国際社会論―アナーキカル・ソサイエティ

制作 : Hedley Bull  臼杵 英一 
  • 岩波書店 (2000年2月16日発売)
3.96
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  • レビュー :5
  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000228077

作品紹介・あらすじ

世界政治における秩序とは何か。それはどのように維持されているのか。主権国家システムは生き残れるか。このように問題を立てて慎重に考察していく本書は、E.H.カーの流れをくむ「英国学派」のブルの主著、待望の完訳である。冷戦後のいまこそ精読されるべき「現代の古典」といえる。スタンリー・ホフマン序文。丁寧な訳注を付した。

国際社会論―アナーキカル・ソサイエティの感想・レビュー・書評

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  • 319||Bu

  • 【勢力均衡について】
    一般的な勢力均衡は、主権国家システムが征服などによって一個の普遍的帝国に変形されることを阻止するのに貢献する。そのような均衡が維持され続けている間は、大国のいずれの一国も、力によって世界政府を樹立するという選択肢は持たない。p143
    ⇒勢力均衡こそが世界政府実現を阻んでいるのではないか。

    【国内法と国際法の相違】
    「相対的に中央集権化された」法秩序と「相対的に分権化された」法秩序との間の相違にすぎない。他方、両種の法秩序には、ともに「社会による実力の独占」状態が存在する。p163

    ゲオルク・シュヴァルツェンベルガー「覇権は、行儀の良い帝国主義である」p261

    「自由行動権(a free hand)」p267
    →明らかに、アメリカ合衆国とソヴィエト連邦との間に存在するような勢力圏の了解は、特定の限定的権利のみを付与するものであり、「自由行動権」を付与するものではない。p269

    【小規模の自己完結的な国家からなる世界というルソー構想の本質】
    すなわち各国家は、それ自身の境界内で、その社会の一般意志のはたらきによって秩序を達成し、国家相互間の関係においては、接触を最小化することによって秩序を達成する世界である。p301

    コブデン「政府間では、可能なかぎり少ない交流を、世界の民族間では、可能なかぎり多くの結びつきを」p301

    「世界政府」p302

    【世界規模での道州制?】
    大国の責任圏に世界を分割する。たとえば、アメリカ・ヨーロッパ連合・ソ連・中国・日本がそれぞれ、世界の特定地域の問題を処理する責任を負い、それらの国々の間では、ごくゆるい協力の形式をとる。
    Cf. Joseph Nye "Peace in Parts" p314

    ブレジンスキー「現代の背理ないし逆説は、人類が、同時に、ますます統一化し、かつ、ますます分裂化しつつあるという事実である。... 人類が、ますます基本的、かつ密接なものとなりつつあるのに対して、個別社会のおかれた状況の違いは拡大しつつある。このような状況下では、近接化は、統一を促すのではなく、かえって、あらたな地球規模での集団化意識によって刺激された緊張状態を発生させる」p327

    ナイの『地域ごとの平和』に関連して、ラジニ・コタニ博士の『未来への踏み段(Footsteps into the Future)』p367

  • リアリズムともリベラリズムとも異なる、第三の国際政治学。近年、その影響力が増しつつある国際社会学派の代表的著作。

  • 10月1日

    レジュメにまとめる。
    読み飛ばしも多い

  •  E.H.カーの後を継ぐ英国学派の大家の著作。ホフマンが序文で指摘するように国際秩序を鋭く考察するブルが経済面を軽視、または本論で取り上げなかったのは悔やまれる。無論、純粋に国際政治理論として、あるいは変化に富みアナーキーな国際社会システムを考察することに重点を置いている点は明らかだ。よって経済面への不必要な考察は求められるところではない。しかし、アナーキーな国際社会における相互依存とグローバル化の萌芽は70年代後半、80年代の西側資本主義国家を取り巻く明らかな環境の一つで、国際秩序になんらかの影響を及ぼす要素であった。これを取りあげた上での彼の論考を読んでみたい。85年に逝く彼に対する無理な要求かもしれないが。

     しかし、それ以外は国際政治の古典派として独特の魅力を提供し続ける英国学派であるブルの考察は非常に思慮深く、示唆に富む。特にここ最近では、アメリカにおける覇権論、覇権安定論、あるいはレジーム論における一連の機能主義的分析が(覇権国、帝国的支配のための)グローバル・ガヴァナンス論を展開しており、こういったアナーキーな国際社会における秩序を論じたのは実のところ英国学派、ブルなのである。なかなかブル以降の英国学派において魅力的で、そして国際政治研究において威光を放つ後継者が見当たらないが、それだけ彼の偉業が大きいとも言える。

     特に2章の分析は明確で、そして国際社会を理解するにの多いに役立つだろう。役者の能力もあるだろうが、ブルの文章技法もわかりやすく、これだけでも読み取り学ぶ価値はある。

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