心の扉を開く

著者 : 河合隼雄
  • 岩波書店 (2006年3月24日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000228626

心の扉を開くの感想・レビュー・書評

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  • 河合隼雄先生の読書案内。
    いくつか読んだ事のある本もあり、心理療法の専門家からみた見方というのが面白い。
    人の感情というのはわかりやすく表出されているものは本当に一部でしかないんだなと改めて実感。そういう中で、読書によってその感情や意識の中に深く深く潜る体験を知らず知らずのうちにしているのかなと感じた。

  • 河合隼雄さんが、4章にわけ、おすすめの本を心理学の視点から紹介されている本です。
    本に文脈が与えられているので、脈絡なく羅列されているより、中で紹介されている本を読みたくなりました。
    http://flowerkayoko.blogspot.jp/2015/02/blog-post_16.html

  • 精神とはまさに内延的なものの一つであり、極力考えるのを避けたいなどと思いつつもなぜか考えてしまう気持ちの悪さを伴う。

    おすすめの本を紹介しつつ人間について考える本。
    優しい言葉を難しくするのが学問なのか?
    うーん。やさしいことはやさしく、わかりやすく伝えたい。

    下手に理論を勉強していないからこその文章の素直さ,面白さ。アフターダーク。

    心の扉が開きすぎるから感情がばーっと出てくる。(精神病のはじまり?)コントロールがうまく働いていない。

    エス(それ)を完全に閉じてしまうと生命力がなくなる。
    創作ー狂気と正気のぎりぎりのところで生きる。(統合失調症)ーカフカ、ニーチェ

    人間の自我というものは外とも内とも関係してなくてはあらない両面作戦。ニート、フリーター、は外に意識を向ける必要がないような経済的余裕があるからこそ生まれる。現在はあまりに我々の生活が満たされてきたからみんな心の内側の事にとらわれるようになった。

    ”それ”にプラスの意味を付した作品。フィリパ・ピアスの『トムは真夜中の庭の中で』柳田国男『砂漠で見つけた一冊の本』、『絵本の力』
    『シビルー私の中の16人』(16重人格)

    デタッチメント(無関心、関係ないよ)とコミットメント(ものすごく関わる)

    遠藤周作『スキャンダル』:罪深い人間と言うのは一体どう生きるべきだろう?悪にも二種類ある。解決が見込める悪とずっとくらいままの悪。善悪の二つに単純に分類できない。

    山口『道化の民俗学』
    トリックスター。一階の秩序である自我という世界よりもっと深い世界に入っていくときにこのトリックスターが重要。既存の秩序を破壊して新しい秩序を作る。(両義性)道化は命がけ、うまく行けば大成功。失敗したら殺される。
    しっかりある秩序とか体系をいっぺんヒックリ返してみろ!
    トリックスターの典型(プロテメウス)大英雄か大犯罪者か。

    人の悪口を言う人=反省性が足りない。
    それも悪口だけどな。

    西洋のロマンチックラブはそこに肉体関係があっては行けないというもの。精神性が大事になっているから。日本はそこを輸入せずに恋愛至上主義になったから、なにかしら恋愛が不毛....?

    『ねじまきクロニクル』:現代人の魂の問題、「ふと気がついたらもう魂は失われていた」

    精神病的な症状を自力で乗り越えようとする課程になにかものすごい力が宿るらしい。

    日本人でありながらクリスチャンであることがもたらす内面的な葛藤。海外に行ったところで彼らと全く同じ精神性を持てる訳ではない。(日本にいてもそうじゃないか?)

    大江健三郎『人生の親戚』:一人の人間が自己実現していく課程。

    辛さを「がんばれ」なんて言葉で慰めたつもりになっているのは単なるセンチメンタル。子供が死んだという事実をずっと背負って生きていく、それが本当の自己実現。センチメンタルはただの息抜きにはいいけれど。

    世界は汚れている、真実なんてない、という事実を受け入れた上でどう生きていくか。
    日本人で単純に物事を考える人は単純に物事を言い過ぎる。

    中沢新一『対称性人類学』:平等ではなく”対称”(=調和を保ちながら生きている。)
    茂木健一『脳と仮想』

    流れに身を任せて生きてみると、人と丁寧に関わる方法を忘れて、思いがけず人を傷つけてしまっている事がある。それにはもしかしたら過剰な単純化が関わっているのかもしれない。以前に読んだ支援者・非支援者の必然的に生まれてしまう優劣関係の話を思い出した。人を助ける事と同時に、相手から何か受け取る事も大事で、もしそれができなそうなのであればその関係はきっといつか壊れていくのだろう。

    人に深く関わろうとする、それが公式の名で距離感を守られているのならば、それはとても有意義な発見がある。ただそれが私的領域まで及ぶとなると、何か超えては行けない壁を越えてしまうような怖さがある。つまり最終的には他人は他人であって、責任を取れないという事実が曇ってしまう感じがするからである。

    いずれにせよ相変わらずトリックスターのモチーフはわくわくするし楽しい。

    ところでこの人の文章はすごく読みやすいなーと思ったら、河合隼雄さんも数学科出身なのかー。数学出身で他の道にそれちゃったひとって案外面白い人が多いんだな。

  • 心理学者の先生による読書案内+心理学の話。
    「無意識」の話など、ド素人の私にはまだ少し難しい部分もあったが、久しぶりに深く考えるということをするきっかけとなった。色々と興味深いことが書かれていたので、もう一度じっくりと読み込んでみたい。
    また、読書が本当にお好きなんだなということが滲み出ていて、よし、本を読もう!という気にさせられる。
    一度読んだ事がある話でも、こういう見方もあるのか、とハッとさせられる。

    心、人間、命とは、ほんとうに不思議なもの。
    それを言葉で紡ぎ合わせて編んでいる本は、ほんとうに素晴らしいもの。

  • また、ゆっくり読みたい本です。

  • 著者によるおすすめ本を心理学の話を絡めながら紹介。川合さんの語るような文体ですらすらと読める。

  • この本を機に、心理学の本から小説へと読む本がシフトし、小説の中へ心の骨を見出すようになりました。私が記憶する限りでは河合隼雄さんの生前最後の本かと思います。

  • 河合さんが推薦する本を各章5冊ずつ20冊あげつつ自我と奥に潜む無意識の世界深層心理、魂、もう一人の自分、自己実現と話を深めていく。

    そういえば自我よりも深層心理のほうが領域は広く、自我は氷山の一角くらいでしかない、見えない部分のほうが大きいと聞いたことがある。

    その扉を閉ざしただけでは自我は干からびてしまうがうまくコントロールしないとキチンとした社会生活をおくれなく場合によっては病気になる。

    多くの文学はそうした自我と心の関係をテーマにしていることが分かる。ふと自分の心の扉の奥の存在ってどうなんだろと考えてしまう。

    「いい本とは著者の心が伝わり、自分の心もわかっていく」と書かれているがこの本もそうした一冊でしょう。
    いつものように、「そうかぁ、これはタイヘンだ。いろいろ考えんと。」と慌てさせる。もっともすぐ分かるというのは役にたたないとも書いてあるが。

    気になった言葉の一例
    「魂というのは心と体以外に、もう一つ、わけのわからん存在があるのだ という風に考えるとすごく面白い」

    「魂というのは、魂という限り、私があなた方とつながっているというだけでなくて、木とも蛙とも何とでも全部、つながっているということになるのではないかという気がしてきます。」

    こうした大事な心をテーマにしたことを分かりやすく説くという人、他に知らない。かえすがえすも惜しい人を亡くしたものです。

    今回は「内なる異性」
    これは心理学では有名な話ですが、心の中には異性がいるという考え方で、アニム(♀)、アニムス(♂)と言う。

    自我の深いところに人間の魂があるとすると、魂はそのままでは自我には分からないけど、夢に出てくる女性が魂のイメージになる例が多いそうです。そのことでその人の魂のあり方が分かる。

    精神病になると海で溺れている女性を助けるといった夢を見るそうです。その女性は魂そのものなんですね。

    次に内なる異性は外に投影されて、内なる異性のイメージに近い人に恋愛感情を持つことになりやすいらしい。魂が惹かれているのでその引力は強いものになる。

    内なる異性のイメージの造型には女性であれば父親、男性であれば母親の存在が大きいので、そのことで好きになる異性も両親に似てる人になったりする。

    人間は、社会に対して適応するようなものを身につけないといけない。それをペルソナというが、内なる異性のイメージがそれを破壊するような動きをすることもある。不倫などがそうだ。

    ぺルソナと内なる異性の相克は多くの文学のテーマである。例えば「ロミオとジュリエット」がそうである。

    『人間が生きているということ、あるいは、人間だけでなくて、ねずみが生きていることも、ハトが生きていることも、全部すごくて、そういうのの、みんなのつながりとして魂があるということになりはしないか。ひょっとすると、魂というのは、魂という限り、私があなた方とつながってるというだけでなくて、木とも蛙とも何とでも全部、つながってるいということになるのではないかという気がしてきますね。』
    という話が印象的。東洋的思想ですね。

  • 臨床心理学者の薦める本を理由を説明しながら紹介しているのが興味深かった。
    何冊か読んでみたい本が増えた。

  • 河合隼雄さんの本をしっかり一冊読めた初めての本です。
    図書館で見つけて、あまりの面白さにハイスピードで読めました。
    とてもわかりやすい言葉の、話し口調の文でとっつきやすいと思います。


    内容は、河合隼雄さんがテーマにそって本をご紹介されていくというもの。
    そのいくつかを私も読みましたが、とてもよかったです。
    まだまだ読めてないものもあるし、中にはハテナ?となるような難しい文章もちょこちょこありますが、
    それも全然気にならないくらい。

    簡単なようで深い一冊です。

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河合隼雄の作品

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