- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000223867
感想・レビュー・書評
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地元の名士として知られ人望も厚いオイレイはある朝、肛門の激痛で目を覚ます。治療のために名うての民間療法士や呪術師の元を転々とするも、一向に治る気配はなく…。タイトルの通り「ケツ」だ「クソ」だと罵詈雑言のオンパレード。人を卒倒させる程の屁だとか、内容も呆れるくらい馬鹿らしくて笑えるんだけど、オイレイの巡礼の旅を巧く使い、自国の民間医療のみならず先進的とされる西洋医学まで、右も左もぶった切りまくる皮肉がむしろ心地いい。国連が頻繁に開催したがる無意味なフォーラムや、援助品のテントが全く違う目的で使われてる様子は、援助を受ける側の立場だからこそ描けるもので。西欧の作品では決してここまで素直に表現されないので、新鮮で良いなぁ。穢らわしいとされる肛門も爪弾きにされがちなオセアニア諸国を表しているんだろうか。そう考えると最後に展開される肛門哲学も馬鹿にできない、壮大な作品なのかもしれない。
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南太平洋諸島の文学ははじめて手にしたけれど、おそれいりました。架空の小島の物語に登場する人物たちのルーツは、中東系、東洋系、旧宗主国系、ネイティブであったりと、さながら世界の縮図。島の旧弊を(ハチャメチャ劇的に)見せつつ、旧宗主国や超大国の論理も笑い飛ばす。
と、したり顔で解説するのも野暮なくらい、すなおに面白い。日本での翻訳版刊行にまつわる著者自身の前書きも、またこれ傑作。 -
でも、日本も最近はそんなにホメてもらえるような国じゃないみたいよ。