井上ひさしの講演、随筆集「この人から受け継ぐもの」を読みました。
憲法は決して押し付けられたものではなく日本人が苦労して勝ち取ったものであるという考え方、宮沢賢治観と演劇ユートピア論、昭和天皇が償うべきであった戦争責任、東京極東裁判の欺瞞性、どのぞの国の指導者の不甲斐なさ、チェーホフへの憧憬から見える笑劇・喜劇論・・・そのどれもが井上さんの目で再構築されたものとして理解しやすいものに昇華されていて、また同感できるものです。
目 次 (出典)も追加記載しました。
1 憲法は政府への命令
――吉野作造を読み返す――
日清・日露戦争と大正デモクラシー/「立憲」を大きく、「君主」を小さく/左右から、女性からも攻撃されて/憲法は「押しつけ」でない/珠玉の政治論文
(講演「吉野作造を読み返す」岩波文化講演会@京都会館 2003/5/24)
2 ユートピアを求めて
――宮沢賢治の歩んだ道――
父との関係、うつ状態/日蓮宗、家出、躁状態/農民運動、オペレッタ、エスペラント語/話し言葉と書き言葉/自然と和解する生き方/多面体としての人間/地上にユートピアを求めて/演劇――時間のユートピア
(講演「なぜいま宮沢賢治か」第2回遅筆堂文庫・生活者大学校@遅筆堂文庫 1989/5/3)
3 戦争責任ということ
――丸山眞男に私淑して――
「一億総懺悔」と「御聖断」/天下に三つの会談記録/一九四五年五月、箱根/六月、四回の会談/強いられた死、幻想の回路/東京裁判をどう見るか/読み継がれるべきもの
(講演「丸山眞男先生に私淑して」第2回復初の集い@星陵会館 2001/8/15)
4 笑劇・喜劇という方法
――私のチェーホフ――
(1) 滑稽小説家の登場
(2) 笑劇の方法
(3) 笑劇から喜劇へ
(4) 喜劇作者の祈り
(5) 人間は生きたがっている
(原題「私のチェーホフ」@朝日新聞夕刊 2004/5/7-6/4)
5 笑いについて
(1) ジョン・ウェルズの笑い
(2) アリストテレスの笑い
(3) ルイ十六世の笑い
(4) スクリーブの笑い
(「図書」2002/1-2002/4 未完)