実践するフェミニズム

  • 岩波書店 (2001年6月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784000233583

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  • 本書は、「フェミニズムは実践〈プラクティス〉のためにある」ということばではじまります。このことばが示すとおり、フェミニズムの理論を紹介するのではなく、われわれの生きている現実を変えていくための手立てとしてとらえ、セクシュアル・ハラスメント、性暴力、売買春とポルノという三つの問題にそくして、そのつかいかたが紹介されています。

    こうした本書の「実践」という立場のとりかたには、多少の注意が必要かもしれません。たとえば著者は、「セクハラ」はたんなる女性差別ではなく、権力構造と結びついているために、被害者がその是正を求めることがむずかしかったことを指摘し、そこにこの問題の本質があると論じています。そして、「セクハラ」の概念が社会にひろく浸透したことは、性差別という観点からではなく、労働権の侵害という観点から被害者の救済の道を開いたという意義をもつことが明らかにされています。

    著者は、こうした意義を説明するために、「デート・レイプ」の例をあげています。「四阿署は女性も男性に好意を持っていて誘われた時点では合意だった、女性にはセックスする気まではなかったのだけれど、結局断りきれなかった……、そんなケースは、来るべき刑法典でも簡単に強姦と認められることはないだろう。しかし、相手が上司だったために断りきれなかったのだとしたら、そのために女性が会社で働きにくくなったとすれば、強姦という刑法上の範囲にはあたらないとしても、セクハラとして不法性を問い被害者を救済することができるはずだ」と著者は述べています。

    ただ、著者のいうように「セクハラ」の中心的な問題が権力構造との結びつきにあるのだとするならば、このような例では具体的にどの局面でどのようなかたちで権力勾配が作用したのかということをていねいに解明することも必要だと思われますが、本書の議論はそうした理論的関心よりも、その政治的な効果に注目がなされています。このことからも、本書の「実践」ということばは、たんなる理論の応用ではないということがうかがえるように思います。

  • 【書誌情報】
    『実践するフェミニズム』
    著者:牟田和恵
    ジャンル 社会
    刊行日 2001/06/25
    ISBN 9784000233583
    Cコード 0036
    体裁 四六・上製・カバー・234頁
    在庫 品切れ

    セクシュアリティをめぐる複雑な問題を日常生活の現場から分析した新しいフェミニズムの実践.
    https://www.iwanami.co.jp/book/b262572.html

    【簡易目次】
    1 セクハラ徹底解剖 
      セクハラの誤解と真実
      セクハラ「対策」を超えて
    2 性暴力に立ち向かう 
      性暴力裁判の展開
      性暴力問題からエンパワーメントへ
    3 ポスト・セクハラ時代をめざして 
      ポルノから学ぶこと
      売買春と援助交際
      生きられる場のフェミニズム

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著者プロフィール

大阪大学大学院人間科学研究科教授。専門は社会学・女性学。
主な著書:『部長、その恋愛はセクハラです!』(集英社)2013年、『家族を超える社会学』(新曜社)2009年、『ジェンダー家族を超えて─近現代の生/ 性の政治とフェミニズム』(新曜社)2006年、『実践するフェミニズム』(岩波書店)2001年、『戦略としての家族─近代日本の国民国家形成と女性』(新曜社)1996年

「2015年 『改訂版 ジェンダー・スタディーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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