検証 経済暗雲-なぜ先送りするのか

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000227346

作品紹介・あらすじ

株価急落、東京二信組・兵庫銀行の破綻、そして住専処理へ-後手に回り続けた政策判断、その思惑を徹底検証する。

感想・レビュー・書評

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  • 2003年刊行。バブル崩壊後、金融機関の体力が徐々に失われていった(一部ではこれを喪失)92年から95年まで、つまり住専・兵庫銀行問題浮上から村山内閣退陣までの金融システム保全の経緯を解説。原発事故が、官僚の危機管理の方法論の稚拙さをあからさまにした感があるが、金融システム危機の対応から見れば、旧大蔵省も経産省と五十歩百歩の感。住専問題への公的資金投入に関する自民党農水族の暗躍(中川昭一、柳沢伯夫、松岡利勝ら)が描かれる一方、これらの調整をなしえなかった山崎拓の政治的見識、調整力にも肩を落としてしまう。
    危機管理は長期的視野と省庁利害を超える。次官や担当が短期で交代する以上、危機管理検討部局への情報一元化や、官僚採用は省庁全体とし、人材配置は別の部局でなす方法などが必要。あと、兵庫銀行処理の誤りは、兵銀の実態把握の誤謬から(本書からは日銀の方がよほど正確な情報把握をしていたことがわかり、到底弁解できない)で、危機管理の要諦、正確な情報把握ができていなかったことは本当に問題。当時の失政と失われた20年との関係を論じる力量はないが、もし関連あるならば、いかに責任をとってくれるのか詰問したい感が湧く。
    住専→東京の二信組問題→コスモ信組→木津信・兵庫銀行

  • 日銀総裁が出てきます。公的資金注入すべきだと指摘しています。将来は見通せないでしょう。しかし、現実は見えていた。さすがです。

  • バブル後の不良債権処理が遅れた理由を検証するルポルタージュ。

    92年当初、不良債権の規模は小さいものであり、処理コストはそれほどかからなかったようだ。
    その時点で時の首相宮沢喜一は公的資金の注入を考えていた。
    また、日住金を破たん処理させることを考えていた三和銀行のような存在もあった。
    つまり、競争力のない金融を退場させる声は確かに存在した。
    しかし、当時の大蔵省銀行局長寺村信行は、公的資金の注入を避けた。
    世論の反発も予想されただろうが、それ以上に価値のない債権者を守ることを選んだことが大きい。
    これが大きな分かれ目となり、先送りの大きな原因となった。

    非常に丁寧に取材をしたことがうかがえる。
    ビッグネームの発言がそっくりそのまま抜かれており、迫力や臨場感が湧いてくる。

    事実としては10年以上前の内容ではあるが、現代を読み解く上でも大変参考になる。
    競争力の乏しそうな企業を延命させることがどれほどの意味を持つのだろうか。

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