ショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く

制作 : 幾島 幸子  村上 由見子 
  • 岩波書店
4.16
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本棚登録 : 637
レビュー : 57
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000234931

作品紹介・あらすじ

本書は、アメリカの自由市場主義がどのように世界を支配したか、その神話を暴いている。ショック・ドクトリンとは、「惨事便乗型資本主義=大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義改革」のことである。アメリカ政府とグローバル企業は、戦争、津波やハリケーンなどの自然災害、政変などの危機につけこんで、あるいはそれを意識的に招いて、人びとがショックと茫然自失から覚める前に、およそ不可能と思われた過激な経済改革を強行する…。ショック・ドクトリンの源は、ケインズ主義に反対して徹底的な市場至上主義、規制撤廃、民営化を主張したアメリカの経済学者ミルトン・フリードマンであり、過激な荒療治の発想には、個人の精神を破壊して言いなりにさせる「ショック療法」=アメリカCIAによる拷問手法が重なる。

感想・レビュー・書評

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  • 最近の政治の動きとこの本の内容を照らし合わせた時、これから起こりそうであることが見えてくる。明らかに今の社会状況はこの本のいうところの、「ショック・ドクトリン」に向かっている。沢山の人に読んで欲しい。決して日本に関係のない海外の話ではない。

  • ミルトン・フリードマンらによって提唱された新自由主義がいかにして人々の生活を破壊したか。彼らは自然災害であれ、戦争であれ大きな破壊に直面してショック状態に陥った人々や共同体のすきにつけ込んですべてを自らの手に奪い取った
    ナオミ・クラインはその手法の基礎として精神療法の一つとして一時実験され(そして失敗した)ショック療法の証人を訪ねることから語り始める。
    その後、議論は新自由主義的実験のプロトタイプであるチリの状況から始まり、サッチャリズム、ポーランド、南アフリカの状況へと拡大していく。
    新自由主義がいかにしてその勢力を拡大し、それに伴い人々の権利、公共空間が失われ貧富の差が拡大し、人々が絶望の淵に落とされていく状況が詳細に検討されている。

  • 「制約のない完全な自由」を標榜する新自由主義の弊害を描いた本。タイトルの「ショックドクトリン」とは、災害や戦争などの大きなショックに便乗して、「復興」の名のもとに既存秩序を一掃し、新たな秩序を作ろうとする「惨事便乗型資本主義(ディザスター・キャピタリズム)」のことです。新自由主義を盲信することへの警鐘なのです。
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  • 社会
    政治

  • ショック・ドクトリンとは、「惨事便乗型資本主義=大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義改革」のこと。

  • ミルトン・フリードマンをはじめとするシカゴ学派が主張する新自由主義的資本主義の批判書。チリ、アルゼンチン、中国、ロシアで起きた革命や政権崩壊を取り上げ、経済体制を一瞬のうちに原理的自由・資本主義に換えてしまったことにより、失業率が上昇し、貧富の格差が広がったことを示している。結果として、ごく一部の人に富が集中したわけだが、その波及的好影響も大きいはずであるし、一概にどちらが正しいのかは計りかねる。
    「シカゴ大学教授の確信するところによれば、いったん危機が発生したら迅速な行動を取ることが何よりも肝心で、事後処理にもたついたあげくに「現状維持の悪政」へと戻ってしまう前に、強引に襲撃をかけて改革を強行することが重要だという」p7
    「世界をゼロから創造する神のごとき力をわがものにしたいという欲望こそ、自由市場イデオロギーが危機や災害に心惹かれる理由にほかならない」p28
    「(フリードマン)規制緩和、民営化、社会支出削減の3つの柱」p78
    「(フリードマン)「福祉国家」と「大きな政府」に戦いを挑む」p79
    「(ガンジー)国家間の武力紛争は私たちを恐怖に陥れる。だが経済戦争も武力紛争と同じくらい悲惨である。経済戦争はいわば外科手術のようなもので、延々と続く拷問にも等しい。それがもたらす惨害は、戦争文学に描かれた悲惨に劣ることはない」p181
    「票は収入よりも平等に分配されている」p188
    「サッチャーには国をひとつにまとめるための的が必要だった。緊急措置や弾圧を正当化する非常事態、すなわち彼女が残酷で時代錯誤なのではなく、タフで決断力に富んでいると見せるための危機が必要だったのだ。フォークランド紛争は、その目的を完璧に満たした」p196
    「正当理論では、すべての社会的コストをショック療法によって貧困層に押しつけようとする」p209
    「国民は、ハイパーインフレを解消して正常な状態に戻るためなら過激な変化でも受け入れようと考える」p235
    「シカゴ学派の経済学のもとでは、植民地のフロンティアにあたるのが国家であり、今日の征服者は、かつて先祖たちがアンデスの山々から金や銀を持ち返ったときと同じ非情な決意とエネルギーを持って国家を略奪する」p341

  • 【要約】


    【ノート】
    ・pen booksで

  • ナオミ・クラインの代表作。
    多国籍企業の経済利益を最大化するため、シカゴボーイズ、即ちフリードマン学派を世界に広めるためにショック療法が世界各国にもたらされたのである。

  • 初めて読んだのは震災の直後ぐらいだったので、当事者として緊張しながら読んだので、強く印象に残っている。
    権力はどさくさに紛れていろいろなことを言い出す。あらためて読んでおくべき。

  • 160206 中央図書館
    フリードマンのように自由主義者の主張にハマると、災害や危機のたびに、復興や見直しの美名のもとに社会が「リストラ」されて大変になるぞ、という警告。

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著者プロフィール

1970年、カナダ生まれのジャーナリスト、作家、活動家。デビュー作『ブランドなんか、いらない』は、企業中心のグローバリゼーションへの抵抗運動のマニフェストとして世界的ベストセラーになった。アメリカのイラク戦争後の「復興」に群がる企業の行動に注目したことがきっかけとなった大著『ショック・ドクトリン――惨事便乗型資本主義の正体を暴く』は、日本でも多くの読者に受け入れられた。『これがすべてを変える――資本主義 vs。気候変動』は、「『沈黙の春』以来、地球環境に関してこれほど重要で議論を呼ぶ本は存在しなかった」と絶賛された。2016年、シドニー平和賞受賞。2017年に調査報道を手がける米ネット・メディア「インターセプト」に上級特派員として参加、他に『ガーディアン』『ネーション』などさまざまな媒体で記事を執筆している。

「2019年 『楽園をめぐる闘い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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