最後の「天朝」――毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮(下)

著者 : 沈志華
制作 : 朱 建栄 
  • 岩波書店 (2016年9月7日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000230674

最後の「天朝」――毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮(下)の感想・レビュー・書評

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  • 凄まじい本である。リアルな現実世界ではちょうど金正恩とトランプがチキンレースの真っ最中であるが、本書を読んで現在の北朝鮮の異様な行動の背景がよく理解できた思いを持った。背筋が泡立つようだ。
    過ぎ去ってみれば1950~70年代に「国際共産主義運動」がどれほど大きな力と影響力を持っていたのかが想像しにくいが、当時は多くの国家指導者も「イデオロギーの呪縛」に縛られていたとしか言いようがない。
    北朝鮮の金日成は、中国とソ連の狭間を巧みに遊泳する中で膨大な国家援助を引き出したことが本書でよくわかった。しかし、北朝鮮とってそれが良かったのかどうか。
    短期的には戦後復興を早期に遂げることはできたし金日成の独裁体制も確立できたのだろうが、北朝鮮はその後50年以上を過ぎてもいまだに自立できない国家経済から脱却できないままである。金一族三代目になっても、初代の成功体験から抜けられないのだ。
    本書は公開された膨大な公文書や多くのインタビューを積み重ねて書かれている。「血と汗で固められた」などというスローガンではない「事実の検証」こそが未来を創るという本書の立ち位置に賛同するものである。


    2017年4月読了。

  • 中国人義勇兵の駐在時の問題は沖縄の米軍基地問題とそっくり!58年2月、彼らの撤兵と共に金日成の権威、そして自主(チェチュ)路線は確立していく。朝鮮戦争後のハンガリー・ポーランド動乱の影響、中国の反右派闘争、党内粛清、そして中ソ論争の中での漁夫の利を得る金日成だが、そこには打算というよりも心の迷い、一貫性のなさを感じる。中朝国境紛争で、北朝鮮が中国孤立の弱みにつけこんで獲得した長白山は朝鮮民族にとって神の山であるだけではなく、金日成が抗日ゲリラを行った場所、そして金正日が生まれたとされる場だったとは奇想天外!それが中朝国境紛争において北朝鮮が譲れなかった一線。ちょうど厳しくなった中ソ対立が中国を弱腰にさせ、北に長白山を譲ることになったとは興味深いことである。長白山に籠もって抗日ゲリラ闘争を続けたという英雄・金日成の伝説の嘘っぽさを物語る逸話だ。

  • 319.22021||Sh||2

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