時代が締め出すこころ――精神科外来から見えること

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 49
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000234856

作品紹介・あらすじ

こつこつとまじめに働いてきた人が、ある日「アスペルガー障害」と言われる…いままで病気とみなされず、ひとつの個性と思われていた人々が、精神疾患とされる時代に警鐘を鳴らす。そして埋もれた一人ひとりのこころの視点にたって、その可能性を引き出してゆく臨床の在り方を、患者の実例から浮き彫りにしてゆく。

感想・レビュー・書評

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  • 今,青木省三先生の新刊「時代が締め出すこころ」を読んでいます。

    発達障害について,うつ病について,薬物療法について…豊富な臨床経験に基づいた先生の考察がぎっしり詰まっています。

    特に青年期以降の発達障害に関しては,今までなら社会に適応できていたひとたち,社会のなかに自分の居場所があったひとたちが,時代の変化によって居心地のいい場所を失ってうまく適応できなくなっている…そんな背景があって診察室へ訪れるようになった患者さんたちにその一時の不適応のために発達障害の診断をつけるべきなのだろうか,といった先生の主張もあり,とても考えさせられます。

    発達障害の特性があることに気付くことと,発達障害だということを患者さんにお伝えする(告知する)ことはイコールじゃないとは私も思っているけれど,じゃあどんな患者さんには発達障害だとお伝えして,どんな患者さんにはお伝えしないのかという線引きはまだ自分のなかでかっちりかたまっていないんですよね。

    強いて言うなら,うまくまわりの環境に適応できない状態で受診してくださってから,どうすれば少しでも過ごしやすくなるかを一緒に考えながらお会いするうちに,発達障害のことをお伝えしたほうがいいかも…というタイミングが来たらお伝えしている,という感じかもしれません。これって結構行き当たりばったりですよね。

    やっぱりもっともっと自分自身の方向性とか指針といったものをはっきりさせないといけないな,とこの本を読みながら考えたところです。

    たぶん,私自身にはこういうときはこうしているという暗黙のルールがあるのですが,それがちゃんとことばにしたいな,と。

    …書いているうちにちょっと堅苦しい話になってきてしまいました。

    この「時代を締め出すこころ」には,一貫して患者さんの視点を大切にした青木先生の診療姿勢が窺えて,読んでいてとてもあたたかい気持ちになります。

    精神保健福祉に携わる支援者の方たちにも,精神保健福祉に関心のある一般の方たちにもぜひ一度読んでいただきたい,そんな本です。

  • 「家に病気の人がいると、病気の人だけでなく、家全体が外に対して閉鎖的になることが多い。(中略)親が子どものことばかり心配して毎日を過ごすようになることは、親にとってもプラスではないし、子どもにとってもプラスではない。親が子どものこと以外に興味や関心を持つことは大事だと思う。」
    親が仕事や地域活動をして、生き生きとしている姿を子どもに見せたいと常日頃思っている。子どもとの関わり方を自分の友人や知り合いに対してもオープンにしていくことで、障がいのある子どもと家族について、知っていただきたいと思う。そういう接点を持つことで、社会から「しめだされない」ようになってほしいと思う。

  • 良い本です。精神科医の視点から書かれているが、共感できることが多く学びも多かった。障害のある方もそれを含めてその人個人として認めることなど等。

  • 行き詰まっている時に読んで勇気づけられた。

  • 人は障害をもって生まれてくるのではなく、生きていく中の相対性において障害と呼ばれるのだと思う。
    社会的・医療的サポートという、人間社会の福祉は、一人の人間として生きていくための支援で、あるという原点に立ち戻りたい。

  • 2階書架 : WM009/AOK : 3410152625

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著者プロフィール

川崎医科大学精神科学教室教授

「2018年 『精神科臨床を学ぶ 症例集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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