環境経済学 新版

著者 :
  • 岩波書店
3.80
  • (2)
  • (0)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 32
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000224819

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • こちらは、日本における環境経済学のパイオニアの宮本憲一先生による、日本で最初の「環境経済学」のテキスト。

    400頁近い大部の著作であるが、文章記述がほとんどで、比較的読みやすい。

    日本を中心に、世界の公害・環境問題を幅広く、そして濃密に論じている。

    四大公害病の内実も詳細な記述がなされている。

    そして、読めばわかるが、「環境経済学」のテキストでありながら、「環境の政治経済学」なのである。

    「どのような政治システムの元で、どのような公害・環境問題が起こるのか」を鋭く考察する。

    本書の基本的方法論は、「中間システム論」である。

    中間システム論とは、端的に言えば、素材と体制の中間にあるものを指す。

    素材とは、技術進歩などの生産力の発展などであり、体制とは、資本の利潤極大原理、つまり、資本主義か社会主義かという生産関係のことである。

    最後に、中間システムを説明する。
    1.資本形成(蓄積)の構造
    2.産業構造
    3.地域構造
    4.交通体系
    5.生活様式
    6.廃棄と物質循環
    7.公共的介入のあり方
     a.基本的人権の態様
     b.民主主義と自由のあり方
    8.市民社会のあり方
    9.国際化のあり方

    本書によると「以上の九つの中間領域が環境を決定する」のだ。

    まだまだ抽象的な議論だが、関心のある方は、本書を読んで頂きたい。

    そこにあるのは、深淵な環境の政治経済学の世界である。

  • 私が読んだのは古い方だけど、いつ読んでも参考になる本だと思う。教科書だけ読んでると最適汚染、なるほどとか思ってしまうけど、不可逆的な被害において、最適な汚染などないことを、水俣病をはじめとする公害から明示してくれている。

    理論は実体を分析するためにあって、理論を実体に適応させてはならない。

著者プロフィール

元滋賀大学学長

「2018年 『翁長知事の遺志を継ぐ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮本憲一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×