絵本の力

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000222594

感想・レビュー・書評

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  • 絵本は、けして子どもたちのためだけのものではなく、大人でも心動かされるものが多くある。絵本を通していろいろな世代が共有できる想いがある。幼い頃読んだ絵本を読み返すと新たな発見がある。絵が美しいもの、ことばのひびきが美しいもの、絵本の魅力を再発見し、絵本とのかかわりかたについて考えさせられた。

  • 今では当たり前の様々な絵本がどのように日本や世界で発展していったのかや、絵本の持つ力、可能性を知れてとても素敵な本でした。
    私が感銘を受けた絵本でも、子どもはただ読んだだけで何も感じていないことをずっと残念に思っていましたが、「言葉を詩のような響きとしてぱっと感じるだけでいい。一度子供の心の中に伝えておくと、人生の歩みのどこかで発見をする種蒔きになる。」という主旨が書かれていて、これからもたくさん絵本と関わらせてあげたいなと思いました。
    大人が楽しむ絵本の話もとても納得がいき、私もどんどん楽しんでいきたいと思います。
    国内外の絵本作家や絵描きさんに詳しい御三方の会話なので、当然の知識のようにたくさんの絵本が例に挙げられ、こちらはついて行けず、調べながら読みましたが、おかげでいい絵本をたくさん知れて、これから読んでみるのが楽しみです。

  • 5年間ではあるが、図書にかかわる仕事をして、絵本もたくさん読んだつもり。
    それでも、読むタイミング、自分の人生の位置、その時の気持ちで、絵本から受ける影響は都度違っていて、毎回違う感情になる。
    子どもにはたくさん読んであげたいし、自分も気になる絵本は手に取りたい。
    まさしく「絵本の力」
    短く、優しく、分かりやすく、心にまっすぐ刺さってくる絵本。
    改めて絵本の存在に感謝。

  • 絵本が大好きな気持ちがあふれる。
    大切に、大切に読み進めたい一冊。

    河合隼雄さん
    「すべての人が自分の心の中に秘密の花園をもっている。その花園の中に何を植え、何を育てるのかというのは、その人の人生の大切な課題」
    「これだというものをもっている子は、ものがなくても悠々としている。」

    松居直さん
    「耳から聞いた言葉の世界と目で見た言葉の世界が子どもの中で一つになります。そこに絵本ができる。」
    「絵本の中に印刷されている挿絵は静止画ですが、子どもの中に見えている絵本の絵は、生き生きと動いている。」
    『自分で絵本の物語の世界をつくる体験をする。そういう体験が実は絵本の本質に触れることです。』

    絵本体験
    子どもが自分の中に物語の世界をつくる。絵本はその手がかりであって、子どもが自分でつくる世界が本当の絵本であり、絵本体験。
    いきいきと動いている。

    『絵本という空間は、人間の生活の余白みたいなもの』

    柳田邦男さん
    「ほんとうに魂をゆさぶられるような時間と空間を得られる媒体なんだろうかというと、最高のものは絵本かもしれない。」
    「絵本もまたいのちと響き合う表現手段」
    「絵本は言語を越えた、あるいは国境を越えた、音楽に近いようなコミュニケーション手段」

    ー 日本の絵本作り ー
    12世紀から。
    絵で物語を表現するというのは、
    「鳥獣戯画」

  • 三葛館一般 019.5||KA

    タイトルのとおり絵本が持つ力について、臨床心理学者の河合隼雄氏、児童文学家の松居直氏、ノンフィクション作家の柳田邦男氏がセミナーで講演、討論した内容を収めた本書。
    著者それぞれの経験、視点を異にした絵本についての考えや想いが綴られています。改めて絵本のすばらしさについて考えさせられます。具体的な作品名とともにその魅力や読み方についてもたくさん紹介されていますので、懐かしい絵本や興味のある絵本に出会い、すぐに読みたくなるでしょう。
                                  (もも)

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=33882

  • 貸出状況はこちらから確認してください↓
    https://libopac.kamakura-u.ac.jp/webopac/BB00194303

  • 2022.10.3市立図書館
    このところマイブームの松居直さん研究の一環で借りた。
    この本は、小樽にある「絵本・児童文学研究センター」が主催して2000年11月12日におこなわれたシンポジウムを元にして作られており、三人それぞれの講演と、それに続く三人による討議「絵本の力」が収録されている。

    河合隼雄さんの絵本の中の音と歌の話は興味深かった。紹介されている絵本をあらためて読み直してみたい。
    柳田邦男さんは今にして思えば絵本の読者層を大きく広げたパイオニアだと言えそう。この対談から20年余、いまや子どもが必ずしもターゲットではない「絵本」の裾野はずいぶんひろがっている(良し悪しはあるけど)。松居さんははっきりと言葉にはしていないけれど、この時点でそのあたりのこと(子どもに読んであげるものとは別の需要にこたえる絵本の存在)をやや危惧している雰囲気は感じられた。

    松居直さんの講演は、ご自身が絵本をつくる側の立場にいたるまでのバックグラウンドとなる体験を語っている。家に「コドモノクニ」が揃っていて望むだけ読み聞かせてもらい、父親について美術館に行ったり、兄の暗唱する古典に耳を傾けたりと、文化資本にも恵まれているが、なにより京都の子ども時代から接してきた顔ぶれが錚々たるもので改めて驚いた。学生時代に白川静にであっているのは別のところで語っていたが、叔父に須田国太郎がいて、中学の歴史教師井上頼寿のフィールドワークに学びそこから柳田国男の雑誌に投稿してやりとりしている。幅広い教養と感性にめぐまれ、どの専門の道にすすんでもなんらかのことをなしとげたであろうこの人物が、いつのまにか絵本をつくるという場所にいきついて全力でその世界の発展に尽くしてきたのは、控えめに言っても日本にとってなんと運のよかったことか。石井桃子など他にも立役者はいるにはいるが、松居直抜きではいまのゆたかでおもしろい日本の絵本界は存在し得ないのだから。

    絵と同等かそれ以上に言葉を大切にした松居直ののこした作品としては、安野光雅、大岡信、谷川俊太郎とつくった「にほんご」、そして、娘で児童文学者となった小風さち(リズミカルでいきいきした文体の持ち主)の存在が重要だと思った。(小風さち自身は、父親と絵本などの仕事について話し合ったことはぜんぜんないとはいっているが)

  • 絵本の読み方なんて、考えたこともなかった。絵本の持つ力も。
    子どものものと思わず、読んでいこう。
    声に出して。

  • おすすめの絵本が紹介されていたり、
    絵本の感じ方など専門家の視点で面白くまとめられている。

    私の好きな河合隼雄さんも登場するので、とても面白かった!!

  • 興味深く読んだ。読み聞かせの機会があればしてみたい。

  • 3人による対談や講演をまとめたもの。生きていく上で、どんなときにどんな絵本に出会ったかなど、悲喜交々のエピソードにうなずきながら読んだ。
    近しい人の死や被災などの哀しい体験をした後のグリーフケアについても触れられており、もうすぐ阪神淡路大震災から四半世紀なのだと改めて感じた。

  • Vol.116 頭脳をよみがえられる最も安上がりな方法とは!?http://www.shirayu.com/letter/2011/000229.html

  • 昨日友人の子供の2歳の誕生日プレゼントに、図書カードをあげたのですが、

    本を選ぶ目安になればと思い、タイトルだけでこちらの本を買ってつけて贈りました。



    贈る際に、紹介できるようにと自分も読んでおこうと思い、別で購入して読みました。



    私は小さい時に国語の先生だった祖父がよく児童文学を読んでいたのを、膝の上で聞いていたそうです。

    また、「ノンタン」のシリーズの絵本を父親に読んでもらっていたのを覚えています。

    今思えば、あれはすごく恵まれた日常だったのかなと思います。



    子供向けだと思っていた絵本も、すごく深い意図があって細部まで絵と文字が作られていることを、

    エピソード等も含めて紹介されています。

    私も子供が生まれたら、たくさんの絵本を読んであげたいと思いました。



    ■気になった個所抜粋

    ・この絵本のテーマも明らかですね。どんなにたくさんのものをもっていても、どんなに幸福そうに見えても、ほんとにこれだというのは、やっぱり人間は自分で探すより仕方ないし、これだというものをもっている子は、ものがなくても悠々としている。



    ・私は絵本の編集者になって、絵本は子どもに読ませるほんではないという編集方針を第一番に打ち出しました。じゃ、なんですかといわれたとき、大人が子どもに読んでやる本ですと。



    ・生きていくうえで一番大事なものは何かといったことが、絵本の中にすでに書かれているんですね。



    ・大人というのは誤魔化しやすいんだけど、子供は誤魔化せないから。



    ・その王様が言うには、人間の世界って変だ、・・・・(中略)・・・なんで生まれたときにいっぱいファンタジーを持ち、自分の好きな空想の世界でいっぱい楽しみを持っているのに、年が増えるにつれてそれを捨て去って、だんだん狭い専門の仕事や義理人情に縛られていって、最後は悲惨な死を迎えるなんて、人間は全然幸せではない。



    ・テレビとかビデオとか、便利なものがあるから、あれをやらせておいたほうが楽だしね、見せておけばいいし。生きた人間がするのはテレビと違うということを先生が知らないとだめですね。



    ・耳から聴く言葉の体験というのは、言葉の体験ではいちばん大切なことなんですが、それが今ほんとに貧しくなりました。



    ・これからは絵本の絵以上に、文章に対する研鑽をしてゆかないと、次の世代に日本語を伝えてゆく重大な責任が果たせなくなってしまします。すばらしい日本語が子どもたちのアイデンティティを育ててゆくのですから。

  • 2016年11月。
    私はおじいちゃんを知らない。物心ついた時には両家とも亡くなっていたので、子どもにとっておじいちゃんとはどんなものなのかがよくわからないし、でもちょっと憧れたりもする。現実でも物語の世界でも「こんなおじいちゃんいいな」と思う人が何人かいるけど、その中でもトップスリーに入るおふたりがなんと一緒にこの本の著者として名前を連ねている。河合隼雄さんと松居直さん。読まないわけにはいかない!だーいぶ昔、学生の頃に読んでこの度再読。親として書店員として絵本に携わる今だからわかるお話がたくさん溢れている。特に心に残ったのは、悪や怖いことを知るために、物語でそれを体験することがいかに今の子どもたちに大切であるか、そしてそれには昔話や古典が大きな役目を果たしてくれるということ。そして何かを教えこんだり説教じみた絵本はやっぱり違うということ。子どもへの愛に溢れているから絶対的に信頼できる、厳しくも優しいお二方の言葉。大人として親としてこうあらなければいけないと思う。さっきからおじいちゃんおじいちゃんって失礼極まりないけど、もし自分にこんなおじいちゃんがいたらものすごい自慢だなあ。

  • 河合隼雄、松居直、柳田邦男、講演・討議。
    おとながこどもに読んでやる本。おとなでも絵本を。

    C0095

  • 心理学者の河合隼雄、児童文学家で福音館書店のこどものともの編集長松居直、ノンフィクション作家の柳田邦男の絵本についての各々講演と、鼎談。松居の絵本は読んでもらってこその言葉に改めて絵本本質に気付かされた?

  • 絵本は、子どもだけの読み物ではありません。大人になってから読んでみると、子どもの頃には気付けなかったメッセージ、大人だからこそ味わい深く感じるものなどが必ずあります。各々異なる分野で活躍する3人の文化人による、絵本の可能性、絵本と人との関わりについての講演と討論の記録です。

  • 河合さんの発言が示唆的だった。松居さん、柳田さんはどこかですでに聞いている話で、新鮮みに欠けた。

    ただ、松居さんがバーレイの『わすれられないおくりもの』は危険と発言されていることは、そういう見方もあるか、メッセージが強すぎる絵本のイデオロギー性の危険に気づかされた。あくまで与え手の問題が大きいと思うが。

    ・絵本というのは実に不思議なものである。0歳から百歳までが楽しめる。小さい、あるいは薄い本でも、そこに込められている内容は極めて広く深い。一度目にすると、それがいつまでもいつまでも残っていたり、ふとしたはずみに思い出されて、気持ちが揺さぶられる。それに、文化の異なるところでも、抵抗なく受けいれられる共通性をもつ。
    ・(IT革命に象徴される他者性の喪失やリアリティのなさがあるが、絵本は)本当に自分がめくって、自分がその中に入って、自分という存在がそれに関わってみていくもの。:河合
    ・絵本の面白さ。1.昔、子どもに聞かせてやった本を読んで、懐かしく楽しみながら、その意味とか感動を再発見する。2.この20年の新作に触れることで、こんなにも絵本の世界は創作が行われているのかと驚く。:柳田
    ・日本の子どもの本の海外への翻訳は三千点を超えている。言語数は40言語以上。:松居
    ・人間の心の深いところは事実としては語れないことが多いから、どうしても物語るか、イメージになるしかない。:河合
    ・絵本と恐怖

  •  シンポジウムの記録をまとめて作った本です。河合 隼雄さん、松居 直さん、柳田 邦男さんの絵本に対する思いがひしひしと伝わってきます。その中で、柳田さんのお話は、私が4月に聞いた講演と同趣旨の内容でしたが、じ~んときてしまいました。この本の中に出てくる絵本を片っ端から読んでみたくなりました。

     こんなきれいな表紙だったのか。ブログに書き込むまで気づかなかった。図書館から借りてきた本なので、カバーがしてあるせいか、表紙が地味に感じられます。

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