創造された「故郷」 ケーニヒスベルクからカリーニングラードへ

  • 岩波書店 (2019年2月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (294ページ) / ISBN・EAN: 9784000237383

作品紹介・あらすじ

第二次世界大戦の結果、東プロイセンとケーニヒスベルクはソ連に移譲され、カリーニングラードと改名された。ソ連は戦利品としての空間をどのように「わが国の領土」として創造したのか。その中で、普通の人びとの経験とはどのようなものだったのか。戦争で住民が総入れ替えとなった地域の稀有な歴史を、政策者と住民のダイナミズムを通して描く。ロシアを渉猟して集めた資料と、貴重なオーラル・ヒストリーの記録を駆使した労作。

感想・レビュー・書評

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  • 公文書からの情報、古老(初期移住者)たちからの語りの聞き取りという、両輪の整った歴史書。東プロイセンの、チュートン騎士団にまでさかのぼる歴史から始められ、西側諸国の常識が通用しない、ソビエトの歴史改変時代を丹念に追い、証拠を集めた集大成ともいえる。
    このような語りを収録する場合に、陥りがちなセンチメンタリズムを上手に抑制した良書。星を5つとした。

    お勧めポイントは、以下の4点。
    ・日本での義務教育で習った『コルホーズ』は、用語と簡潔な説明だけだった。ここではそれ以上の実態と、コルホーズに端的に表れている、ソヴィエト中央集権システムの脆弱さを知ることになる。
     すでに知っている向きは、カリーニングラード/ケーニヒスベルグの特殊性と、大規模移住に伴う悲惨さ、抑圧を追加で知ることになる。
    ・戦後処理の空白状態、中央が最西端の小さい問題にかかわってられない等、様々な理由から、
    『地方で頑張れ、援助はない』
    の恐ろしさ。
    ・ソヴィエト以外もやらかした、ゼロから作る都市、歴史、文化の事例。そして、ゼロにさせるまいとした『下々の者』、つまり市井の人々の活動を知ることができる。
    ・「いま此処に生きているひと」にとって、都市の名称はカリーニングラードでもケーニヒスベルグでも、たいした問題ではないという静かな認識。

    生活者の視点をちゃあんと収めている(しかも最終章の末尾、最も印象に残る場所)あたり、学者の独りよがりになりがちな『一般向け学術書』の悪弊をきちんと抑制している。まことにそつが無く、良書というにふさわしい一冊であった。

  • 戦後、東ドイツの一部がソ連に移譲され、カリーニングラードとなった。新たな領土にソ連から移住し、故郷となった。

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