死のミメーシス――ベンヤミンとゲオルゲ・クライス

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 13
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000234757

作品紹介・あらすじ

ベンヤミンの思考は、今日もなお挑発し続ける。その思想の生成過程から、近代と反近代のはざまで、不可能な「第三の道」を探った精神の秘密に迫る。ゲオルゲとその周辺への親近と疎隔に隠された事情-神話的なものの豊饒な親和力から、「死」を梃子にして身を解き放とうとするベンヤミンの逆説的な身振りは、神話と革命、神話と純粋言語、神話と神学をめぐるその両義的な思考の道筋について、多くを語っている。「死のミメーシス」という生存を賭けた営みをテクストから掘り起こし、思想が跳躍する瞬間をハイスピードカメラでとらえる。

感想・レビュー・書評

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  • ドイツ文学研究者による、ゲオルゲ・クライスとの関係からベンヤミンを論じた研究書。ベンヤミンのモチーフに占めるゲオルゲ・クライスや伝統的ドイツ文学の比重の大きさは、改めてベンヤミンをただのマルクス主義者あるいはユダヤ神秘主義者と捉えることの一面性の危険性を暴露してくれる。その意味で、ベンヤミンの仕事はまさに「芸術の政治化」に他ならない。そして明らかにすべきは、芸術と政治を止揚する際の媒介項である。

  • ベンヤミン研究者必読の書の1つだと思われる。
    さすがに博覧強記であり、文献も豊富なので、少なくもと手元において参照できるようにはしておくべき。
    #最終章でカフカ論の「せむしのこびと」という形象をめぐっての議論はさすがに食入るように読んだ。
    以下、雑感。
    末尾の同定にいたるまでには、これだけ浩瀚書での考証がひつようなのだ、ということを考えさせられた。
    途中で、著者らしからぬ文章の終わらせ方(「ここでは割愛することにする。」p.189)があり、不可思議な思いをした。
    また、p.187にある「友どち」は明らかな誤植だと思われるが、「友だち」にしても著者に似つかわしくない訳語。

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著者プロフィール

1944年生まれ。東京大学名誉教授。ドイツ文学専攻。著書に『プラハの世紀末―カフカと言葉のアルチザンたち』(岩波書店、1993)、『カフカ―身体のトポス』(講談社、1996)、『獣たちの伝説―東欧のドイツ語文学地図』(みすず書房、2001)、『ツェラーンもしくは狂気のフローラ―抒情詩のアレゴレーゼ』(未來社、2002)、『マゾッホという思想』(青土社、2004)、『ホフマンと乱歩―人形と光学器械のエロス』(みすず書房、2007)、『死のミメーシス―ベンヤミンとゲオルゲ・クライス』(岩波書店、2010)、Toponym als U-topie bei Paul Celan. Auschwitz – Berlin – Ukraine (Königshausen & Neumann, 2011〔本書のドイツ語版〕)、『ボヘミアの〈儀式殺人〉―フロイト・クラウス・カフカ』(平凡社、2012)など。

「2015年 『土地の名前、どこにもない場所としての』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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