【読むきっかけ】
梨木香歩さんの文章があると知ったため.
また,原発への賛否両論や変わらず下降の一途を辿る日本の政治・経済の閉塞感に辟易していたこと.
人類史に残る天災と人災を(ニュースなどで)観ても,相変わらずな生活を送っている自身に対する焦燥感から,変わるきっかけがあればと思い,手に取りました.
【内容】
第Ⅰ部
岩波書店HP上の連載のまとめ
各筆者による,被災者へのメッセージがほとんど.
少し,反原発についての主張があります.
第Ⅱ部
同筆者らによる書き下ろし.
被災地の現状.原発の責任論.安全神話論や技術文明に対する奢り.残された私達がどう生きていけばいいか,についてなど.
【まとめ・感想】
言葉にするのは簡単ですが,私に足りないのは想像力なんだと,そう感じました.
例えば,
・東日本大震災だけで帰宅難民や,都市の脆弱性が見えた.これが直下型だったら…
・安全神話は繰り返されてきた.水俣の経験が生かされていない.身の回りにはまだたくさんの安全神話がある…
・脱原発に対して,自然エネルギーなど注目を浴びているが,自然エネルギーの安全性ばかりに目を向けすぎてないか??…
どんなに小さいリスクでも,リスクとして心の片隅におけるかどうか.あらゆる意見を理解し,考え,リスクを見つけることが,批判することが学者に求められる.
想像力の一助として,遠人愛は方法の1つとなりうる.
インスタントコーヒーの原産国,製造国,輸入業者,卸売業,スーパー,私.値段を考えれば,どのくらいの賃金で,向こうの人は働いているのだろう,とか.
斉藤環さんの優しく,未来の暖かなメッセージには,ツェランという詩人が,言葉を海に投げた「投瓶通信」に例えていることを挙げ,未来の自分を含む「あなた」に現実の豊かさを取り戻すものだから,今は言葉の無力に嘆いても,やがて言葉を取り戻し,豊かさを取り戻そう.とあります.
リスクに目を向け(でも,向け過ぎると身動きが取れない)
遠人愛を考え,投瓶通信を続けていく.やがて来る,大きな潮流を信じる.
まだ意識レベルの理解ですが,当面は一つ一つのホットトピック(原発の賛否や,外交関係など)について本を読むことが大事だと考えています.
最後に,深く考察をする方法について次のようなことが少し書かれてあり,参考にしたいと思います.
テーマについて,結論を急がず,自由な発想を許すことが大事である.