311を撮る

  • 岩波書店
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本棚登録 : 63
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000230490

作品紹介・あらすじ

東日本大震災の壮絶な現実を切り撮りながら、メディアの一翼をなす自らをも問い返すものとなったドキュメンタリー映画『311』。震災に向き合った四人の監督が、表現者として現場での揺らぎを見つめ直し、思いのすべてを語る。

感想・レビュー・書評

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  • 山形の国際ドキュメンタリー映画祭で賛否両論(というより、森達也によれば、罵倒と称賛)という両極端の評価を受けた映画「311」の、いわゆるメイキング本です。


    去年の震災直後の3月26日から31日にかけて、4人のジャーナリストがとにかく現地へ、と向かい、そこで撮った映像を編集した映画「311」。
    私はまだ映画は観れていませんが、(今年の8月に観る予定)漏れ聞こえる評判が過激なことから、この本も買ったはいいものの、なかなか読み始めることができず…。

    ようやく気持ちの準備ができたので、えいやっ!と読むことができました。

    現地に行こう、と最初に呼びかけたのは綿井健陽さん、呼びかけられたのは森達也さん。森さんは、一旦断ったものの、30分後には、うん、行こう、となり、その後、松林要樹さん、安岡卓治さんも同道することに、というそもそもからして、一本の映画を撮ろう、という計画性はゼロだったのがよくわかります。森さんは、行きの車の中でカメラの操作方法を聞いていたくらい、映像からは遠ざかっていましたし、綿井さん、松林さんのお二人も、映像に対する考え方、映画の作風はそれぞれ自分のものをお持ちだから、4人の見たものを一つの映像に、という気持ちはなかったんでしょう。

    でも、早くも行きの車で綿井さんは、森さんにカメラを向けていた、というのが面白い・・・。うん、森さんがキーパーソンとなって被災地や被災者、放射能被害に向き合い、また、狼狽する、という軸を意図されたのは、自然の成り行きだった気がします。
    森達也、という人を私は大好きで、それは、ジャーナリストとして、彼が何も余計な鎧を身につけていないから。「タブーに挑み続ける孤高の作家」的いな扱いをされる、とご自分でも書いておられるけど、居丈高にもならず、かと言って、善意の報道者というわけでもない。それって、守る物がある人間にはとても難しいことだと思うのだけど、危機管理意識が標準より低い、という自己評価がたぶん本当のことなんでしょうね。

    「311」では、遺体を撮るか、撮らないか、ということで、かなり激しいやりとりがあったらしい。日本においては、死者と遺族への冒涜、という意識が強く、変わり果てた我が身や家族を映像に撮られたくない、と私でも思うのだけど、ただ、震災後、あれだけの映像が流されたにもかかわらず、そして、たぶん、おびただしい遺体が収容されたのにもかかわらず、その映像は暗黙のタブーとして電波に乗ることがなかった…。そのことを、なぜ?と思ってしまうのが森さんなんでしょうね。

    現地では、ヒールに徹していた、と他のメンバーが書いているように、森さん独自の視線で映像を撮られたようです。

    4人が語る「311」を撮った日々。
    これは、実際に「311」を観ないとなんとも言えないなぁ、というのが実感ですね。

    正直、観るのがかなり怖いんだけど…。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    去年の3月11日。私は東京にいました。
    11日の夜に、森さんを囲んで「A3」の読者オフ会をする予定だったから。
    それがあの大きな揺れで(私は東京が震源地だと思ったくらい。)中止となり、私は新潟に帰る新幹線が動く日まで、大学生の娘の部屋で正座してテレビを見続けました。

    その後12月に、少し形を変えた会でオフ会は実現し、森さんともあれこれ突っ込んだ話をすることができました。その際に「311」の話が出たのはもちろんのことで、うん、やはり怖いなんて言ってないで、とにかく観てみます。

  • 森達也さんの書くものが好きです

    あの大震災をどういう視点で描くのかと興味を持って手に取った

    sens of guilt
    私も感じています

    東日本大震災が起こる前の、日本や世界の各地で起こった災害
    テロや戦争の報道を見たときに感じたことに対して後ろめたさを感じている

  • 「ドキュメント」を撮る苦悩!
    それが「リアル」に出てると思った。
    映画は見てません。これを読んでも見ようとは思っていません。でもこの本には制作者の苦悩が書かれています。
    311、この震災のための本では無いと思いました。
    金にも名誉にもならない「ドキュメンタリー」を撮る監督たちの現実、そして想いが生々しく書かれています。
    震災という自然の驚異が突然起こり、それに対し何かに突き動かされて行く男たちの生々しい苦悩がここには書かれています。
    ただ監督の1人、森達也関連で手にとった一冊ですがあの震災にこういう方向性で立ち向かう人もいるのだと知れる一冊でした。

  • まだまだしっかり言語化できないけれど、私にとって何か大切なこと、考えなければならないことが4人それぞれが書き綴ったものにあるように思う。映画も観てみたい。

  • 森達也の名前があったので『311』はきっと震災のドキュメンタリー映画ではなくてセルフドキュメンタリー映画ではないかと想像していたけどね。やっぱり(苦笑)
    森達也、綿井健陽、松林要樹、安岡卓治の4人がそれぞれの立場で撮影に対する思いを綴っているけど、松林氏のパートが一番共感しました。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、3階開架 請求記号:778.7//Mo45

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著者プロフィール

1956年、広島県生まれ。ディレクターとして、テレビ・ドキュメンタリー作品を多く製作。98年オウム真理教の荒木浩を主人公とするドキュメンタリー映画「A」を公開し、2001年には映画「A2」を公開。11年『A3』(上下巻、集英社文庫)で講談社ノンフィクション賞を受賞。現在は映像・活字双方から独自世界を構築している。16年、ドキュメンタリー映画「FAKE」で話題を博す。著書に『死刑』(角川文庫)、『「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい』(ダイヤモンド社)、『ニュースの深き欲望』(朝日新書)など多数。

「2018年 『虐殺のスイッチ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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