この人から受け継ぐもの

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  • 岩波書店
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000229074

感想・レビュー・書評

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  • 仙台市文学館で戯曲を作る際にそれだけ資料を読み込んでいるか拝見したけれど、あの独特な字でものすごい書き込みをしていて、その人物の自分なりの年表などを作り上げていたのが印象に残った。丸山先生の話に出てくる東京裁判関係資料を古本屋さんから求める熱意たるや。徹底的に資料を読み込むということの源泉を見た気がする。

  • 宮沢賢治以外、ほぼ知らない人ばかりについての話だった。
    (宮沢賢治も、大学でゼミをとったが、チンプンカンプンだった。結局一冊も読んでいない→ホントに私は日本文学科卒か!?)

    それでも、彼独特の文章で、引き込まれて読んだ。
    戦争責任の話はすごかった。

  •  井上ひさしの講演、随筆集「この人から受け継ぐもの」を読みました。

     憲法は決して押し付けられたものではなく日本人が苦労して勝ち取ったものであるという考え方、宮沢賢治観と演劇ユートピア論、昭和天皇が償うべきであった戦争責任、東京極東裁判の欺瞞性、どのぞの国の指導者の不甲斐なさ、チェーホフへの憧憬から見える笑劇・喜劇論・・・そのどれもが井上さんの目で再構築されたものとして理解しやすいものに昇華されていて、また同感できるものです。

    目 次 (出典)も追加記載しました。

    1 憲法は政府への命令
    ――吉野作造を読み返す――
    日清・日露戦争と大正デモクラシー/「立憲」を大きく、「君主」を小さく/左右から、女性からも攻撃されて/憲法は「押しつけ」でない/珠玉の政治論文
    (講演「吉野作造を読み返す」岩波文化講演会@京都会館 2003/5/24)

    2 ユートピアを求めて
    ――宮沢賢治の歩んだ道――
    父との関係、うつ状態/日蓮宗、家出、躁状態/農民運動、オペレッタ、エスペラント語/話し言葉と書き言葉/自然と和解する生き方/多面体としての人間/地上にユートピアを求めて/演劇――時間のユートピア
    (講演「なぜいま宮沢賢治か」第2回遅筆堂文庫・生活者大学校@遅筆堂文庫 1989/5/3)

    3 戦争責任ということ
    ――丸山眞男に私淑して――
    「一億総懺悔」と「御聖断」/天下に三つの会談記録/一九四五年五月、箱根/六月、四回の会談/強いられた死、幻想の回路/東京裁判をどう見るか/読み継がれるべきもの
    (講演「丸山眞男先生に私淑して」第2回復初の集い@星陵会館 2001/8/15)

    4 笑劇・喜劇という方法
    ――私のチェーホフ――
    (1) 滑稽小説家の登場
    (2) 笑劇の方法
    (3) 笑劇から喜劇へ
    (4) 喜劇作者の祈り
    (5) 人間は生きたがっている
    (原題「私のチェーホフ」@朝日新聞夕刊 2004/5/7-6/4)

    5 笑いについて
    (1) ジョン・ウェルズの笑い
    (2) アリストテレスの笑い
    (3) ルイ十六世の笑い
    (4) スクリーブの笑い
    (「図書」2002/1-2002/4 未完)

著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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