コミュニティ・スクール構想: 学校を変革するために

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000228114

作品紹介・あらすじ

いまもっとも注目される「新しい学校」の提案!教育改革国民会議やネット上のフォーラム、教育現場、行政…さまざまな場所で、教育問題を調査・検討してきた著者たちが、閉塞感を打破するきっかけとして新しいタイプの学校「コミュニティ・スクール」を緊急提案する。

感想・レビュー・書評

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  • 以下、本の紹介というよりは、コミュニティスクールについて説明する。

    【コミュニティスクールとは】
     日本におけるコミュニティスクールという概念は、慶應義塾大学教授である金子郁容が、イギリスの学校理事会をはじめとしたLMS(Local Management of schools)とアメリカのチャータースクールを部分的に採用してつくられた。金子の著書である2000年に出版された『コミュニティスクール構想』がきっかけで、コミュニティスクールという概念が広く知れ渡ることになった。
     法律上は「コミュニティスクール」という名称は正式なものではない。法律上では「学校運営協議会を設置する」という表記がされているため、正式には「学校運営協議会による学校」ということになる。
     コミュニティスクールは以下の四つの特徴をもつ。
    1, 設置主体は市町村である。
    コミュニティスクール設置にあたり、コミュニティスクール設置を希望する保護者、地域住民は文科省や当道府県に要望するのではなく、より小さな単位の市区町村教育委員会がおこなう分権的な制度である。(設置主体の分権化)
    2, 市町村が校長を募集して、有志の提案を市町村が審査して学校を設置する。
    「こんな学校を作りたい」という地域の親や、有志や既存の公立学校の先生たちが学校設立を申請することで公立の学校をつくる」チャータースクールの理念であるボランタリズムに基づいて学校設立が行われる。(ボランタリズム)
    3, 校長はマネージメントチームを任命して教員採用をもって学校経営を行う。
    学校長は経営チームを持つことができ、それは「数名のスタッフないし教頭からなるもので、会計、地域や支援起業とのリエゾン、教員リクルーティングなど、それぞれの専門分野で校長と一緒に学校経営の責任を負うスタッフである。そのスタッフを、校長が、自分で選べることとする。」(校長の権限の明確化と説明責任)
    4, 市町村ごとに設置する地域学校評議会が定期的に学校経営と成果をチェックする
    校長が教育や学校運営の基本方針を作成し、保護者や地域住民からなる学校評議会に説明をおこない意見をすいあげ、承認してもらう必要がある。(市民の意見の反映)
    ※上記の特徴は政令指定都市以外の小中学校を対象にしたものである。


    【チャータースクールとは】
     チャータースクールとは、アメリカにおける学校の「使命や志を同じくするボランティア(有志)が学校設置のため結社し、政府や教育行政機関が学校法人として認可するもでるである。」 また、日本の私立学校もこの理念に基づいている。チャータースクールが作られる理由は様々であるが、米国内のチャータースクールの多くが「(公立学校とは異なる)ビジョンを実現する」という考えのもと設立が行われている。その他には「スペシャルニーズに対応」、「自治権を得る」などがある。設立には州と学区に申請が必要で、申請の審査後は、申請者と州・学区が、学力などに関する契約を結ぶことでチャータースクールは誕生する。チャータースクールでは州や学区の法令等が免除されるため、設置者の独自のビジョンに基づいて教育活動を行うことが可能である。しかし、学校運営に関わる権限の委譲があるかわりに、情報公開、教育成果の責任を問われる。じっさいに達成できずに閉校した事例もある。チャータースクールの有志による学校づくりというボランタリズムの理念が、コミュニティスクールには反映されている。

  • これが実現できたらいいなぁと切に願う。
    今は校長には人事はできていないように思う。
    まずはそこから。

  • 部分的にしか目を通していないからなんとも言えないが、外国の事例とかも載っていたので、読んで今後の学校経営などの参考になるかと思う。

    近所の図書館で借りたが、ちょこちょこ読んでいる途中で、期限が過ぎてしまったので返却。市内に1冊しかなく、誰かと取り合っている状態だったようだ。向こうの延滞に私が予約をかけ、私がかり出したら向こうが予約をかけるというピンポンになっていた。
    学校の図書館にもあったので、次はそちらで借りる。

  • 新しいスタイルの学校、コミュニティ・スクールが実際に行われ始めたという事で気になって読みました。
    これからの子ども教育で大切にしていくものはなにか。
    “考える力”をどうつけるか。
    私はコミュニティ・スクールに賛成です。是非広がっていって欲しいです。

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著者プロフィール

慶應義塾大学名誉教授、明治大学特任講師。
1971年慶應義塾大学工学部卒業、1975年スタンフォード大学Ph.D.。ウィスコンシン大学コンピュータサイエンス学科準教授、一橋大学商学部教授等を経て、1994年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、2007年同政策・メディア研究科委員長。2016年より慶應義塾大学名誉教授。専門は、ネットワーク論・コミュニティ論・ソーシャルイノベーション。
主な著作に、『ボランティア もうひとつの情報社会』岩波新書、1992;『空飛ぶフランスパン』筑摩書房、1989;『日本で「一番いい」学校 ―― 地域連携のイノベーション』岩波書店、2008;『コミュニティのちから ―― “遠慮がちな”ソーシャル・キャピタルの発見』慶應義塾大学出版会、2010(共著)ほか。

「2016年 『スポーツのちから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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