自由の平等: 簡単で別な姿の世界

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000233873

作品紹介・あらすじ

少子高齢化、不況と失業、逼迫する財政。私たちの不安をかき立てる社会状況への対処法として近年もてはやされるのは、自己決定と自己責任、能力主義と自由競争であり、社会全体の調整・介入は批判されがちである。本書は、リバタリアニズム(自由至上主義)やリベラリズムのこうした磁場に対抗して、自ら障害者の介護や医療問題にも積極的に関わる気鋭の社会学者が、必要なものを必要な人に届けるための社会的分配の正当性を、さまざまな角度から徹底して考察したものである。

感想・レビュー・書評

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  • https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b261206.html

    【目次】

    序章 世界の別の顔
     1 書かれていること
      1 自由による自由の剥奪
      2 嫉妬という非難の暗さ
      3 存在の肯定が肯定する
     2 書かれていること・2
      1 価値を問わないという価値を採らない
      2 機会の平等を第一に置かない
      3 世界にあるものの配置
     3 この本では述べないこと
      1 分配する最小国家?
      2 不足・枯渇という虚言
      3 生産の政治の拒否
      4 労働の分割
      5 生産・生産財の分配
      6 持続させ拒んでいるもの
      7 国境が制約する
      8 分配されないものの/ための分配

    第1章 自由による自由の剥奪――批判の批判・1
     1 「自由主義」による自由の剥奪
      1 自由による自由の剥奪
      2 所有の規則はそれを正当化しない
      3 妨げられない自由/行なう自由?
      4 自然の状態/制度による制約という区別、ではない
     2 ゲームから答はでない
      1 ゲームにならない
      2 結果を正当化できない
      3 役に立つことはある
     3 迷惑をかけない限り勝手であるという説の検討
      1 「自然な感じ」?
      2 危害を加えない?
      3 身体の自由と所有の自由
     4 もっともっともな論
      1 帰属・表出
      2 努力・苦労
      3 寄与・貢献

    第2章 嫉妬という非難の暗さ――批判の批判・2
     1 つまり羨ましいのだと言われる
      1 まじめにとりあうこともないかもしれないが
      2 それでも言っておくべきこと=この章の概要
     2 批判の批判・2――嫉妬でしかない、について
      1 私ができることの否定の限界
      2 だが私ができることのよさは自明ではない
      3 私とできることをつなげてしまうもの
      4 切り離し、私のためにできることがあるとする
      5 できることもつことを肯定し分配を肯定する
      6 他人ができることはよいことになる
     3 さらに言われうることについて
      1 他者を低めること?・際限がないこと?
      2 固有性・多様性の破壊?
      3 むしろ批判は自らを否定する
      4 立場

    第3章 「根拠」について  
     1 「根拠」という問い 
      1 「根拠」という問い 
      2 人間性を置くことについて
      3 答に与えられる条件
     2 私の存在と他者の存在
      1 私のために、から届く
      2 「利他」
     3 普遍/権利/強制
      1 普遍性・距離
      2 権利と義務・強制への同意
      3 中途半端さとつきあうこと

    第4章 価値を迂回しない 155
     1 回避
      1 何を置くかという問題の問題
      2 人により異なる→効用の平等→安価な/高価な嗜好
      3 だから客観的なものを、という解でよいか?
     2 回避しない
      1 多くを要求する人
      2 つつましやかな人
      3 総合評価について
      4 比べること
      5 基準について

    第5章 機会の平等のリベラリズムの限界
     1 限界
      1 答えが開く問い
      2 本人/環境の分割という答とその出自
      3 支払い失うものがある
      4 格差はなくならない
     2 代わりに
      1 収め所としての結果の平等
      2 それは過程・機会が大切であることと矛盾しない
      3 そして労働の機会が分配されることが支持される

    第6章 世界にあるものの配置
     1 それが留まってしまう場所
      1 そこに起こっていること
      2 決めること・選ぶことという案
     2 もっと普通の答
      1 もっと普通の答
      2 世界にあるものの配置
      3 私との関係、から再び社会の解析

  • 自明の論理を脱構築してくれるのでは?

  • 世の中には2種類の人間がいる。
    立岩の文章を読みやすいと思う人間と,読みにくいと思う人間である。

    俺は後者。

  • 結果の平等

  • 図書館

  • 近代的私的所有の概念を執拗に批判し、できるだけ素直で了解可能な公正な分配のあり方を検討、提示した本(だと思う)。リヴァタリアンを強く批判し、むしろリベラリズムのオルタナティブを提示したもの、として個人的には理解した。とにかく鬱陶しくなるほど執拗だけれど(笑)、近代的所有の概念も分配もグローバルに捉える視点の必要性には(実現可能性はともかくとして)、なるほどなーと思わされるところがあった。その意味で、「小さな国家」を主張している点は誤読されたくないだろうな…。

  • 今までの立岩本とは異なって(ると思います。)、つらつらつら〜って書かれています。最初読みにくかったんですが慣れたらどんどん入ってきました。と言いながら、もったいないので少しずつ読もうと思っているのと他の本が優先順位で勝ってしまってるのとで、まだ読み終えていません。

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著者プロフィール

立岩 真也(たていわ・しんや):1960年生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。社会学専攻。著書に『私的所有論 第2版』(生活書院)、『弱くある自由へ――自己決定・介護・生死の技術』『造反有理――精神医療現代史へ』『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』(以上、青土社)、『介助の仕事――街で暮らす/を支える』(筑摩書房)、『自由の平等』(岩波書店)、『自閉症連続体の時代』(みすず書房)、『人間の条件――そんなものない』(新曜社)など。共著に『ベーシックインカム――分配する最小国家の可能性』『税を直す』『差異と平等――障害とケア/有償と無償』『相模原障害者殺傷事件――優生思想とヘイトクライム』(以上、青土社)、『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学』(生活書院)ほか多数。

「2022年 『人命の特別を言わず/言う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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