酒国―特捜検事丁鈎児の冒険

著者 :
制作 : 藤井 省三 
  • 岩波書店
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000233095

感想・レビュー・書評

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  • マジックリアリズム小説の正統的な継承作家と見える莫言。初読でしたが、現代中国という部隊がこれほど魔術世界のはまる舞台とは思わなかった。酒国という架空世界を舞台に行われる犯罪捜査。検事を襲うあらゆる魔的な「酒」。ラウリーの『火山の下』のようにすべては酩酊状態の中で彷徨しながら、カフカ『城』のように何事も起こらない。
    ところで知識がないため、一党独裁体制の中でなかば公的に認知されたなかで著述される「中国の闇」というものについて、どう測ればよいのか?考えなければならない。

  • えぐすぎるぜ莫言。ミステリーと思ったらアンチミステリー、と思ってたら現実と非現実が曖昧模糊となりながら中国土着のスラップスティックマジックリアリズム! もちろん莫言先生だからグロさてんこ盛り。筆舌に尽くし難い悍ましさの中に清冽な叙情を孕ませているもんだから自分の美意識がとことん狂う。酩酊のうつつ状態とシニカルな迎合に中国社会の有様を露骨に暗喩する。反権威主義の主張を隠そうともしない。痛快である。美食と美酒にヤツラ溺れ悶え苦しむがいいぜ。

  • ノーベル文学賞作家:莫言の作品
    莫言作品の砂っぽさというより、油ものや度の高い酒で胸ヤケしたときの喉の灼けるような感覚になる。

    構成が特殊で、読んでいて訳が分からなくなり、最後に「一つにつながった!」なんて感動もない、そんな作品。ここの抵抗で、脱落者続出しそう。

    莫言作品の中でも、手をつけなくて良い部類と言われたりするのも分かる。

    でもねー、これはやっぱ翻訳本だから劣化しているのも原因にあるんだとは思う。これを原語で読めたなら見方は違うのかも…


    内容だけど、中国って本当にこんな国なの?って思うほど汚らしい。
    でも、火のない所に煙は立たないのだから、中国人にはこういうことをしてもおかしくない素質があるんだろうなぁ…

    あと、やたらと日本人の飲尿健康法がでてくるんだけど、これはおもしろかったww ピータン食ってるやつらに(ry
    それにしてもなんで排せつ物で体調がよくなったり、酒の味がよくなる(これはフィクションだが)んだろうね?? 浸透圧がよくなるのか??

    莫言は作品に酒のことを必ず入れるけど、いっそ汚物をテーマにしたものも出していいんじゃないかな? そのほうが逆にすがすがしいわww


    こんな感じで、読後は作者についてテキトーなことを言いたくなる、そんな小説でした。

  • 莫言の小説の中では珍しいほどの技巧的な作品。舞台は「酒国」という架空の都市であり、そこで赤ん坊を食べているという噂を潜入調査に来た検事丁鈎児(ジャック)が主人公。

    その丁鈎児の冒険譚に、酒国に住む李一斗という人が作家莫言(作者と同じ名前)に送る手紙と、彼が書く短編小説の話が交じり合って、次第に何が本当で何がマボロシなのか、あやふやになってきます。

    そのあたりの怪しさを楽しむというのが本書の読み方ではあるのでしょうけど、素朴でエネルギーにあふれた農村ものと比べると、技巧に溺れた感がなきにしもあらず。

    個人的には莫言作品の中で、あまり高い評価にはなりませんでした。

  • うーん、他の作品と比べて劣る。
    豊乳肥臀、白檀の刑、転生流転、そして四十一炮に比べると、技巧は凝らしていると思うし、たぶんこういうの本人は好きなんだろうけど、若書きであり、小説のための小説という感じはする。精一杯頑張っているんだけど、一言でいうとださい。

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莫言の作品

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