- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000224819
感想・レビュー・書評
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こちらは、日本における環境経済学のパイオニアの宮本憲一先生による、日本で最初の「環境経済学」のテキスト。
400頁近い大部の著作であるが、文章記述がほとんどで、比較的読みやすい。
日本を中心に、世界の公害・環境問題を幅広く、そして濃密に論じている。
四大公害病の内実も詳細な記述がなされている。
そして、読めばわかるが、「環境経済学」のテキストでありながら、「環境の政治経済学」なのである。
「どのような政治システムの元で、どのような公害・環境問題が起こるのか」を鋭く考察する。
本書の基本的方法論は、「中間システム論」である。
中間システム論とは、端的に言えば、素材と体制の中間にあるものを指す。
素材とは、技術進歩などの生産力の発展などであり、体制とは、資本の利潤極大原理、つまり、資本主義か社会主義かという生産関係のことである。
最後に、中間システムを説明する。
1.資本形成(蓄積)の構造
2.産業構造
3.地域構造
4.交通体系
5.生活様式
6.廃棄と物質循環
7.公共的介入のあり方
a.基本的人権の態様
b.民主主義と自由のあり方
8.市民社会のあり方
9.国際化のあり方
本書によると「以上の九つの中間領域が環境を決定する」のだ。
まだまだ抽象的な議論だが、関心のある方は、本書を読んで頂きたい。
そこにあるのは、深淵な環境の政治経済学の世界である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私が読んだのは古い方だけど、いつ読んでも参考になる本だと思う。教科書だけ読んでると最適汚染、なるほどとか思ってしまうけど、不可逆的な被害において、最適な汚染などないことを、水俣病をはじめとする公害から明示してくれている。
理論は実体を分析するためにあって、理論を実体に適応させてはならない。