核のアメリカ: トルーマンからオバマまで

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000224949

作品紹介・あらすじ

二〇〇九年四月、オバマ大統領は核廃絶への決意を宣言した。トルーマン大統領による原爆投下命令から六〇年余。冷戦、米核独占時代、キューバ危機、米ソ核軍拡時代、冷戦崩壊、NPT体制、「テロとの戦い」を経て、ようやく世界は核廃絶への道を辿ることができるのか?ゴルバチョフ元ソ連書記長、シュミット元西ドイツ首相、ブリクスIAEA事務局長などキーパーソンへの直接インタビューや膨大な公文書をもとに、アメリカ歴代政権の核政策・核戦略を鮮やかに再現、オバマ政権の今後を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 相互抑止は複数の核兵器国の基本抑止が向き合う状況で見られる抑止機能である。基本抑止が一方的な抑止であったのと比べて、相互抑止は文字通り相互に抑止を突きつけあう関係をもたらすのが特徴。米ソの冷戦期に核抑止によって対峙し、核兵器でお互いを強くけん制した状況がまさにこれ。

    アイゼンハワー政権における核抑止力の基準は変化した。米ソの核戦力の数量的比較に基づいて核抑止の効果、安定度を判断するよりもむしろ、ソ連に対する壊滅的報復力を持つことを核抑止の要諦とする方針に重点を置いた。

    戦略的安定の核である核抑止論と、勢力均衡戦略は密接な関連性を持つ。

    インドの核実験は当時の国際政治の力学、米国の中国接近と密接な関係を持っていた。

    冷戦終結後の米国のミサイル防衛構想は、限定的なミサイル攻撃に対する防御を主眼とし、具体的にはロシアからの偶発的な核ミサイル発射や第三世界への核拡散への対応を念頭においていた。

    冷戦後の新たな脅威に対応するために生み出された安全保障戦略に基づき政策クラスターが、ならず者国家とテロ集団からの核攻撃を防止するための政策ツール。

  • アメリカの核政策の推移はよく分かるが、それがアメリカの世界戦略の中でどのように位置づけられているのかが、明らかにされていないように思われる。あと、研究書として、注などをつけた形で出版してほしかった。

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著者プロフィール

吉田 文彦(長崎大学核兵器廃絶研究センター 副センター長・教授)

「2018年 『核の脅威にどう対処すべきか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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