『食道楽』の人 村井弦斎

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000233941

作品紹介・あらすじ

明治の大ベストセラー『食道楽』の著者としてのみ知られる村井弦斎の初めての本格的評伝。この人弦斎は、幕末の儒家に生を享け、「郵便報知新聞」(のち「報知新聞」)に入社、新聞小説家として明治最大の長篇未来小説『日の出島』を連載、次いで『食道楽』により一世を風靡した。のち婦人啓蒙へと転じて「婦人世界」に健筆を振るい、平塚にユートピアのような広大な庭園に囲まれた大邸宅を構え栄華を誇った。だが、その晩年はあろうことか仙人への途に就き、断食、木食などの研究実践を遂行し、模索の日々を過ごす。著者は、埋もれていた厖大な資料を博捜し、宮武外骨、斎藤緑雨、矢野龍渓、渋沢栄一等などの思いがけない人々との交渉を次々と手繰り、その生を覆う光と影を大きな時代背景に溶かし込んであざやかに描き出した。

感想・レビュー・書評

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  • 弦斎の人生と共に歴史の流れも細く書いてありわかりやすい。
    まさか1904年、明治37年にサスティナブル的なことを考えているとは思わなかった。
    当時の健康ブームが面白い。ブームに乗る感じが今と変わらない。
    最後の4行とてもいいなと思った。
    幸福な生き方だったに違いない。
    あまり有名ではない村井弦斎のことをこんなに詳しく調べて本当に大変だっただろう。あとがきに感動。

  •  かつて、朝日新聞の書評で目にして、ぶったまげた。
     すげーものをお書きになったんですね。
     正直、アカデミックで、読み物として面白いかといわれたら、わたしには手に余る。だけど、彼女が、面白いテーマに出会い、それを必死においかけておいかけまくって、ほくそえみつつ、筆をおこしている、そゆう物書きとしての至福みたいなものが、ちゃんと見えて、くそうらやましい。

  • i文庫HDで少しだけ「食道楽」を読み始めたところで読んだのだが、実に素晴らしい研究。このような素晴らしい研究テーマを掲げ、粘り強い調査を行い、読ませる文章を書ける研究者が夭逝してしまったのは残念至極。「パンとペン」も期待大。先日読んだ「雑食動物のジレンマ」と言ってることがまるで同じで百年経ってもほとんど人間の食には進歩がないのかと驚愕。魯山人などは著書のなかで村井を相当馬鹿にしているが、売れる人に対するこういうやっかみって、今も昔も変わらんな、と。昔のほうが権威主義が強かった分、余計酷かったかも。食育が見直されてるなか、この人の著作がまた見直される気もするな。

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。ノンフィクション・ライター。図書館へ通い、古書店で発掘した資料から、明治の人物、世相にあらたな光をあてつづけた。
『「食道楽」の人 村井弦斎』でサントリー学芸賞、『編集者 国木田独歩のj時代』で角川財団学芸賞、『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』で読売文学賞を受賞。
他の著書に『音のない記憶』『忘れえぬ声を聴く』『明治のお嬢さま』など。10年間で10冊の著書を刊行した。惜しまれつつ、2010年没。

「2018年 『歴史のかげに美食あり 日本饗宴外交史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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