戦争と罪責

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000236065

感想・レビュー・書評

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  • 兵士、憲兵、軍医とそれぞれの中国大陸での日本軍兵士として、さらに捕虜での撫養収容所での個人的体験の聞き取りの記録であった。撫養収容所での話は他の書籍ではあまり詳細には記載されていないので読むべきものである。

  • 沖縄の戦争のこころの本を読んで、積読本であった本書を思い出し読んでみた。何と20年前の出版であった。この20年の間に更に過去と向き合わない兆候が進んでいる現在、改めて過去と向き合い、その事実を個々人がどのように見つめるかが、これからの私達だけではなく、後に続く人にとっても大事であることを実感する読後感であった。

  • ショッキングな本です。私は今までに過去の戦争に関する本をほとんど読んできませんでした。日本軍も中国でかなりひどいことをやってきたということを漠然と知ってはいましたが、これほどとは考えてもいませんでした。そしてその犯罪行為に関わってきた多くの人が罪の意識を持っていない、逆に反省して悔い改めている人たちが反感をかっている、という現状も知ることができました。被害を受けた人あるいはその家族、犯罪を犯した人々がどんどん少なくなっていきます(亡くなっていく)。だからといって戦争があったという事実は消えないのです。ぜひ全ての人にこの本を読んでいただき、戦争中どのような残酷なことが行われていたのかという知識を身につけておいてほしいと思います。決して忘れてはいけないことだと思います。そして二度と同じ過ちを犯さないようにしたいものです。本書は岩波「世界」(という雑誌)で連載され、後に単行本になったものです。定価は2300円になりますが、ぜひ読んでみて下さい。(2015年現在、文庫になっていないのだろうか。岩波さん しっかりお願いします。すみません、えらそうで。)

  • 図書館で借りてきた本。

    6月の終わりに新宿・ニコンサロンで行なわれた「重重‐中国に残された朝鮮人日本軍「慰安婦」の女性たち」写真展を観に行った感想をブログ及びmixi日記に「わたしはどうしてこの人たちが個々に取り残されたかということを全く知らない」と書いたら、マイミクさんの一人が「このような本がありますよ」と言って教えてくれたうちの一冊だ。

    この本を書いたのは野田正彰という精神科の医者が、元軍医、将校、特務、憲兵だった人たちに対して、中国で自分が行なってきたことはどういうことだったか、戦争が終わって中国に戦犯として収容されていたときにこの人たちがどのような経緯で自分の行なってきたことに対して反省したか、その後日本に帰ってきてどのような生活を送っているのかを丹念に取材し、そしてときには厳しく加害者の精神分析を行ないながら加害者とぶつかっていく、そのような本である。

    1冊17章あるのだが、一人の話がおおよそ1章~3章に渡って書いてある。わたしは本を読むスピードは結構早いのだが、この本に限っては、1人のエピソードを読むたびに頭がいっぱいになって、胸が苦しくなるので、途中何回も休みを挟まなければならなくなったり、日を改めたりしなければならなかった。それくらい「濃い」本だった。

    http://rontako.blog39.fc2.com/blog-entry-1621.html

  •  バブル経済に酔い痴れる人々を精神科医特有の視線で巧みにスケッチしている。「多幸症」とは言い得て妙。確かに浮かれていた。騒々しいほどに。若い女性は何も考えずに、ワンレン、ボディコンというスタイルで踊り狂っていた。ああ懐かしや、ディスコのお立ち台。まさに、精神のメタボリックシンドローム。

     <a href=\"http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20090118/p1\" target=\"_blank\">http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20090118/p1</a>

  • 日本人として読んでおくべき本。

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著者プロフィール

1944年生まれ。長浜赤十字病院精神科部長などを経て、現在、関西学院大学教授。専攻は比較文化精神医学。1999年2月の広島県立世羅高校・石川敏浩校長の自殺についての検証をきっかけに、君が代強制に苦しむ教師たちの精神医学にかかわる。著書に、『虜囚の記憶』(みすず書房)、『子どもが見ている背中』(岩波書店)、『させられる教育』(同)、『戦争と罪責』(同)、『喪の途上にて』(同、講談社ノンフィクション賞)『コンピュータ新人類の研究』(文藝春秋、大宅壮一ノンフィクション賞)など多数。

「2009年 『教師は二度、教師になる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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