神話と日本人の心

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000233828

感想・レビュー・書評

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  • アマテラスを天の岩屋戸から引き出すために
    アメノウズメが裸踊りをするという場面は有名だが、
    アマテラスの影としてアメノウズメを考えると
    なんと面白い・・・。
    外国の神話との比較もあって面白い。
    中空近郊構造に関しては、こういうバランスのとり方というのは思ってもいなかったことで、いわゆる日本人気質というのは、こういうところからきているのか・・・と納得した。
    出雲と高天原との関係も面白く、勝者が敗者を支配下に置くという関係性がなく、巧妙に妥協したり、うまく補償しあったりして、古事記のなかの神々はすごいというか・・・
    こういう物語をつくった日本人・私たちのご先祖さまたちは、ただただすごいなあというしかない。
    「畏む(かしこむ)」ということに関しての記述も面白かった。

  • 日本人のバランス感覚は、神話にまで如実にあらわれているのだ。つまり「間をとって丸くおさめる」というやり方。父性の強い神が登場すれば、それを制御するのは母性的な神であったり、その逆も然り。ユダヤ教やキリスト教とは異なり、その容赦のなさが感じられないのが日本の神話。そこに、えもいわれぬユーモアが感じられて面白い。
    「間」と「ズラし」というのは、『古事記』や『日本書紀』にあってはほとんど同義語に近いのではないかと実感。
    カミムスヒノカミとタカミムスヒノカミが、それぞれ、反対の性を象徴するカミのバックボーンになっているというのにも顕著にあらわれている、古き日本神話においてさえ、出る杭ならぬ、出る神は打たれる、のだ。

  • まさに私の知りたいことがギュギュギュっと!!!
    月読の存在感!
    そう!そう!そ~ゆ~ことなんだって!!とうなずきながら読んだ。

  • 日本人の「リーダーシップ」「自己主張」が無いは今に始まったことではなく、神話が出来た古代からの国民性なんだということがよく理解できた。

    イザナキ、イザナミの最後のやりとりによって、日本における「死」の初めと、それでも人は「産む」のエピソードで、自然の厳しさに畏れの念を持ちながらも、未来へ力強い希望をもってるということにとても感動した。

  • 日本人の特徴に「中空均衡構造」があると神話を通して分析したユング派の河合先生。これは今の政治状況を見ても見事に当てはまる。

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