- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000237406
作品紹介・あらすじ
人間って不思議だなあと思わず唸ってしまう物語、誰かに教えずにはいられない漫画、忘れてはならない現実を伝える随筆……、世の中には数限りない本がある。あるとき著者はこの広くて深い森のような世界を旅した。そして旅行記が完成する。とびっきり楽しく、読み終えればふっと肩の力が抜け視界が開ける。著者と一緒に「読むこと」を考える紙上レッスンも付けました。
感想・レビュー・書評
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著者にとって気になる書籍を、独自の視点、切り口、文体、展開で、シュッとまとめたり、読み手をモヤッとさせたりで、最後まで楽しく読ませていただきました。
ヨイ意味で捏ねくり回してくれるのが、著者の思索の森に分け入る感じで、不思議と落ち着きます。 -
「語りえぬものを語る」以来好んで読んでいる野矢茂樹に
よる書評を集めた本。後半の「読み方」についての文章も
良かったのだが、やはり著者と私の波長が合うのか、書評に
取り上げられている本の多くをまた読みたい本リストに追加
することになった。読んでも読んでも(嬉悲鳴)。 -
読了日 2022/07/30
図書館で借りて読了。
野矢先生は知人のラボの教授で、自分とはまっったく関わりのない人だけど、勝手に親近感を覚えて、いくつか本を読んだりしている。
彼の哲学は(というか哲学一般的に)難しいが、『言語学の教室』で現れたような、認知言語学にさわる部分についてはとても興味深いので、そこに触れるものがないかと、今回の本も読んだ。
「傾向として言えば、英語は導管メタファーが優勢であり、日本語は液体メタファーが優勢であるという」(『そっとページをめくる』野矢茂樹/岩波書店P125)
こういう研究ってめっちゃ楽しそうだよなあと思う。 -
【2022年4月入社 鈴木さんオススメ】
哲学者の野矢茂樹さんが様々な本の書評を記した一冊。やわらかい文体で書かれるユニークな書評の数々は、読むだけでのんびり旅行をしている気分に。装丁もかなり凝っており、電子書籍やオンライン記事など、単なる情報媒体としての文字コンテンツが増える中で、本との向き合い方を再考させられる。 -
友人に借りて読了。
様々なジャンルの本の解釈がとても面白い。
「言葉はそれぞれ遥か昔からの来歴をもち、今も蠢いている。そして今現在も新たな方向に動いていこうと揺らぎ続けている」
「英語は名詞(主語)に重きを置き、日本語は動詞に重きを置く」
「予想できない、思いも寄らなぬものとの出会い、それを好きになることこそがより大きな新しい意味をもたらしてくれる」
宮沢賢治の「土神ときつね」
最初に読んで???という感じだったけど、丁寧に読み方が解説されていて、今までなんとなく読んでいた物語を細かく解釈の分析をするのも面白いなと思った。
1人だとそこまで考えられない(笑) -
著者が好き+綺麗な装丁+面白そう(著者が本をどう読みどう感じるのか気になる)ということで、気になっていた本。
パート1は書評。
パート2がめちゃくちゃ面白い。
英単語と言葉の話。
子どもの素朴な質問に真面目に答える話。
(哲学者の回答を紐解いて解説。著者はこれを回答した哲学者に送るのだが、哲学者からの返答もまた秀逸。)
最後は、『土神ときつね』から、小説を深く読む方法を解説してくれる。相貌という読み方。何度でも読んで読む練習をしたい。
冒頭に、自由に読むのは良いが、勝手に読んではいけないということが書いてあり、「?」だったのだが、『土神ときつね』を読んで、言わんとすることが分かった気がする。 -
言葉が柔らかくて、読書が楽しい!
書評のうち何冊か読んでみようと思う。
p156
何かを好きになる
◯ものごとの新しい意味が与えられ、ものごとの意味がより豊かになっていく。
△立派な人格への成長
p164-165
私とは異なる価値と意味付けを持った世界を生きている誰かを好きになるときには、私はその人を好きになることによってその人が発信してくれる私とは異なる価値と意味付けを浴び続けることになります。
それを私のものとして受け入れるかどうかはともかく、私が好きな人に価値付け意味付けた世界の全てを受け入れを得ようとするでしょう。
→個人的な意見
師匠の研究分野、友人の好きなアーティストや、恋人の好きな食べ物などを思い出して、納得した。
これは嫌いなものの中に踏み込んでいくよりもはるかに大胆な冒険だと思うのです。
→昔嫌いだった食べ物に挑戦!
p171
我々工業産物の多くは、それぞれ機能的意味を強く自己主張しているので、他の調和を図ることが難しい。
石 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/745348 -
自分は書評というものが好きではなく、どちらかと言うと書評を買って読むぐらいなら自分で買って読むわぐらいのスタンスなのだが、とても楽しく読めた。
取り上げる本のジャンルも書き振りもバラバラながら、スタンスは繋がっていてユーモアもたっぷりの野矢さんの短い書評がテンポ良く続き、読み進めていると野矢さんの眼差しのようなものに乗り移ったか、もしくは頭の中に飛び込んで探検しているような気分になってくる。(言葉を借りるならこの感覚が「相貌」を理解するのに必要なのがしれない)
書かれている本の内容も面白そうで、文体もユーモアに溢れていて笑って読めるのはもちろんなのだか、この本の魅力は多分そこにあるような気がした。
あと、最後の小説の読み方もすごく勉強になったし、和紙みたいな装丁もよかった。