金ではなく鉄として

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 117
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000225168

感想・レビュー・書評

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  • 晩年は寂しい思いをしたようだが、俺はこの人の生き方が好きだ。
    落ちこぼれで人づきあいが苦手で・・・自分と重なる。
    弱いところも強いところも好きだ。
    もっと活躍してほしかった。

  • 新聞の連載記事で知り、書籍化されたら必ず手元に置こうと決めていた作品。堅い分野なのに、柔らかな文章の中に紡ぎ出される言葉や、滲み出る人柄以上に、プロとは何かを考えずにはいられない。他者の為に「からっからに乾いたタオルからただ一滴の水を絞り出す」思いで仕事に向き合うことがあるだろうか?僕は太陽電池で動いているというくだりが好き。私も、金なら鉄でありたい。

  • 2018/11/23
    中坊氏の生い立ち、劣等生(本人談)であったことを知り驚いた。徹底した現場主義であることはとても大事である。対談をベースに編集された本である為、中坊氏本人の語り口調が聞こえてきそうである。また、新聞に連載された作品である為、章立てが短い区切りで読み易かった。

    20220101再読
    親の絶対的な受容。自分は守られているという信頼感があった。そのことはとても大事だと再認識した。

  • 豊島の産廃不法投棄事案では中坊氏と一緒になったこともあったのでとても印象に残っている弁護士さんの自叙伝。非常に正直に書かれてるのでイメージとは違う部分もあったが、むしろ関わった方々の想いに心打たれた。電車内で読んでいて涙が流れました。

  • かの故中坊公平さん。RCCの社長退任・弁護士廃業以降は忍辱の日々だったそうですが、中坊さんの功績は決して忘れ去られるものではないと思うし、この自叙伝的な本を通じて決して驕ることなく伝えてくれていること、とても心に沁みました。
    「条件付きではない絶対的な受容」、心に留めて、与え・与えてもらえるように誠実に生きていきたい。「自分らしくあるための消極の決断」、積極が良しとされ、消極は否定的に見られる世間の基準には惑わされないこと。「幸せは彼方にあるのではなく、人が気づこうが気づくまいが、実は日々の暮らしに、何げなく添うておるのやないか」。「現場主義」、昨今の自分はどれほど実践できているのか…。などなど、タイトルの鉄のようなねばり強さを節々で感じました。
    「委縮せんかて、人の生きる道はいろいろでっせ。大丈夫、僕だって見てみ、なんとかなっとる」、中坊さんの笑顔が目に浮かんできます。

  • 中坊さんが亡くなる直前に図書館で借りた本。

    弱さを抱え続けた一人の弁護士の生き方が描かれている。
    個々の事件については,「私の事件簿」の方を見るべきか。
    しかし,司法制度改革では現場主義を活かすことができたのかな。


    以下引用
    「「公平さん,つかむな,放せよ」。執着すると多くの場合失い,そこから自由でいると,不思議に結果としてついてくる。」(73頁)
    「一日で一番寒い時,それは多くの場合,夜明け前だ。」(121頁)

  • 他界されたの機に再度、読み直しました。やはり、鉄という言葉に惹かれてしまいました。上司に勧められた一冊でしたが、間違いありませんでした。

  • mixiレビューより。

    久しぶりに法学以外の本を読んだっていうこともあって、すごく楽しく読めました。
    危なっかしいようで押さえるべきところはきっちり押さえているところ、自分をちっとも飾らず、弱さを受け入れた上でそれを努力と愚直さで補い、乗り越えようとするところ、ときたま口にする含蓄のあることば。
    今まで名前と顔くらいしか知らなかったけど、素直にすごい人だなーって思えました。
    弁護士も悪くないかなー、とかもちょっと思ってみたり。

    眠くてまとまりがないけど、気にせず公開しちゃいます。

    すぐ読めてホントにおすすめなので特に法学部の人はぜひぜひ読んでみてください。

    行政法の実際的な議論もちょこっと出てくるので小早川先生の抽象的な議論に疲れた人はこれを読んでみるといいかもしれません。

  • 私の事件簿では、弁護士としてのすごい実績に成人君主のようなイメージをもったが、この本では人間としての中坊さんを知ることができた気がした。
    崇高な志があるわけでも、秀才だったわけでもなく、普通に弱い人間として苦しんでいる姿に共感を覚える。
    でも、だからこそ弱い人の立場にたって、物事を考えひたむきに取り組む姿勢が出来上がったのかもしれない。
    「弁護士は強気をくじき弱きを助ける仕事や」と言った父の立場は、中坊さんの生い立ちを考えると天職だったのでは、と思う。
    あくまで結果論としてだけど。

  • 中学校の時に母親に薦められて読んだ。弁護士になりてえってすごい思った。法学部に入ったのはこれきっかけ。資料だけじゃ何も分からない、現場を見ろ。っていう言葉がなぜかずーっと頭に残っている。

  • 著者の人生は「鉄」と言える。父いわく「残念ながらウチの子は金ではない。勉強でもほかのことでも人に劣る。それでも、親が勉強を見てやれば、一応の格好はつけられるだろう。でも、それは鉄に金メッキするようなものだ。メッキはいずれ、はがれるときがくる。それこそ本当に当人にとって悲劇だ。鉄は鉄として、メッキせずにどう生きているのか、それをもがいて探させたほうがいい。今は当人にとってきつくても、人生の出発点にこそ、自分はしょせん鉄なんだと、身にしみてわからせた方がいい」虚弱で、人付き合いも下手で、受験も失敗ばかりの劣等生、そして弁護士になる。後半は森永ヒ素ミルク中毒事件裁判について。

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