- Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000224413
作品紹介・あらすじ
かつてない規模で社会生活に介入している歴史の亡霊と取り組むために、グローバルな社会を生きる新たな倫理のために、「歴史への真摯さ」を提言する。
感想・レビュー・書評
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歴史学はこれまで、多くの人々が歴史的なイメージを持つときに感情や想像力を多く用いていることを軽視しているのではないか、とモーリス-スズキはいう。歴史は学校教育だけではなく、さまざまなメディアから得た細分化されたイメージで人々の頭の中につくりあげられる。メディアはその媒体の得意不得意によって人々に与えるものが異なるが、それらを検討することで、人々が受け取る歴史を考えることができる。おりしも前世紀末には世界の多くの地域で、グローバリゼーションによる世界の不確定性や不安を払拭すべく、ナショナリズム的言説を用いて歴史の受け取られ方を修正したり一部の史実をなかったことにする「抹消の歴史学」によって自集団を守ろうとする動きがあった。これには、自国民には自国民の歴史学、というように多様な歴史学があってよいのではないかという擬ポストモダン的言説が援用されるが、ランケ実証史学のような「たった一つの正しい事実」はないとするポストモダン的歴史学とは見分けがつきにくい。モーリスースズキはしかし、歴史の叙述によって人々の負う歴史責任や連累が異なることを指摘し、「歴史への真摯さ」を見ることであるべき歴史学を探ろうとする。(私的勉強会のテキストとして使用中)
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猫丸(nyancomaru)さんテッサ・モーリス=スズキの糞真面目さが好きです。。テッサ・モーリス=スズキの糞真面目さが好きです。。2014/04/03
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歴史への真摯さとは、わたしたちのうちなる過去、周囲の過去の現在に対する注意深さから始まる。
わたしたちが過去によってかたちづくられていることを認識し、そのために、過去は自分自身や他者を知るうえで、ひいては人間であるというのはどういうことなのかを知るうえで、不可欠 -
私たちの歴史(観)はどんな風に作られていったのか?
今まで、何を以て正しいと思って、それが真実だと思い込んでいたのか?
多面的に検討されていて、とても興味深かった。
こういうメディア研究がしたかったー!と、学生時代の終わりに運命を感じた
本でもあります。
再読必須。 -
2010/07/07
from TUFS library -
輪読。記憶関係について詳しくないけれど、わかりやすい。
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タイトル通り。シュッツの現象学的社会学やライト・ミルズの“社会学的想像力”を下地にして、実は現在というのは過去の絶え間ざる再構成によって成立しているのだ(また、その逆も然り)ということを述べている。サブタイに“メディア”とあるが、一般的な意味のメディアだけでなく、写真なども扱っている点はさすがである。ただ、高橋哲哉にも思うのだが、「歴史に対する真摯さ」という帰結はどうなのだろう?と、思ったり、思わなかったり。苦笑