壊れゆく世界と時代の課題 (思考のフロンティア)

制作 : 市野川 容孝  小森 陽一 
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000228886

作品紹介・あらすじ

世界が大きく揺れ動き、時代は未曾有の転換点を迎えている-こうした言葉がレトリックではなく、実感として私たちに迫りくる現在、思考の向かうべき課題とはなにか。シリーズ「思考のフロンティア」の編集協力者たちが再結集し、危機的状況からの突破口をさぐる。構想力の再生に向け、五つのテーマをめぐって展開する白熱の討論。

感想・レビュー・書評

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  • 編者:市野川容孝、小森陽一


    【書誌情報+内容紹介文】
    ジャンル 単行本 > 哲学
    シリーズ 思考のフロンティア
    刊行日 2009/03/26
    ISBN 9784000228886
    Cコード 0010
    体裁 A5・並製・カバー・248頁

    世界が大きく揺れ動き,時代は未曾有の転換点を迎えている──こうした言葉がレトリックではなく,実感として私たちに迫りくる現在,思考の向かうべき課題とはなにか.姜尚中,高橋哲哉,杉田敦をはじめとする「思考のフロンティア」の編集協力者たちが再結集し,危機的状況からの突破口をさぐる.五つのテーマをめぐって展開される白熱の討論.

    ■編集部からのメッセージ
     世界が大きく揺れ動き,時代は未曾有の転換点を迎えようとしている――こうした言葉がレトリックとしてではなく,実感として私たちに迫りつつあります.この危機的状況において,思考の向かうべき課題とはなんなのか.シリーズ「思考のフロンティア」の執筆陣が編集協力者を中心に再結集――メディアでおなじみの姜尚中先生,金子勝先生,『靖国問題』の高橋哲哉先生のほか,齋藤純一先生,杉田敦先生といった論客が,シリーズで展開されてきた議論を踏まえ,時代が抱えている問題の本質に迫ります.
     討論のテーマは,「アジア/日本を貫く近代批判のために――歴史と現在にどう対峙するか」「世俗と超越と――宗教性はなにをもたらすのか」「暴力と自由のあいだ――近代の主権パラダイムをどう超えるのか」「言語と法,人間の領域――正義はどこにあるのか」「〈公共的なもの〉と社会的連帯――その限界と可能性」
    という五つ.どれも避けて通ることはできない問題群です.白熱する討論にご期待ください.
    https://www.iwanami.co.jp/book/b259331.html


    【目次】
    はじめに(小森陽一) [v-ix]
    目次 [xi-xiii]

    第一章 アジア/日本を貫く〈近代〉批判のために――歴史と現在にどう対峙するか 001
    基調報告 [米谷匡史] 001
    討論 [米谷匡史・姜尚中・市野川容孝・小森陽一] 006
      オリエンタリズム批判の受容/掘り下げるべき「自己植民地化」/日本近代史を再整理する/宮沢賢治や谷川雁が見ていたもの/国境を越え連鎖する近代の暴力性/黄禍論とアジア主義の反復を断ち切る/都市と都市以外の植民地関係/ローカルの可能性と国家の役割と/東アジアに向かう際の同床異夢/ふたたび超えるべき階級論

    第二章 世俗と超越と――宗教性はなにをもたらすのか 049
    基調報告 [臼杵 陽] 049
    討論 [臼杵 陽・高橋哲哉・市野川容孝・小森陽一] 054
      境界の曖昧化/国家神道という装置/原理主義とは/普遍性と特殊性/政教分離とは何か/市民宗教という宗教/国民国家統合の軸としての宗教/日本の近代化に果たした宗教性の役割とは/国家教という宗教/国家をどうとらえるか/戦争と宗教/日米関係における日本/戦後日本の欺瞞

    第三章 暴力と自由のあいだ――近代の主権パラダイムをどう超えるのか 097
    基調報告 [上野成利] 097
    討論 [上野成利・杉田 敦・市野川容孝・小森陽一] 102
      錯綜する主権パラダイムへの問い/見棄てられることか,捕らわれることか/主権・国家・暴力/暴力なき秩序の不可能性/法,言葉と暴力/現場での生きるための闘い/不可視なものを明らかにし,つなぐ/「安全性」のもとで行使される暴力

    第四章 言語と法,人間の領域――正義はどこにあるのか 145
    基調報告 [守中高明] 145
    討論 [守中高明・竹村和子・市野川容孝・小森陽一] 151
       なぜ「言語と法,人間の領域」なのか/制度化された近代のほころび/法の内面化というダイナミズム/精神分析の男性性/リヴァイアサン,ふたたび/正義の再定義/隣る人/生存が脅かされる時代に/死のとらえなおし

    第五章 「公共的なもの」と社会的連帯――その限界と可能性 187
    基調報告 [齋藤純一] 187
    討論 [齋藤純一・金子 勝・市野川容孝・小森陽一] 192
      社会的連帯をいかに可能にするか/議論が現実に対して力をもちうるのか/孤立した個人が連帯の手をのばすとき/思考するために言葉を紡ぐ/「自立した個人」を取り戻すために/公共性への回路をどうつなぐか/描き直しのための構想力を

    あとがきに代えて――夢と覚醒(市野川容孝) [227-231]
    著者紹介 [233-234]



    【著者略歴(2009年の出版当時のデータ)】

    編者:市野川容孝(いちのかわ やすたか)
    1964年生まれ.社会学.東京大学大学院総合文化研究科准教授.シリーズ「思考のフロンティア」に『身体/生命』『社会』『難民』『変成する思考――グローバル・ファシズムに抗して』.他の共著書に『優生学と人間社会――生命科学の世紀はどこへ向かうのか』(講談社現代新書)など.

    編者:小森陽一(こもり よういち)
    1953年生まれ.日本近代文学.東京大学大学院総合文化研究科教授.シリーズ「思考のフロンティア」に『ポストコロニアル』『レイシズム』『難民』『変成する思考――グローバル・ファシズムに抗して』.他の著書に『小森陽一,ニホン語に出会う』(大修館書店),『天皇の玉音放送』(朝日文庫)など.

    上野成利(うえの なりとし)
    1963年生まれ.政治思想・社会思想史.神戸大学大学院国際文化学研究科准教授.シリーズ「思考のフロンティア」に『暴力』.他の共著訳書に『ファシズムの想像力――歴史と記憶の比較文化論的研究』(人文書院),P. ド・マン『美学イデオロギー』(平凡社)など.

    臼杵 陽(うすき あきら)
    1956年生まれ.パレスチナ・イスラエルを中心とする中東地域研究.日本女子大学文学部教授.シリーズ「思考のフロンティア」に『原理主義』.他の著書に『世界化するパレスチナ/イスラエル紛争』(岩波書店),『イスラムの近代を読みなおす』(毎日新聞社)など.

    金子 勝(かねこ まさる)
    1952年生まれ.経済・財政学.慶應義塾大学経済学部教授.シリーズ「思考のフロンティア」に『市場』.他の著書に『市場と制度の政治経済学』(東京大学出版会),『閉塞経済――金融資本主義のゆくえ』(ちくま新書)など.

    姜尚中(かん さんじゅん)
    1950年生まれ.政治学・政治思想史.東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授.シリーズ「思考のフロンティア」に『ナショナリズム』『思考をひらく――分断される世界のなかで』.他の著書に『オリエンタリズムの彼方へ――近代文化批判』(岩波現代文庫),『悩む力』(集英社新書)など.

    齋藤純一(さいとう じゅんいち)
    1958年生まれ.政治理論・政治思想史.早稲田大学政治経済学術院教授.シリーズ「思考のフロンティア」に『公共性』『自由』『思考をひらく――分断される世界のなかで』.他の編著書に『政治と複数性――民主的な公共性にむけて』(岩波書店),『親密圏のポリティクス』(ナカニシヤ出版)など.

    杉田 敦(すぎた あつし)
    1959年生まれ.政治理論.法政大学法学部教授.シリーズ「思考のフロンティア」に『権力』『思考をひらく――分断される世界のなかで』.他の著書に『権力の系譜学――フーコー以後の政治理論に向けて』『境界線の政治学』『政治への想像力』(いずれも岩波書店)など.

    高橋哲哉(たかはし てつや)
    1956年生まれ.哲学.東京大学大学院総合文化研究科教授.シリーズ「思考のフロンティア」に『歴史/修正主義』『思考をひらく――分断される世界のなかで』.他の著書に『デリダ――脱構築』(講談社),『記憶のエチカ――戦争・哲学・アウシュヴィッツ』(岩波書店),『靖国問題』(ちくま新書)など.

    竹村和子(たけむら かずこ)
    1954年生まれ.英語圏文学,批評理論.お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科教授.シリーズ「思考のフロンティア」に『フェミニズム』.他の編著訳書に『愛について――アイデンティティと欲望の政治学』,ジュディス・バトラー&ガヤトリ・スピヴァク『国家を歌うのは誰か――グローバル・ステイトにおける言語・政治・帰属』(ともに岩波書店),『欲望・暴力のレジーム――揺らぐ表象/格闘する理論』(作品社)など.

    守中高明(もりなか たかあき)
    1960年生まれ.フランス文学・思想.詩人.早稲田大学法学学術院教授.シリーズ「思考のフロンティア」に『脱構築』『法』『変成する思考――グローバル・ファシズムに抗して』.他の著書に『存在と灰――ツェラン,そしてデリダ以後』(人文書院),『反=詩的文法』『守中高明詩集』(ともに思潮社)など.

    米谷匡史(よねたに まさふみ)
    1967年生まれ.社会思想史・日本思想史.東京外国語大学外国語学部准教授.シリーズ「思考のフロンティア」に『アジア/日本』『変成する思考――グローバル・ファシズムに抗して』.他の共編著書に『尾崎秀実時評集――日中戦争期の東アジア』(平凡社東洋文庫),『谷川雁セレクション』全2冊(日本経済評論社)など.

  • 新しい公共について少し学ぶ必要があるかなと思って、何章か読んだ。

  • アツい議論だ。有名な研究者(ほとんど東大)が分野を横断して議論するので興味深い。

  • 北朝鮮はこのまま行くと東ドイツがそうだったように崩壊しなければ資本主義のゴルゴダの丘を登っていく。戦争より、搾取される方がよい。
    なんとか戦争は会費されなければならない。国家間のパワーポリティクスの結果として国家と資本の共犯関係が成立すれば、消極的な平和は達成される。
    近代になるときに神が死んで人間が誕生し、人間や人間社会を解放する学問領域、そして人間の理性に基づいた自然科学などの学問領域が新たに展開してきた。近代になって知の地殻変動が起きたが、現代では同じくらいの大規模なパラダイム変換をしつつある。だから思いがけない新しい学問分野が生まれてくる。

  • 20090411 浦安中央図書館 【借入】未読

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