじがしていた。
    私が大切に思うことはことごとく、この見慣れ馴染んだはずの社会から、こぼれおちてしまう。
    諦念の中に暮らしていた。諦念にすら気づかずに。
    「当事者とは、まず言葉を奪われた人たち」

    *****

    遺憾なことなのか僥倖なのか知れぬが、フェミニズムど真ん中な現場で仕事をさせて頂いている。
    私自身、「女性ではない」ために、時折、自分で自分を切り落とすような気持ちになりながら。
    いらだちと孤立感を、あるシンポジウムで「質問」という形をとって、上野さんに直接ぶつけてしまった。(今思えば、上野さんご自身には全然関係ないのに、八つ当たりですよね)
    ぴしゃりと言われた。「私はこの立場で話をするよう頼まれて来ているので、そのように話しました」

    この本に既に、書いてあった。
    「アンタが言っていいのなら、アタシだって、という気持ちをいろんな立場の人に持ってもらえたと思ったから。フェミニズムがすごく良かったと思うのは、その点です」

    どんなふうにか分からないが
    私の立場の言葉を、私たちが探す。入り口に立たせてもらったんだな。

    *****

    次は、スピヴァク『サバルタンは語ることができるか』を読まねばな。

  • 私が考えるフェミニズムは
    弱者が弱者のままで
    尊重されることを求める思想のことだ

    P235
    「命より大事な価値がある」っていう
    イデオロギーへの嫌悪

    P238
    「男士仕立ての思想」で
    それにまんまと騙されて
    賢いふりをした愚かな女がいる

    P238
    男仕立ての思想に騙されやすいのが
    エリート女の宿命

    P239
    ヒロイックな価値に向けて
    男たちを競い合わせるような
    うまいしくみもできている ※

    P240
    ヒロイズムは女のというか
    フェミニズムの敵だ

    P240
    フェミニズムって
    やっぱりダサくて日常的で
    「今日のように明日も生きる」ための
    思想なんです。
    じゃないと子どもも産んでいられない

    P69
    「公的男性/私的女性」という「分業」のなかで
    女性に指定された「私的領域」とは、
    フェミニズムが明らかにするようにその実
    「公的に構築されたもの」であり、
    そればかりか「女性」とは
    市民的諸権利からの排除によって定義された
    もうひとつの「階級」であった ※

    P76
    ジェンダー本質主義が根底からくつがえされた今日、
    「産む性」だからというだけで
    「女は平和主義者」ということもできない ※

    P85
    わたしは「いのちより大切な価値がある」
    と思っていない。
    フェミニズムは「生き延びるための思想」
    だと思っているし、
    そのフェミニズムにとってヒロイズムは
    マイナスにこそなれ
    利益になることなどない ※

  • 歴史に学ばないものは、歴史に復讐される
    差別者になるためには、差別されるものが必要になる。差別されるものがおらず、全員が差別者である社会は考えられない
    軍隊では国家による暴力の占有である
    国家権力によって正当化された暴力の行使は、軍隊を警察権力と呼ばれ、正当化されない暴力の行使のうち、市民の間で発生するものは犯罪と呼ばれる
    夫権の揺るがないところでは寛大に振る舞っていた夫も、それが危機に陥ると暴力を行使する傾向がある

  • 女性兵士、慰安婦問題など

  • 印象に残ったこと

    戦争は男だけでは出来ない。ということ。
    先日訪れた昭和館の見学で、戦争は男が戦地に行き、女が産業と家庭を支えるという役割分担で成り立っていた、だから総力戦なのだ、軍人のみが英霊となるのはおかしいと感じたことを思い出した。
    男が安心して戦争へいけるようにした女も同じく責任を負うということ。

    上野千鶴子さんは、ジェンダーを切り口にしつつ、社会の様々な対立構造(軍人と対抗勢力、民族等)を指摘して一方的な価値観の押し付け=命より重い価値があることを批判する。
    また、慰安婦問題について韓国だけではなく北朝鮮や中国を挙げたことも、本人が国境や国家と個人は関係ないと言う主張に筋が通っていて、ジェンダーを特別に偏重するのではなくそこからあらゆる人を尊重して考えることを教えてくれた。

  • 著者のおおもとの考え方ってこれなんだと思った

  • 男仕立ての思想の刷り込みから自由になって、いまここでを生き抜く言葉と知恵を持っていきたいと思う。
    「命より大事な価値」はあるのか、「尊厳ある生」と言う時、「生」と「尊厳」どちらに力点があるのか。という問いかけにはどきりとした。

  • 「市民とは公領域に公民として、すなわち私的な領域をプライバシーとして封印したまま、互いに「同じであること」を偽装して登場する個人のことである。このプライバシーの領域には、セクシュアリティから、再生産、扶養や依存の有無、障害などさまざまな差異が、封じ込められている。それらの差異をあたかも存在しないようにふるまうのが公領域の「同じであること」を担保する作用であり、これを公平と呼び慣わしてきた。その公的領域のゲームでは、差異の付加がまったくない者を模範に近代的個人像が作られており、そうした人々が、もっとも有利になるようにルールが作られている。(p.39)」

    →いくつかの論考が収められているが、「同じであること」をめぐる上記の箇所が全体を貫く本質的な論点となっている。ある基準を元(上野によれば、それはつまり「健康な壮年男性」ということなるだろう)にした「同じであること」の上にある現在の社会を解体し、さまざまな差異に開かれた、差異を前提とした社会を構築することが必要。
    →「公平」を謳う言葉の中に隠蔽された不公平を読み解き、問題点をオープンに発見できるような言葉を選んで再定義していく様には共感する。批判に対してものすごく開かれた文体。

  • 本質を見抜いた発話。読後はすがすがしさを感じる。批判者を思いやる気持ちがずんずん入ってくるので、人間的な優しさも感じる。ただ・・・。談話を読む限りは「品」はあまり・・・・(^_^)/~

  • 201010
    持ち帰ってよまずにいられないおもしろさ。ただ読むほどに男性から敵視されるに違いない思考スタイルが身につく。

  • 「女も男並みに戦争に行け」ではなくて、「男も女並に命を大切にしろ」ってこと。
    祈るしかない時もあるけど、祈ってたって変わらないのよね。久しぶりに読んだ上野千鶴子。相変わらず凄まじい逆風を切って颯爽と走ってました。 惚れ直したぜ。 

全11件中 1 - 11件を表示

著者プロフィール

東京大学名誉教授,NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長

「2024年 『挑戦するフェミニズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上野千鶴子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×